10代の子どもの婦人科診察はどのように行うのでしょうか?内診もある?
「お会いするだけで更年期の沈んだ気持ちが前を向く」「楽しくお話して、気づいたら心にわだかまっていた重いものが消えていました」とファンも多数の産婦人科医・小川真里子先生。現在は福島県立医科大学での診察と併せて、週に一度、東京・JR五反田駅のアヴァンセレディースクリニックで更年期外来もお持ちです。
長年に渡って女性特有のトラブルに向き合ってきた小川先生に、更年期世代女性が知っておきたい娘さんたちの世代についてを伺います。今回は「10代の子どもが月経関連のトラブルで産婦人科を受診する目安」です。
前編『子どもを月経困難症で「受診させる目安」とは?「生理痛が2日以上続くなら非常事態です」』に続く後編です。
【女性の身体、思春期から更年期までby小川真里子先生】
子どもの診察には「内診」はあるのでしょうか?確認方法はある?
婦人科に子どもを連れて行く場合、18歳未満は親といっしょに来院、あるいは18歳未満は対応しないというクリニックがあるため、サイトで確認するか、サイトが見つからない場合は直接電話をして確認したほうがいいでしょう。
膣内にプローブを入れて行う内診が心配だという場合、「そちらのクリニックは性経験のない子どもでも内診をしますか、内診をしないでも大丈夫な方法はありますか?」と電話で確認するのもいいでしょう。私の場合はどうしても必要なときはよく説明をしたうえで行うこともありますが、基本的にお子さんの場合は月経困難症ならばお腹の上からプローブを当てるエコーでの検査にしています。PMSはそうした診察を行うか自体もお子さんご本人と相談してから決めます。ただ、月経痛がある場合は子宮内膜症や子宮筋腫が見つかるケースが多いため、どちらにせよエコーは最低限必要でしょう。
どのようなケースで内診が必要かというと、性分化疾患、膣閉鎖などが疑われる場合です。生理痛がものすごく強い若い子に、膣口が閉じていて出口がなく腹痛を起こしている場合があります。あるいは膣のかゆみも、重篤ではありませんが直接患部を調べる必要が出ることがあります。ドクターによっては経直腸エコーといってお尻から子宮や卵巣を見る方法をとるケースがあります。どちらにせよ、お腹の上から見てみて何かある、でもちょっと見えないとき、いきなりではなくよく相談して実施しています。
こうしたことは、クリニックのサイトに方針が載っていることもあるので確認してみてください。また、最近は若い子がかかりやすい産婦人科医を検索できる「JKクリニック」というサイトもありますから、そういう情報も見てみていいと思います。サイトには「大人の方へ」というメッセージも掲載されていますからご参照ください。(https://josei-karada.net/jkclinic/)
18歳未満は母親が帯同というクリニック以外は、本人が喋れるならばお母さんは一緒にこなくても大丈夫です。生理周期を記録してから受診したほうがよいのですが、本人につけさせてください。お母さんが帯同の場合、どうされましたかと聞いてもお母さんが話すことが多く、周期を聞くとお母さんがさっと手帳を出すというケースが非常に多いのですが、周期を自分でつけること自体も治療の一歩ですから、自分で行うことが重要です。お母さんの役割は我が子が産婦人科に行くことを躊躇しないことくらいです。
産婦人科は昔に比べれば「妊娠した人だけが行く場所」ではなくなりましたから安心してください。なるべく症状が軽いうちに受診したほうが将来の疾病や不妊のリスクを減らすことができます。
つづき>>>子どもを月経困難症で「受診させる目安」とは?「生理痛が2日以上続くなら非常事態です」
お話/小川真里子先生
福島県立医科大学 ふくしま子ども・女性医療支援センター 教授
1995年福島県立医科大学医学部卒業。慶應義塾大学病院での研修を経て、医学博士取得。2007年より東京歯科大学市川総合病院産婦人科勤務、2015年より同准教授。2022年より福島県立医科大学 特任教授。日本女性医学学会ヘルスケア専門医、指導医、理事。日本女性心身医学会 認定医師・理事。日本心身医学会 心身医療専門医・代議員。2025年11月から福島県立医科大学 ふくしま子ども・女性医療支援センター 教授。東京・JR五反田駅のアヴァンセレディースクリニックで、毎週金曜午前に完全予約制の更年期・PMS外来もお持ちです。
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