【中学受験】塾での劣等感も成長の糧――小学校受験とは異なる「複雑さ」と「本人の意志」

2026.07.31 LIFE

偏差値が教えた「人と自分を比べる苦しさ」と親の葛藤

 

5年生になり、「他人と自分を比べる」という意識が芽生えたC君の姿に、美桜さん夫妻は胸を痛めたことがあったそうです。

 

「3人組の中で、うちの子が一番偏差値が低いんです。決して勉強が嫌いなわけでも苦手なわけでもありません。それなのに、1人は天才タイプ、もう1人は算数も英語も得意。偏差値や順位が見えることで、自信をなくしてしまいました」

 

ある日、学校の課題で「特技・趣味」を書く欄があったそうです。

 

「三男が『俺の特技って何?』と聞いてきたので、『英会話続けてるから、英語のスピーチは?』と言うと『あいつのほうが上』。『水泳は?』と言っても『それもあいつが上』。私が『世界一じゃなきゃ特技って言えないの?』と聞くと、『分かってるけど恥ずかしいんだよ。どうせ全部、俺が一番下なんだよ』と怒鳴り返されてしまいました」

 

美桜さんは転塾も勧めましたが、「先生も友達も好きだから」と、C君は首を縦に振らなかったそうです。

 

「今の第一志望は『気に入った伝統校』、第二志望は『お兄ちゃんの学校』です。母親としては、偏差値で友達に劣等感を抱くくらいなら、塾を辞めて兄の学校を受けて、だめなら公立でもいいと思っています。でも、幼児の頃なら親が塾を選べましたが、今は本人の意思もあるので、それも難しいですね」

 

美桜さんは、ざっくりとした意味では親が敷いたレールの上を歩きながらも、自力で困難やストレスから立ち直る力「レジリエンス」を育もうとしている息子を、葛藤しながら見守っています。

 

「もちろん、この心の劣等感も本人にとって『成長の糧』になると信じています。でも今の私が言えるのは、『難関校ではない小学校受験に限って言えば、中学受験より楽で、親がコントロールしやすかった』ということです。今振り返ると、その気になれば、敷いたレールをヒョイと方向転換できるプラレールみたいにすら思えます。でも今は、本人の思いがしっかり乗っかっているのでレールが重く、たとえ親でも強引に動かすことはできません」

 

本作は取材に基づいたストーリーですが、プライバシーの観点から、個人が特定されないよう随時事実内容に脚色を加えています。

 

>>この記事の前編:長男は小学校受験、三男は中学受験の理由は次男の療育。男の子3人ママ「小学校受験と中学受験は別物でした」

 

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