不登校になり、眠り続ける娘。「いま親としてできることは何なのか」を考えて気づいた「わたしに足りなかったもの」とは
長女が中学校に行かなくなって1年と少し経つ。今回は、不登校が本格化しはじめた時期に、親としてなんとか状況を好転できないかと試したことの数々をふりかえりたい。
*写真はイメージ
【仙田学・シングルファーザー小説家の子育てと社会日記】#3
眠り続けて起きない長女。もしかして、どこか体に悪いところがあるのだろうか
小6の3学期から、長女が朝に起きてこないことが度重なり、欠席日数が増えていった。中学に進んでからもそれは変わらず、6月の下旬には全く行かなくなっていた。1学期の欠席日数は40日で、文科省が不登校の定義とする、年間欠席日数30日をすでに超えていた。
わたしがまず気になったのは、どこか体に悪いところがあるんじゃないか、ということだった。たとえば原因不明の頭痛や腹痛に悩まされたときに、病院で診てもらって診断名がつくとほっとする、ということはないだろうか。
いっそのこと病気だといわれて、なにかの治療を受けさせたかった。それほど、日々眠り続ける長女を前にして何もしないでいることは苦痛だった。
長女が幼児だった頃に、転んで膝から血を流して泣いていたことがある。そのときも同じような苦痛に襲われた。自分の膝も同じように痛み、血を流しているように感じられた。でも絆創膏を貼ってやり、しばらく抱っこしていると長女は泣きやんだ。
でもいまは、目の前で血を流して泣き喚いているのに、何も手だしできない。そんな状況が寝ても覚めても続いているかのようだった。
小児科医「スマホの触りすぎちゃいますか」。児童精神科はとても数が少ない
長女を連れていったのは、近所にある小児科だった。年配の医師はひと通り状況を話すとあれこれ問診をした。血圧を測って聴診器を当ててから言われたのは、「ちょっとわたしにはよくわかりません」。
一緒についてきて待合室のソファでずっとスマホをいじっている次女のほうをちらりと見て、「スマホの触りすぎちゃいますか」とも言われた。スマホの触りすぎで夜に寝れないならわかるけど、こっちは寝過ぎで困ってるんやけど、と思いながら病院をでた。
その後も3軒の小児科を回ったが、どこも同じような対応だった。長女が起きてから動くので、平日の夕方に小児科へ行っては、「また今回もよくわからなかった」と肩を落としながら帰る日々が続いた。睡眠外来にも電話をしたことがある。子どもはまだ睡眠が確立していないから、対策の立てようがないと言われた。児童精神科を受診させようとも思ったが、京都市内には数が少なく、電話で問いあわせても、どこも新規を受けつけていなかった。
最後に縋ったのが、総合病院の小児科だった。市内にいくつかある総合病院のほとんどは、紹介状がないと診てもらえない。だがひとつだけ、紹介状なしで診察を受けられる病院があった。
遠くない日程で予約をとることができて、人の少ない午後の時間帯に長女を連れて向かった。
診断がついた。起立性調整障害、そして中程度のうつ状態
診てくださったのは穏やかな先生で、最初に長女だけが呼ばれて30分ほど話をしていた。その後にわたしと、一緒にきていた次女も診察室に入り、相談をした。変に心情に深入りすることなく、先生は淡々と話を聞いてくださり、ひと通り検査をすることになった。
血液検査、心電図、エコー、MRIはすべて問題なしだった。だが起立性調整障害(以下起立性)の検査には引っかかり、うつ病の問診では中等度のうつ状態と診断された。
今後の方針として、その小児科に隔週で通いながら起立性の治療をすることと、他の総合病院の児童精神科と睡眠外来を紹介してもらい、うつ症状と睡眠の質の検査をしていくことになった。
うつ症状だけが過眠の原因とは考えにくいので、複合的にみていくとのことだった。
検査の結果をみて、わたしはほっとしていた。わけもわからずに長女が眠り続けているという現象が、目に見える数字として提示されたのだ。その数字が「正常」ではないのなら、「正常」に近づければ長女は楽になる。
なにより、わたしも楽になれる。その頃のわたしの正直な思いはそうだった。長女はどう感じていたのだろう。病院を連れ回されて、自分は病気なのかもな、とは思っただろう。わたしのように希望をもったとは考えにくい。病は気からというが、病院に行って改めて病人気分になることもあるだろう。
いま思うと、なんとかしようと急かしすぎた気もする。だが、さらに待つには親としての忍耐がわたしには足りなかった。
つづき>>>不登校の娘が家を出たきり、行方がわからなくなった。もしかして……「最悪のケース」が脳裏をよぎった日
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