1260万人が苦しむ「AGA」、どう治す?保険適用?あきらめる?治療法を専門医に聞いた(後編)
どの世代でも、いまだ揶揄されることの多い薄毛、ハゲ。今回は、さまざまな種類のある脱毛症のひとつ「男性型脱毛症」について、脱毛症外来のある東京医科大学の入澤亮吉先生に伺いました。
ヘアロス #2
男性型脱毛症(AGA)の治療法
ジヒドロテストステロンが毛乳頭細胞(毛の工場)に悪影響を及ぼしているということがわかり、ジヒドロテストステロンが作られる仕組みを妨げる内服薬が使用されています。
【内服薬】
●フィナステリド(プロペシア®1mg/0.2mg、男性のみ、国内承認薬、自費診療処方箋が必要。まれに、性機能に関連した副作用を生じることがあります。一般的には1mgを使用します)
●デュタステリド(ザガーロ®0.5mg、男性のみ、国内承認薬、自費診療処方箋が必要。まれに、性機能に関連した副作用を生じることがあります)
治療効果はデュタステリドのほうが出やすいといわれていますが、とくにデュタステリド(ザガーロ®)は性機能関連副作用が強いと言われていますので、妊娠を希望される方はフィナステリドの使用をおすすめします。
●ミノキシジル内服(国内未承認薬、自費診療)
ミノキシジル内服は、欧米では一般的に使用されていますが、本邦のガイドラインでは「利益と危険性が十分に検証されていないため、男性型脱毛症・女性型脱毛症ともに行わないよう強くすすめられる」と記載されています。使用を検討する際には正確な知識を有する医療機関で、充分な説明を受けたうえで使用することをおすすめします。
【外用薬(育毛剤)】ミノキシジル外用薬、アデノシン外用薬。保険適応外の自費診療。
毛乳頭細胞または毛母細胞を刺激することで発毛を促す外用剤が使用されています。内服薬と比べると副作用が少なく、はじめに試してみてもよい治療法です。
〈薬局で購入できる製品〉
ミノキシジル外用薬:大正製薬「リアップX5」【第1類医薬品】(ミノキシジル濃度5%)など。ジェネリック製品あり
アデノシン外用薬:資生堂「薬用アデノゲンEX」【医薬部外品】など
注意:AGAの外用薬にしても、内服薬にしても、やめると効果がなくなり、もとに戻ってしまいます。継続することが重要です。
【植毛術】
男性型脱毛症になりにくい後頭部から前頭部へ毛包を移植し、毛包の分布を変えます。専門医療機関での外来手術。自費診療。
【ウィッグ・かつら】
かつらを使用することで、脱毛が悪化することも治療への影響もありません。
生活で注意すべきこと
禁煙、バランスのよい食事、適切なヘアケア
全国で1,260万人いると言われているAGA。一度症状が出始めると年齢とともに薄毛が進行していきます。薬局で購入できる製品を試してみたり、受診の際は適切な医療機関を選びましょう。
加療してもなかなか毛が生えてこないと不安になります。でも”毛髪ビジネス”には気を付けてください! 特にすぐれた発毛効果がないのに、効果があると謳って過剰な料金を請求するグループもあるので気をつけてください。
※日本皮膚科学会「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン2017年版」に基づいた診療
※病院によって、治療法が異なることもあります
▶▶次回、8月13日配信「女性型脱毛症ってなに? 更年期の薄毛とは違うの?」
監修:東京医科大学病院皮膚科、ワタナベ皮膚科 入澤亮吉先生
日本皮膚科学会認定皮膚科専門医、日本がん治療認定医機構がん治療認定医、日本性感染症学会認定医。日本皮膚科学会東京支部代議員、日本皮膚悪性腫瘍学会評議員、日本褥瘡学会評議員。1988年東京医科大学卒業。同大学病院皮膚科病棟医長を経て、2021年より東京医科大学病院皮膚科 講師。特定非営利活動法人 円形脱毛症の患者会 監事
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