「汗をかく」こと、生理学的には「体温を下げる」機能だけど中医学では?「赤と透明の液体でできている」と考えて

こんにちは、再春館製薬所の田野岡亮太です。

2026年の小暑(しょうしょ)は7月7日から7月22日。梅雨が明けて夏本番が始まる頃です。梅雨明けの時季と七夕の日が重なることが多いので、お住いの地域によっては七夕の夜に星が見えたり、梅雨がまだ影響して見えなかったりと様々だと思いますが、今年の七夕はいかがだったでしょうか。

梅雨が明けると、梅雨特有の湿気を多く含んだ空気から“湿”がいなくなり、太陽の陽射しをとても強く感じる“暑”の季節に移ります。夏も本番に入りますので、“暑気”と上手につき合える夏にしていただきたいと思います。

【田野岡メソッド/二十四節気のかんたん養生】

「小暑(しょうしょ)」、いよいよ夏の本番を迎えています

中国の古代哲学「五行学説」では、季節をいくつかの表現であらわしますが、その一つに「色」があります。春は若葉が育つ季節の“青色”。緑色を表す漢字が昔はなかったので“青色”としていると聞いた記憶があります。夏の太陽の陽射しが強い季節の“赤色”。

 

秋の空気が乾燥してスキッとする季節の“白色”。冬の草木も枯れて次世代の力を蓄える季節の“黒色”。小暑は、太陽がギラギラと輝く“赤色の季節”のピークから終盤にかけて…の頃ですね。

 

ちなみに“黄色”は「とても特別な色」とされています。“黄色”はその昔、君主様しかその色の着衣を身に着けてはならない色でした。季節の色としては、雨が多くて湿度が高い「長夏」の時季であったり、季節の変わり目の「土用」の時季であったりと表現されます。湿気も季節の変わり目も“おなかの消化機能”に影響することが多くみられるので、“夏の赤色”の力を身体の力として摂り入れてみましょう。

 

7月中旬からの夏本番は「汗の役割」が大切な時期です

まずは五臓六腑における夏のスター、「心」のお話から。

 

「心の機能」は炎熱の性質を持っているので、暑い季節がやって来ると働きを活発にする傾向があります。一方で、体外の環境が暑くなると身体の中の熱も高くなり、不要な熱を汗として体外に出すことが頻繁に行われる季節でもあります。

 

中医学では「身体は“赤い液体(=血/けつ)”と“透明の液体(=津液/しんえき)”から成っている」とイメージします。暑さが続き、汗をかく日が連日頻発すると…身体の中の透明な液体が“汗”として体外に出て行ってしまいます。すると、残された赤い液体が体内で相対的に多くなってしまい、まるで「軽度のドロドロ血」のような液体が血管を流れる…とイメージします。ポンプの「心」はいつものように押しているのに、思ったように巡らないので、さらにポンプの力を高めないといけない…。

 

このように、暑い季節に働きたくなる「心の機能」ですが、暑い季節だから必要となる「汗」によって、心の機能は負担が増してしまう…なんだか、夏のスター「心」がかわいそうな季節に感じてしまいます。

 

身体の中にある透明の液体(=津液/しんえき)は、身体の中の見えないパワー(=気)に運ばれて動くとイメージします。汗をかいて透明の液体が身体の外に出てしまう…これは「透明の液体を運ぶ“気”も一緒に体外に出てしまう」ということになります。

 

身体を動かす駆動力の“気”が汗とともに抜け出てしまうので、「気を補うこと」に夏は意識を向けていただきたいと思います。

 

また、「汗をかく」ということは身体の中の水分が失われてしまいます。身体の中で水分(=陰液/いんえき)を補う働きをする食材を重点的に摂取するのも、夏を快適に乗り切る方法の一つですね。

 

さらに、外気が暑くなる夏の季節は、身体の熱も上がります。汗の放出が適度で調節できるように身体の熱を適度に冷ます働きも摂り入れたいですね。

 

夏の暑さが厳しくなるほど「かき氷・アイスクリーム」を食べたくなりますが、体温(体表で約36~37℃・体内ではさらに約+2℃)との温度差が30℃以上あります。体温との温度差がとても大きな冷たい物を摂ると、おなかの五臓六腑の機能に影響が及び、身体がだるくバテて感じることにもつながりかねません。暑い時期だからこそ「身体に気と水分を与えて、熱を冷ます」食材を意識的に選んでみませんか。

