40代ピアニストが迎えた「驚くばかりの更年期」、このままでは現役生命があぶない【100人の更年期#93】前編
閉経の前後5年を一般に更年期と呼びます。日本人の閉経の平均年齢は50歳なので、45-55歳の世代は更年期に当たる人が多いもの。身体の不調に苦しみ「更年期障害」の状態に至る人もいます。
私ってもう更年期なの? みんなはどうなの?
オトナサローネは同世代の女性100人がいまどのような更年期を迎えているのか、そのあり方を取材しています。(ご本人の年齢や各種の数値は取材時点のものです)
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【100人の更年期#93】前編
リツコさん 52歳
ピアニストとして活動中。趣味はガーデニング
「プロの演奏家として、ステージでの失敗は許されない」。そう思うほど不安で眠れなくなる
現在52歳のリツコさんは、ピアニストとして毎年数多くの公演に出演しています。失敗が許されないプロの演奏家。常に緊張がともなうせいか、20代の頃から不安感や不眠に悩まされていました。
「お客様はお金を払って演奏を聴きにきてくださいますから、常にその日をベストコンディションで迎え、最高の演奏を届ける使命があります。もちろん、ミスなんてもってのほか。それなのに、私は若い頃に手の故障で演奏ができなくなったことがありました。そのときは精神的にひどく落ち込んでしまい、精神科へ行って不安を抑える薬を出してもらいました」
演奏には体力、集中力の両方が必要です。日々を規則正しく過ごし、バランスのよい食事をとり、毎日一定の運動をしたうえでしっかりと睡眠を確保。ストレスもオフしてよりよい身体の状態をキープし、週2回以上行われる公演に臨みたいと考えています。
ですが、特に公演前夜は、寝ようと思えば思うほど翌日のコンディションが気になって眠れません。30代までは気力と体力でなんとか乗り切ってきたのですが、40代に入ってからは心身ともに無理がきかなくなったと言います。
「以前は、不眠といっても大事な予定がある前日に眠れなくなる程度でしたが、40代になってからは予定に関係なく眠れない夜があり、ついには演奏の前後、悪くすれば最中にまで眠気を感じるようになりました。舞台の上で眠気を感じるだなんて、演奏家としてはあり得ない。死活問題だと思いました」
そこでリツコさんは、世の中に出回るありとあらゆる不眠解消の生活改善方法を試しました。毎朝カーテンを開ける時間を決める、午後3時以降はコーヒーを飲まない、睡眠によいといわれるお茶を常飲する、トリプトファンを含む食べ物をたっぷりとる、お風呂は浴槽にきちんと浸かって深部体温をしっかり上げ急激に下げる、寝る前のホットミルク、睡眠を導くとされるヨガ、呼吸法、リカバリーウェアを試す、グリシンのサプリ……。
「しっかり眠ることも重大な仕事だと考え、必死の思いで思いつくものをすべて試しました。でも、私にはいずれも効果はありませんでした」
40代になって眠れない日が増えた。もしかして、この入眠障害は更年期と関係がある?
不眠対策に関する情報を調べていくうち、もしかすると更年期で不眠がひどくなったのかもしれないと思い始めたリツコさん。これを機に更年期のかかりつけ医を見つけておこうと、自宅近くの婦人科へ行きました。
「調べた結果、まだ更年期とはいえないホルモン値だと医師に言われました。通院し始めた頃は、不眠や不安感に効くとされる漢方薬を処方されて飲んでいましたが、あまり効果を感じなくて。あるとき、友人がプラセンタ注射で更年期対策をしているのでやってみたいと話すと『じゃあ、やってみますか?』と言ってもらえたので、週に1度、プラセンタ注射を打つようになりました。私の場合、明らかな効果は感じませんでしたが、治療をしている安心感があるだけで、ずいぶん気持ちが落ち着きました」
プラセンタ注射の開始と同時に、不眠改善のために2~3時間作用する短時間用の睡眠導入剤を飲み始めました。導入剤を飲み始める前は、寝ても3時間ほどで目が覚めてしまい、それからずっと寝付けなかったリツコさんも、薬を飲んでから寝ると、ぐっすり眠れて朝はスッキリ目が覚めるようになったそうです。
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