アートメイクが「数年で消える」は嘘だった!約2カ月で「タトゥー化」する皮膚のメカニズムとは?医師が明かす、衝撃の真実
どんなに完璧に浅く入れても、インクは皮膚の奥へ沈んでいく
アートメイクの一般的な定義では、皮膚の表面からごく浅い表皮から真皮浅層にあたる約0.01〜0.3mmにインクを定着させるとされています。
ですが、私が病理学的に解析した14例の皮膚切片データを見てみると、理論上の定義である0.3mm付近を大きく超えて深い場所にインクが存在しているという、驚くべき結果が出ました。表皮から最深部までの距離を計測すると、最小でも0.5mm、最大ではなんと1.4mmに達しており、中央値は0.63mmでした。データの中心50%が0.5〜0.9mmに集中しており、理論上の数値とは大きく乖離していたのです。

レーザー照射のしかたの一例。レーザー除去はアートメイクの色素にレーザー光を照射して微細に粉砕し、体の代謝で排出させる方法です。施術直後に完全に消えるわけではなく、複数回の除去施術をすることで徐々に除去されていきます。

レーザー除去の直後。一般的には3回以上の除去施術が必要な場合が多く、インクの濃さや深さや色、過去に何回アートメイクを施したかによって回数は異なります。
なぜ、現代の優れた技術で浅く均一に入れたとしても、これほど深い場所までインクが届いてしまうのでしょうか?
その最大の理由は、人間の体が持つ免疫反応、いわゆる異物反応にあります。 肌にインクという異物が侵入してくると、体内の掃除係であるマクロファージという免疫細胞が、それを体外へ排除しようとして食べに集まってきます。このマクロファージがインクの粒子をパクッと取り込んだまま皮膚の中に留まり、細胞の寿命が尽きると次の細胞へとインクの受け渡しを繰り返します。この生体特有のサイクルが繰り返されることで、インクを含むマクロファージ自体が深層に落ち込んでいくため、インクごと居座ってしまうのです。
海外の最新の論文でも、アートメイクの色素は施術から56日、およそ2カ月が経過する頃には、体に入れるタトゥーとほぼ同じ深さにまで落ち込んで定着していたという実験結果が報告されています。
つまり、アートメイク施術者の腕がどれほど上手であっても、体内でマクロファージが異物を処理しようとする自然な免疫反応が働く以上、インクのタトゥー近似化は避けられません。アートメイクは簡単に入れ直せるカジュアルなものではなく、本質的にはもしかするとタトゥーと変わらない、簡単には消せない医療行為であるという認識が必要なのです。

特殊な拡大鏡で表皮下の真皮浅層まで観察すると、インクが層のように重なって局在している。

インクは毛包よりも深いところまで潜り込み、真皮中層レベルに残存している。右の拡大写真は、マクロファージがインクの粒子を取り込んだまま皮膚の中に留まっているところ。
ここまでは、アートメイクが皮膚に残るメカニズムと、誰も知らなかった皮膚組織の真実についてお伝えしてきました。
続く後編『アートメイクをしていると、MRI検査が受けられない!? 「知らないと命に関わる」と医師が警鐘。絶対に避けるべきサロンの見極め方【後悔しない「入れ方」も解説】』では、実は知らない人がとても多い、アートメイクを施しているとMRI検査が受けられなくなる不安や、悪質なサロンに引っかからないための施設選び、40代・50代の大人世代への具体的なアドバイスについて、引き続き西林涼子先生にお伺いします。
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『アートメイクをしていると、MRI検査が受けられない!? 「知らないと命に関わる」と医師が警鐘。絶対に避けるべきサロンの見極め方【後悔しない「入れ方」も解説】』
お話

西林 涼子先生
形成外科専門医。大阪・北摂の千里中央りょうこスキンクリニック美容・形成外科院長。5つの専門医と2つの指導医を持つ。培われた高い診断力と確かな技術を基盤に、保険診療から最先端の美容医療まで幅広く診療を行う。「病気を治し、健康をさらに美しく」を理念に掲げ、一人ひとりの肌悩みに真摯に寄り添った、誠実で根拠に基づく医療を提供している。
症例写真提供/千里中央りょうこスキンクリニック美容・形成外科 院長 西林 涼子先生
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