 

なつめ茶つゆのチコリボートそうめん

夏に活躍する“心の機能にうれしい食材”でおススメなのは、なつめ、たまご、パプリカ、ココナッツウォーターなどがあがります。併せて、汗をかいた身体におススメなのは、オクラ、トマト、きゅうり、ズッキーニなどが挙がります。

 

これらの“心の機能・汗をかいた身体にうれしい食材”を使ったおススメレシピの1つ目は「なつめ茶つゆのチコリボートそうめん」です。暑くなると“そうめん”の季節ですね。乾麺を湯がいて作る中に「身体を想う工夫」を入れてみたいと思ったところ、「なつめ茶の甘味をそうめんつゆに使ってみる」という発想が浮かびましたので、おススメレシピにしてみました。

 

作り方は、まず“なつめ茶つゆ”を作ります。水300mlに種を取ったなつめを入れて30分放置した後、中火で10分煮出して“なつめ茶”にします。なつめを取り出したら、しょうゆ(大さじ6)・みりん(大さじ2)を加えて沸騰させます。沸騰したらかつお節(1g)を加えて中火にし、5~6分後に火を止めます。熱が取れたらかつお節を絞って“なつめ茶つゆ”の出来上がりです。

 

次に“彩り野菜”の準備です。トマト(1個)はあらかじめ冷凍しておき、そうめんを茹でるタイミングですりおろします。オクラ(3本)は塩もみをして熱湯でゆでた後、小口切りにします。きゅうり(1本)は1~2mm厚の薄切りにします。そうめんを表示通りにゆで、流水でもみ洗いをして水気を切ります。めんをフォークで食べやすく巻いてチコリの葉にのせて、きゅうり・トマト・オクラを彩り良くのせたら出来上がりです。

 

なつめは「身体に気と血を補って、精神のコンディションを安定させる」働きが期待できます。中医学では、「心の機能は神志を司る」と表現して心の機能と「神=精神」は密接につながりがあるとしています。夏の暑さで汗を多くかいて「軽度のドロドロ血」の状態になってしまうと、ポンプの「心」に影響が出て、「神=精神」にまでその疲れが響いてしまう…という身体の状態の気・血を補って精神のコンディションまで整えてくれる“なつめ”は、暑い夏場こそおススメの食材です。

 

輸入食品店などでドライフルーツとして販売されているなつめのお茶をそうめんつゆのベースとして夏野菜と組み合わせることで、「身体に気と水分を与えて、熱を冷ます」「不眠につながる精神のコンディションを安定させる」という夏の身体が喜ぶレシピになりました。ぜひ試していただけると嬉しいです。

たまごとズッキーニのココナッツウォータースープ

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2つ目も“心の機能・汗をかいた身体にうれしい食材”を使ったレシピとして「たまごとズッキーニのココナッツウォータースープ」を紹介します。急に暑さが増しても、身体がまわりの環境に適応するのに2週間ほどかかると言われます。夏本番の暑さの影響が少しでも軽減できるように、“心の機能”に働きかけるたまご・パプリカ・ココナッツウォーターを組み合わせておススメレシピにしてみました。

 

作り方は、玉ねぎ(中1/2個)をみじん切りにします。ズッキーニ(1本)は半月切りに、パプリカ(赤色1個、黄色1個)は5mm幅の細切りにします。たまご(1個)は蒸し卵にしておきます。鍋を熱してたまねぎを軽く炒め、ズッキーニ・パプリカを加えた後、ココナッツウォーター(400ml)・水(200ml)・鶏ガラ粉末(大さじ1/2)・しょうゆ(大さじ1)・塩(小さじ1/2)を入れて10分ほど煮ます。スープを器によそって、半分に切った蒸したまごを乗せたら出来上がりです。

 

たまごは「身体に血と水分を補って、心と精神のコンディションを整える」働きが、パプリカは「心のコンディションを整える」働きが、ココナッツウォーターは「身体に水分を補って、身体の熱を冷ます」働きが期待できます。この3種類の食材は、どれも“心の機能”に働きかけて、そのコンディションを整えてくれます。急に暑さに取り巻かれてパニックになりそうな身体を必死にコントロールしている「夏のスター“心”」ですので、少しでも食べることで支えとなることが出来ればと思って、食材を組み合わせてみました。

 

 

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