平安時代にもありました!「港区結婚ゴール女子」VS「丸の内バリキャリ」の火花!【NHK大河『光る君へ』#14】

2024.04.08 LIFE

*TOP画像/まひろ(吉高由里子) ききょう(ファーストサマーウイカ) 大河ドラマ「光る君へ」14回(4月7日放送)より(C)NHK

 

紫式部を中心に平安の女たち、平安の男たちを描いた、大河ドラマ『光る君へ』の第14話が4月7日に放送されました。40代50代働く女性の目線で毎話、作品の内容や時代背景を深掘り解説していきます。

 

本放送では、まひろ(吉高由里子)とききょう(ファーストサマーウイカ)が和歌の会で久しぶりに再会を果たしました。道隆(井浦新)の嫡男・伊周(三浦翔平)の妻を探すことを目的に開催された会ですが、中下級貴族の娘であるまひろとききょうは妻候補ではなく、にぎやかし要員…。

 

ききょうは自分と同じ扱いをされているまひろに自分の思いや考えをオープンマインドで話します。

 

平安時代からあったんですね…「結婚ゴールのことしか考えていない女」vs「バリキャリ」

ききょう(ファーストサマーウイカ) 大河ドラマ「光る君へ」14回(4月7日放送)より(C)NHK

和歌の会の後、ききょうがまひろの屋敷を訪ねてきました。突然の訪問におどろくまひろをよそに、ききょうはまひろに自分の思いや考えを伝えます。

 

先日の和歌の会はつまらぬものでございましたわね。あのような姫たちが 私は 一番嫌いでございます。よりよき婿を取ることしか考えられず 志を持たず 己を磨かず 退屈な暮らしも そうと気付く力もないような姫たち。

「光る君へ」第14回

 

今でいうと、自分のことは棚に上げ、条件のよい結婚相手を探している女性に向けられているような言葉…。

 

清少納言の考え方が引用箇所には色濃く投影されています。清少納言は将来にたいした望みをもつこともせず、ただ毎日を生きて、見た目のよさげな幸福にしがみついているような姫たちへの批判を『枕草子』に書き綴っています。

 

清少納言が女房の中でも中心的存在になれたのは己を磨いていたからです。彼女は漢籍に長けていたため定子サロンで男性貴族と親睦を深められました。また、女房としてお仕えする定子の知的好奇心に応えられる和歌の知識や察しのよさもありました。

 

ききょうは“よりよき婿を取ることしか考えられない姫たち”を引用部で批判していますが、姫たちにすれば結婚は実家の死活問題。当時の貴族女性のレールから逸れた生き方を試みるききょうですが、彼女が今後どのように描かれるのか楽しみですね。

 

「私のために生きたい」「己のために生きたい」という考えは社会で許されないのか

ききょうは前述の言葉で終わらず、次のように続けています。

 

息子も 夫に押っつけてしまうつもりです。息子には すまないことですが 私は 私のために生きたいのです。広く世の中を知り 己のために生きることが ほかの人にも役立つような…。そんな道を見つけたいのです。

「光る君へ」第14回

 

当時、貴族階級であれば乳母や女房に子どもを任せられたものの、実母も子育てにある程度は介入していました。

 

また、当時の女性には己のために生きるという選択肢はほとんどありません。位の高い貴族の娘であれば家の繁栄のためにより身分の高い家柄の男性と結婚し、家を繁栄させる役割があったためです。当時、自由恋愛のようなものもありましたが、上流貴族になればなるほど結婚において相手が自分のタイプかどうかは関係ありません。

 

兼家(段田安則)の娘・詮子(吉田洋)もききょうに負けず劣らず賢く、我が強い女性であるものの、時には涙を流しながらも家のために自身の人生を捧げています。

 

ききょう(ファーストサマーウイカ) 大河ドラマ「光る君へ」14回(4月7日放送)より(C)NHK

 

ききょうの「己のために生きたい」という思いは令和における女性たちの考え方や価値観に重なります。

 

近年では多くの女性たちが私自身のために生きたい、広く世の中を知り人生を謳歌したいと考えています。

 

とはいえ、少子高齢化が深刻化し、国を支える人の数が減少傾向にある昨今では「(結婚せず)己のために生きたい」と話す女性は自己中心的に見られることも残念ながらあります。また、女性の社会進出が唱えられている昨今でも、子どもや夫のことを思うならば、仕事をセーブするべきだという見方もないわけではありません。

 

自分の人生を謳歌する権利は誰にでもありますし、そもそも己のために生きている女性も仕事などでほかの人の役にも立っています。

 

本作の見所は平安時代の世にどのような新しい風が吹き込まれ、社会が変わっていくのか。まひろの言動は当時の社会では考えられないものばかりですが、ききょうも負けていません。二人の今後の躍進が楽しみですね。

 

前編ではストーリーに沿いながら、背後に見えてくる平安時代を解説しました。後編では清少納言の「推し」について理解を深めます。

 

つづき>>>平安時代の「働く女性」たちの意外すぎる「働く動機」とは?「確かに、それなら家が貴族でも働くわ」

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