更年期が本格化する前に「やっておいたことがいいこと」とは?52歳コンビが振り返る「その時期」

40代後半で顕著な更年期症状に悩まされ、50歳になってからHRT(ホルモン補充療法)で症状の緩和ができたリアル更年期コンビのオトナサローネ編集長・井一美穂(オトナサローネ編集長)と、美容エディターの藤井優美。久しぶりの対談内容は「更年期症状の伝え方」について語り合いました。前編記事『「更年期症状がツライ」って、夫・同僚・会社、誰かに伝えられた?働く52歳の2人が更年期を語りつくす』に続く後編です。

 

ツライ、ツライばかりではなく、社会に現状を伝え、見通しを立てられるのが理想⁉

 

藤井 井一さん、あ、熱いです。それができたら理想ですが…。

 

井一 休むことそのものは、所定の日数内ならば働くものの権利なんです。ただ、更年期取材でおなじみの先生がおっしゃっていたんですが、「いつまでもツライ、ツライと不調を訴えるだけでなく、見通しを伝えるのが社会人」とのこと。「現在、このくらいツラいため、こんなふうにパフォーマンスが落ちてしまう」「いつ頃になれば不調から脱すると思われる」「その間、このくらいの仕事なら問題なくできる」など、具体的に話す必要があると言ってました。

 

藤井 なるほどー。でも、それって、ちょっと敷居が高いかもしれません。だって、ある意味、更年期プレゼンですよね。そもそも「自分の状況をきちんと把握し、的確に伝える」ってことは、訓練が必要なんじゃないかと思うんです。更年期症状が出てひどくツライときにこれができる人って、よほど自分の意見を伝えるのが慣れている人じゃないですか?

 

井一 そうなんです。私もできるかって言われたら、まあ無理です、できませんでした(笑)。だからこそ、更年期症状がひどくなる前にもっと自分自身を俯瞰して、もっと情報収集をして、こうなったらこうするという切り札を持って作っておけばよかったなと今にして思います。同時に、今後の社会では性別年代問わず、男性女性のホルモンが引き起こす変化について知識を持っておいてもらわねばならぬと。更年期症状って、ある日突然過去一度も体験したことのない症状が出るというよりも、もともと持っていたトラブルが増幅して出てくる傾向もあるから。

 

藤井 エストロゲンの受容体は身体のいたるところにあるため、症状の出方は100人いれば100通りと言われていますよね。まさに、個人的な経験談ではありますが、更年期になると、これまでは何とかやり過ごしていたウイークポイントが強く出る気がします。たとえば、心配性な人はより心配性になったり、もともと頭痛があった人は、ちょっとしたことで頭痛が出やすくなったり……。私も漠然とでしたが、30代後半から「更年期症状が出るだろうな」と思っていました。覚悟をしていたわりには、いざ自分が更年期に突入したら右往左往して大変だったけれど、わりと素直に婦人科でHRTの処方をお願いできたのは、前知識があったからだと思います。だから、本当は更年期症状が出る前に、自分のウイークポイントに対処できる方法を見つけておくことが大切なんじゃないかな。

 

告知した際の“共感”と“ねぎらい”で今後の夫婦関係が決まるかも

 

井一 私も更年期の知識はあったはずなんだけど、高齢出産を経て、その後の育児で疲弊したまま更年期に突入してしまった感じだから、スマートに対応したとは言い難い。みんながみんなではないけれど、更年期になると判断力や思考力、行動力が落ちてしまいがちなので、更年期症状が出てからではなく、「更年期による不調かな」と思ったら、早めに伝えるのはありかもしれませんね。

 

藤井 更年期症状の初動は、できない自分を認めること。間違っても自分を責めない! そして周りにある程度理解してもらうこと、ですね。

 

井一 アンケートでは、「身体がだるく、何もできないときは、家族にストレートに話し、家事などをしないで過ごした」、「夫に心身のツラさを伝える際に、更年期の情報と併せ、更年期は身体ができないことを認めていく期間。さらに、その後はできなくなることが多くなるから助けてね、と伝えました」という建設的なコメントも。

 

藤井 これって、すごく大事なことですよね! 素直に聞いてくれるかどうかは人によるけれど(苦笑)。私は夫に伝える際、口頭だと感情的になってしまい、「どうしてわかってくれないんだ!」「もう放っておいて!」と、喧嘩になることも……。なので、LINEで「私は今更年期症状でイライラしたり、感情のコントロールが効かないので、私が何か言ってもあなたの意見は言わず、とりあえず“そうなんだー”と聞き流して欲しい」と、お願いしてみました。とりあえず「わかった」という返信だけでしたが、直に伝えるよりはお互い冷静になれたと思います。

 

井一 このときの共感って、今後の夫婦関係を続けるためにも大事ですよね。よく「産後の恨み」、夫が出産後の育児に携わったかどうかで、その後の夫婦関係が決まる、なんて言われたりしますからね。更年期症状のツラさをすべて理解してくれなくても、「そうなんだ、大変だね」と言ってくれるだけでも気持ちが全然違う。“共感”と“ねぎらい”の言葉があったら更年期は乗り越えられる気がします。さらに、「ツラいのならこれはやるね」なんて言ってくれたらパーフェクト (笑)。

 

“絶対”の正解はない!これまでと違った視点も取り入れると解決の糸口が見つかるかも

 

藤井 夫にしても、職場にしてもそうですが、態度で「察して」はやはりこちらも「察してくれない!」と無用なストレスばかりがかさみます。1.現状の説明 2.どうして欲しいのか が説明できるようにならないとダメですね。

 

井一 そもそも女性って、友人や同僚と円滑なコミュニケーションを築くために、さまざまな努力をしていると思うんです。そのスキルをぜひ更年期でも活用してもらいたいですね。結局、そうすることで自分が傷つくことが減るんじゃないでしょうか。

 

藤井 ネガティブなときって、悶々と自分の殻に閉じこもりやすいですからね。ちょっとした言葉に反応して傷つきやすい。

 

井一 気質的にまじめな人は更年期症状が出やすいと言われていますが、もう少し手を抜いてもいいんだと思います。それができないから苦労するのですが、「適当になりましょう」と言いたい。物事の正解は1つではなく、必ず違う代案があるものです。だから、ひどくなる前に別ルートを見つけてほしいと思います。

 

 

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