48歳で未亡人になった妻は「死後離婚」を決意!これで義母の介護からも、無礼な義弟からも解放される⁉【行政書士が解説】
筆者は行政書士、ファイナンシャルプランナーとして夫婦の悩み相談にのっていますが、今回の相談者・緒方凛さん(48歳。会社員。年収400万円)も最近増えている「死後離婚」をするかどうか迷っていました。結婚して25年目。今まで夫には散々苦労させられてきました。夫は女癖が悪く、派遣社員の女性に手当たり次第、手を出すのです。酒癖も悪く、酩酊状態で帰宅することもしばしば。しかも不倫や酒に使うお金を捻出するため、FXや仮想通貨、ギャンブルに手を出して損失を広げるばかり。そんななか、夫が脳梗塞を発症。そのまま帰らぬ人となったのです。
このときの凛さんは仕事と家事だけでなく、「義母の介護」も一手に担っていました。夫の家族と縁を切る手続を姻族関係終了届(いわゆる死後離婚)といいます。凛さんがその気になれば義母の介護をやめることも可能といえば可能です。しかし、嫁入りから25年間。義母と築いてきた年月を考えた場合、そう簡単に見捨てるわけにはいきません。どうすれば良いのでしょうか?
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『派遣の女の子と浮気しまくっていた、56歳の夫が脳梗塞で急逝!義母を介護中の妻は、「死後離婚」して縁を切って介護をやめるべきか⁉【行政書士が解説】』
<家族構成と登場人物、属性(すべて仮名。年齢は現在)>
夫:緒方康一(56歳)→会社員(年収800万円)
妻:緒方凛(48歳)→会社員(年収400万円) ☆今回の相談者
夫婦の子:緒方蘭(23歳)→会社員(年収350万円)
夫の父:緒方茂(74歳)→すでに逝去
夫の母:緒方節子(74歳)→介護施設に入居中
夫の弟:緒方康作(54歳)→会社員(年収不明)
※画像はイメージ写真です。
【行政書士がみた、夫婦問題と危機管理 #21 】後編
突然、未亡人に。今までの生活をとるか、一歩踏み出すか!?
凛さんは思わぬ形で未亡人になり、人生の岐路に立たされたのですが、どうやって生きて行けば良いのでしょうか?凛さんが筆者の事務所へ相談しに来たのは夫が亡くなって1ヵ月後のことでした。そこで筆者は「選択肢は二つありますよ」と解説しました。
一つ目は今までの生活をこれからも続けるパターン。これは同じ家で暮らし、義母の世話をし、年金で足りない分は自腹で支払うことを意味します。なぜなら、夫はほとんど遺産を残さなかったからです。
二つ目は今までの生活をやめるパターン。今の家を出て、義母の世話を「誰か」に任せ、自分の収入を自分のために使うことです。凛さんはどちらを選んだのでしょうか?
凛さんは「これまで夫には散々、振り回されました。そんな夫のことをお義母さんは野放しにしてきたんです!何より悪しき思い出がつまった家で暮らすのはもう限界です!!」と真っ赤な顔で言います。これ以上、亡き夫に義理立てする気にはならず、役所には「姻族関係終了届」を提出し、夫の実家と縁を切ることを決断したのですが、まだ決めなければならないことが残っています。
筆者は「夫の実家と縁を切るのなら、義母のことを誰に任せるのかを決めないといけませんよ」と注意したのですが、凛さんには「きっと大丈夫です」と自信ありげに回答します。なぜそのように断言できたのでしょうか?
認知症の進んだ義母は息子(夫)の葬儀に参列することができませんでした。義母は自分より息子のほうが先に逝ったことすら理解できていない様子でしたが、もっとショックだったのは義弟(夫の弟)の態度。葬儀の際、「食べ物がすべての基本。兄貴がこんなに早く死んだのは兄貴の嫁さんのせいだし、母さんがおかしくなったのもそうだよ!」と別の親戚に小言で言っているのを聞いてしまったのです。
凛さんは義母のことをよく思っておらず、それは義母も同じでしょう。それなら実の息子である義弟のほうがいいに決まっています。そこで凛さんは義弟に「もう私は家を出るつもりです。お義母さんも私なんかの世話になるより康作さん(義弟の名前)がそばにいてくれたほうがずっといいと思うんじゃないかしら」と投げかけたところ、義弟は「正直に言うと今まであんたのことがずっと好きじゃなかった。兄貴もあんたと結婚してから人が変わってしまい、僕とも疎遠になっていたんだ。緒方家から消えてくれるなら願ったり叶ったりだよ!」とありったけの罵詈雑言を並べ立てたのです。けれど、凛さんにとって「義母の世話」を引き受けてくれたのですから、これくらいの暴言は聞き流すことができました。
死後離婚は、子どもも義実家との関係を断つことを意味する
筆者は「一応、娘さんの気持ちも聞いてはいかがですか?」と尋ねました。なぜなら、死後離婚は妻(凛さん)と義母の関係だけでなく、孫(娘さん)と祖母の関係を断ち切ることを意味します。そこで凛さんが「どう思う?」と尋ねたところ、娘さんは「私のことはいいよ。お母さんがしたいようにすれば」と背中を押してくれたそうです。
愛人の存在、借金、そして大病と不摂生…夫のトラブルが発覚するたびに凛さんは激しく動揺し、心身のバランスを崩し、人知れずに泣き出すこともありました。娘さんに事の詳細を話したことはありませんが、娘さんはそんな母親の様子を見ていたのでしょう。父親の実家に対する恨み、怒り、そして悲しみを理解していたのだと筆者は解釈しました。
ようやく義母の件も片が付くと、凛さんは娘さんと一緒に家を出て、2人で暮らし始めたのです。凛さんは「今はとても楽になりました。娘と自分のことだけを考えればいいので。今までは時間に追われて日々が過ぎていき、まったく余裕がありませんでした。女同士、前向きに生きていきます!」と力強く語ってくれました。
死後離婚の予備軍は案外多いかもしれない
筆者は行政書士として、夫の逝去をきっかけに人生を再出発する様子を見てきました。夫の親戚と縁を切りたい!そんなふうに妻が思い詰めるのは、まだ夫が生きている間から夫婦の関係が最悪の状態にある「離婚予備軍」です。そこまで関係が悪くない夫婦にとって「死後離婚」は選択肢に入りません。
すでに義両親を介護している場合、義両親を誰に任せるのかを前もって決めなければならないので難易度は高いです。そのためには「もし夫が亡くなったら…を義両親のことを含めてどのように暮らしていくか」を、今から個別具体的に検討しておくことが大事です。実際のところ、夫が亡くなると葬儀や相続の手続が山積み。しかも夫が憎悪の対象とはいえ、長年連れ添ってきたので喪失感により何もできなくなることも。
つまり、夫が他界してから「どうしよう」と検討し始めても、結論を出すまでに時間がかかり、夫の親戚に「これからは他人で」と言いにくくなります。すぐに動き出せるように前々から心の準備をしておくことが肝要です。
<出典>
法務省の戸籍統計
https://www.e-stat.go.jp/dbview?sid=0003322640
厚生労働省の認知症調査(2020年)
https://www.mhlw.go.jp/content/12404000/001088515.pdf
厚生労働省の人口動態統計(2024年)
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/geppo/nengai24/dl/gaikyouR6.pdf
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