「それ、おかしいよ」同僚のひと言で目が覚めた。45歳妻の“反撃”に、夫が動揺した日【2025年度ベスト記事セレクション】
オトナサローネでは、2025年もさまざまな記事を掲載してきました。その中から今回は特別に、「大反響だった記事」をピックアップしてお届けします。 本シリーズ「実録・カウンセラーから見たモラハラ」は、20年以上・のべ8000人以上のカウンセリングを行ってきた心理カウンセラーの麻野祐香先生が執筆する実例紹介と心理解説です。
(集計期間は2025年1月~12月まで。本記事の初公開2025年4月12日 記事は取材時の状況です)
「夫が家計をすべて管理し、妻に渡すお金を細かく制限。必要な支出ですら『無駄遣いだ』と否定される」
そんなケースは、実は少なくありません。Fさんのご主人も、まさにそのタイプでした。言葉や態度による直接的な暴力ではなく、お金を使った支配。Fさん自身も最初は「モラハラ」だと気づいていませんでしたが、これは経済的DVにあたります。
モラハラ被害者は声を奪われる
被害者であるFさんにはこのような心理も働いていたと思われます。
●経済的不安と、環境を変えることへの怖さ
たとえ離婚すれば収入を自分のために使えると分かっていても、いざ生活が変わるとなると、不安の方が勝ってしまうものです。特に、長年このような状況に置かれていると、たとえ不自由であっても「慣れた生活」の方が安心に感じてしまいます。
● モラハラ特有の「心理的コントロール」で感覚が麻痺する
「俺の方が出してるんだから」「それって無駄じゃない?」と繰り返されることで、自分の感覚に自信が持てなくなり、相手の価値観に合わせてしまいます。こうなると、「言い返す」以前に「反論してもいい」という思考自体が浮かばなくなってしまうのです。
「俺の方がたくさん負担してるんだ」「それは無駄じゃない?」と繰り返されることで、Fさんは次第に自分の判断に自信が持てなくなっていきました。やがて、「これは言い返していいことなのか」という思考すら浮かばなくなり、相手の価値観に飲み込まれていってしまうのです。
このように、Fさんが声を上げられなかった背景には、多層的な心理的要因が潜んでいます。「なぜ反論しないの?」ではなく、「反論できなくされていた」という視点が必要です。
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