目上の人に「お体ご自愛下さい」は失礼?NGな使い方と季節のおすすめ文例は(前編)

2023.06.06 WORK

相手を気づかって末尾につける「結び」の一文。代表的なものに「ご自愛ください」があります。でも、知らずに使うと失礼なケースも? 正しい使い方と、文例を解説します。

 

■「ご自愛ください」の意味とは?

「自愛」という熟語には、2つの意味があります。

1つは、自分の体に気を付ける、自身の健康に気を配るという意味。

もう1つは、「他愛」の反対語、自分の利益を図ることという意味です。

「ご自愛ください」の「自愛」は前者の方です。どうぞ、ご自分の体に気を付けてください、ご自身の健康に気を配ってくださいという意味です。

 

■ご自愛くださいの使い方の注意点

「ご自愛ください」を仕事のメールや手紙で使うときは「最後」を見極める

ビジネスシーンに限ったことではありませんが、一番大切なのはメールや手紙の「中身」です。中身をしっかり書かないと、内容について問い合わせが来たり、抜けていたところについて質問が来たりして、メールが何往復することもあります。そんな時に毎回毎回メールの最後に「ご自愛ください」とあったらおかしいですよね。そのメールで終了する、もしくはそのメールに対するお返事が1通来る、そういったタイミングで「ご自愛ください」を使うのが妥当です。

また、シンプルなメール、用件だけのメールのような場合は、メールの初めに、季節の挨拶なども書きませんから、結びのところだけやたらに凝るのはおかしいでしょう。その場合は、「ご自愛ください」は不要です。

手紙の場合は往復する想定になってはいませんので、最後に「ご自愛ください」と書くのは一般的です。ただ唐突に「ご自愛ください」とだけ書くのは変ですから、下記文例などを参考にしてください。

 

「ご自愛ください」を目上の人に使うときは?

「ご自愛ください」は文法的には敬語に当たるので目上の人にも使えます。ただ「ご自愛ください」に「ください」という言葉があるので偉そうな雰囲気に感じる人もいるかもしれません。その場合は「ご自愛くださいませ」「ご自愛くださいますように」などと柔らかくしても良いでしょう。

目上の人であっても、元気ではない方が受け取った場合、ただでさえ弱っている体と心に、そして毎日精一杯自分の体と向き合っているところに「体を気遣ってあげてね」というメッセージは酷だという場合もあります。失礼にあたるとまではいいませんが、不向きな場合もあるということ。その場合は以下の「病気や風邪、怪我の人に使う時は?」を参考に。

同じ意味で、年配の方に使う便利な言葉もあります。「おいといください」です。同じ意味ですが、使っている人がそれほど多くないので、差を付ける言い回しになるかと思います。

・風邪が流行っております。どうぞお体おいといください。

このように使います。

この「おいといください」には「お体」という言葉を付け足しましたが、「ご自愛ください」は「体を大切にする」という意味があり「体」が重複するので「お体ご自愛ください」とは言いません。「ご自愛」の場合は「体」という言葉は不要なのです。

次のページ▶▶「ご自愛ください」を病気や風邪、怪我の人に使うときは?

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