大人の肌悩みは、ほとんどが乾燥・摩擦・日焼けの３大刺激による炎症で起きます。肌は、常に外敵から身を守るための土台作りをしていて、30歳頃を境に、ターンオーバーのサイクルが遅くなっていきます。紫外線を浴びても、20代までならササっと対処できていたのに、30代以降になると、対処が終わらないまま次の紫外線を浴びてしまったり、角質が未熟な状態で作られたりしてしまいます。

それ以外にも、血流不良や、コラーゲンの減少、角層肥厚などにより、乾燥、シワ、シミ、たるみ、くすみなどの様々な肌悩みが起こります。今はマスク生活なので、表情筋を動かす機会が減って、隠れているフェイスラインがゆるんで年齢を感じるという悩みや、目元だけが出ているため、目元のシワが気になるという悩みも多く聞かれます。

年齢を重ねるといろいろな悩みが出てくるので、ピンポイントで対処しても追いつかなくなります。肌悩みが表面化して気づいたときにはもう遅く、予防していかないとだめなんです。歯みがきと一緒です。虫歯ができてから歯みがきを始めても虫歯は治らないでしょう？ 虫歯ができたらまず対処したうえで、そもそも虫歯にならないように歯みがきすることが大事です。コラーゲンは20代から減ってくるので、そういう見えないところは早めにケアを変えてほしいですね。

やはりまずは乾燥・摩擦・日焼けによる刺激を起こさないことを大前提とし、基本の「洗う・潤す・守る」を大切にすること。この3ステップで肌の基礎体力をつけましょう。

また、人それぞれ肌質が異なるので、同じスキンケアをしても、結果は違ってきます。大切なのは、自分に合うアイテムやスキンケアの方法を知ることです。コスメの成分って、どれか一つだけで劇的に作用するものではないんです。いろんな種類の成分が組み合わさっていますし、同じ成分でもさまざまなランクがあるので、好きな成分が入っているコスメでも、テクスチャーが想像と違うなんてことも多々あるんです。

よく「正しい成分の選び方を教えてください」と聞かれますが、どれか一つの成分だけでは判断できませんし、誰にでも共通する正解成分はないんです。スキンケアは、成分だけではなく、使い心地のよさや香りの好み、ケアできている実感などがとても大事です。

あと、スキンケアを選ぶにあたって、そのメーカーのコンセプトを知っておいた方がいいですね。年齢に合わせたお手入れに特化していたり、肌の体力を底上げして総合力を高めたり、とことん保湿にこだわったりと、目的が異なります。今の自分が求めているコンセプトのブランドを探すと、よりよい結果につながると思います。
ぜひ、いろいろな商品を試して、自分のベストを見つけてください。

医者は基本的に「栄養バランスと適度な運動をしてください」と言いますから、つまらないですよね。（笑）でも、それが答えなんです。例えば、いくら栄養素が豊富でも、ニンジンだけを食べ続けて体にいいわけではないですよね。さまざまな栄養素をまんべんなく摂ることで肌の健康は保たれます。強いて言えば、現代人は食物繊維が不足しがちなので、意識して摂るといいと思います。菌活して菌を入れてもエサ（食物繊維）がないとだめですからね。

運動も、特別なトレーニングでなくてもいいんです。姿勢を正したり、できるだけ階段を使ったりして、筋肉を鍛えましょう。

そして、自分の顔をなるべく鏡で見て、肌の調子を確認する習慣をつけてください。1か月前、3か月前、1年前の自分と比べてどうかな？と。こまめに見ておくと、肌悩みの出現に早く気付いて、状態が深刻になる前にケアできます。よく「気付いたらシミができていた」という声を聞きますが、突然できることはないんです。少しずつ兆候が現れていたのに、気付かなかっただけ。早めに気付けば、もっと早い段階で対処できます。