「夫に悪気はない」それでも苦しくてたまらない。 心がすり減った妻が、“わかってもらえない結婚”から抜け出すまで
どんなに話しても、届かない。一緒に暮らしているのに、心はいつもひとり。夫の無表情と沈黙に耐えるうちに、Tさんは「感じない方が楽」と思うようになっていきました。けれど、そんな彼女を変えたのは、小さな“気づき”でした。
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夫婦の関係は、会話だけでなく生活面でもズレが広がっていきました。夫は自分のルールを崩すことができず、Tさんが予定を変えたり、相談なく何かをすると強く反発しました。たとえば夕食の時間が5分遅れただけで、「決めた時間は守るべきだろ」と冷たい声で責められます。
子どもの学校行事の相談をしても、「そんな話はあとにして」と自分の用事を優先します。一緒にいるのに、まるで別の世界に生きているようです。
Tさんは、いつでも夫の顔色をうかがうようになりました。話しかけるタイミング、話題の内容、表情まで気を使い、「怒らせないように」「機嫌を損ねないように」と、常に神経を張りつめていたのです。それが続くうちに、Tさんの中で“自分の感情”より“夫の反応”の方が優先されていきました。
こうした状態を続けた結果、Tさんは次第に心身のバランスを崩していきました。夜眠れず、食欲もなく、何をしても楽しくない。日中もぼんやりとして集中できず、頭の中が霞がかかったような感覚が続いたそうです。それでもTさんは、「私がしっかりしなきゃ」と自分を奮い立たせ、家事も育児も完璧にこなそうと努力していました。
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