「残念ながらがんです」と言われたとき、病院は変える?そのままにする? 医師が教える病院選びのポイント「気にしても意味のない項目」が意外すぎた
国内におけるがんの治療は日進月歩。医療費の高額化、治療の長期化、医療の地域偏差などさまざまな問題を依然として抱えているものの、かつての致命的な印象は薄まり、今や「治す」あるいは「共存しながら暮らしていく」病の一つになりました。
外科医・免疫研究者・漢方医、トリプルメジャー医である新見正則先生は、オックスフォード大留学を経て日本にセカンドオピニオンを導入。40年以上に渡るキャリアのすべてでがんに向き合い、がん根治を目指して外科から免疫、漢方と探求範囲を広げました。
そんな新見先生が「いまだから言える」がん治療とは? さまざまなご配慮が必要な勤務医には書けない「ここだから言える医師の本音」が満載の最新刊が『患者さんのためのがん治療ハンドブック どの病院、どの治療、どの医師、そして最も大切なものは?』(新興医学出版社)です。中でも「これは本当に言えなかっただろうな」というご意見をセレクト、再編集しお伝えします。この記事は3本中の2本目です。(1/2/3)
どんな病院を選べばいい? みんなが気にするわりに「実はそれほど重要ではないこと」は
病院や治療を選ぶにあたって考えたほうがいいこともあれば、一方でそれほど重要に考えなくていいこともたくさんあります 。患者さん自身で医師の実臨床力を把握するのは難しいですが、第5章で示す「ベターな医師・ダメな医師の見分け方」の要素を満たしているかどうかが、一つの期待値としてのヒントになります 。
■ 患者さんの口コミは気にしなくていい
インターネットで病院の口コミが閲覧できるようになりましたが、私はほとんど当てにならないと思っています 。
飲食店の口コミは、1日に何食も比較することが可能なため、ある程度の妥当性があります。しかし、医療機関を複数受診して比較することは困難です 。そのため、口コミの多くはある一点の感情や「接遇」による評価に偏りがちです。口コミを鵜呑みにして医療機関を選択することは控えたほうがいいでしょう 。
■ 手術の成功率・生存率はさほど重視しなくていい。ただし手術数は重要
手術数は大切な比較要素ですが、成功率や生存率はそれほど重要ではありません 。
成功率や生存率の数値を良くしたければ、病院側は「手術が簡単で、高い生存率が見込める患者さん」のみを選んで手術を行うようになるからです 。
例えば、がんに特化した「がんセンター」は合併症のある患者さんを苦手としますが、総合病院はそうしたリスクのある患者さんも治療します 。その結果、必然的にがんセンターの治療成績のほうが数値上は優れることになります。これらはあくまで参考程度に見てください 。
■ マスコミの評価(雑誌や新聞の病院ランキング)はあてにならない
雑誌や新聞の病院ランキングはいい加減なものが多いと思っています 。本書の内容を熟読して比べていただければ、正確な病院ランキングなどを出すことがいかに不可能かがわかるはずです 。
■ 病院の過度の綺麗さは重要ではないものの、清潔感は大切
病院が過度に綺麗である必要はありません 。新しくなくても清潔感があれば十分です。また、古い施設であっても内部には最新鋭の機器が導入されていることもあります 。
■ 漢方診療科はなくてもいい。保険適用漢方薬はがんに効くエビデンスがないから
がんを直接治せる保険適用の漢方製剤はありませんので、がん治療に漢方診療科は不要です 。副作用の防止や気力・体力を高めるための漢方薬であれば、漢方の専門家でなくても処方可能です 。
■ 過度に患者さんをおもてなしするクリニックは患者さんのためにならない
過度の接遇は不要です。私は「患者様」と呼んでいる病院を好きになれません 。患者を「様」と呼べば、それは「顧客」になってしまいます。顧客に対しては、医師が患者さんを(治療のために)叱ることもできなくなってしまいます 。
■補完代替医療を完無視する医師もダメ(もちろんそれしかしない医師はダメ)
補完代替医療を頭から否定する医師は避けましょう 。現状の抗がん剤が万全な治療ではない以上、患者さんは延命効果を上げるために必死の思いでさまざまな探索努力をし、主治医に相談するのです 。
そこで「補完代替医療でがんに効くものはありません!」と即座に否定する医師は、勉強不足と言わざるを得ません 。自ら調べずに他人の意見を鵜呑みにしている医師や、正確な裏取りをせずに「エビデンスは一切ない」と報じる大手メディアも存在します 。
そうした医師やインフルエンサーが根拠としているのは、2012年に発行された『がんの補完代替医療ガイドブック 第3版』(厚生労働省がん研究助成金などによるもの)です 。しかし、医療は日々進歩しています 。10数年以上前のデータや書籍だけを根拠にするのは、サイエンティストとしては失格であり、常に最新の知見を持つことが大切なのです 。
例えば、生薬「フアイア(Huaier)」は、1,000例規模のランダム化比較試験において、がんの生存率で有意な結果を出しています 。この論文が英文誌(GUT)に発表されたのは2018年であるため、2012年発行のガイドブックには掲載されていません 。このように、過去の知識に固執せず、医療の進歩にしっかりついていく気概のある医師を選ぶようにしましょう 。
私が描く理想のがん治療体制は「国内にはまだ存在していない」
日本には、アメリカのような「ボリュームセンター(膨大ながん治療を行っている施設)」が少ないのが現状です 。がん治療は本来、集約化が必要だと考えています。本章で挙げた「がん治療のために理想の病院」の項目をすべて備えている病院は、現在のわが国にはまだ存在しません
つづき>>>「ぜひその(高い)薬を保険で投与してもらいたい、だが保険でも高い」。でも必ずしも「値段=効果」とは言えないようで?
そんな「これまで医師が口にしてこなかった」本音・現実が満載の1冊
『患者さんのためのがん治療ハンドブック どの病院、どの治療、どの医師、そして最も大切なものは?』(新興医学出版社)
■新見正則先生
慶應義塾大学医学部卒業。卒業後、慶應大学病院外科に勤務。1993年より1998年までオックスフォード大学医学部博士課程。1998年オックスフォード大学博士課程学位(Doctor of Philosophy)取得。1998年より帝京大学外科。2002年より准教授。その後、帝京大学医学部博士課程移植免疫学、東洋医学、血管外科学の指導教授。2020年より新見正則医院院長。テレビ出演、講演のほか、著書多数。
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