夫が経済的な知識や能力に優れている、自分はその点が苦手だったので「自分のお金も夫に任せればうまく運用してくれる」という信頼が支配を許すきっかけとなりました。結婚前から夫が外資系銀行で働いていることもあり、「誠実で信頼できる人、お金のプロが夫なんて私は恵まれている」と信じていました。
Yさんは「夫が家庭の財政を管理し、妻は生活費とお小遣いをもらう」という役割分担を受け入れていました。しかしこれは、夫婦の平等というものでなく、陰に夫の支配の欲求が隠れていたのです。
夫の「君は僕と結婚しなかったら老後は生活保護だったよ」という言葉も信じ込んでいたYさんは「自分の欲求は無駄使いなんだ。夫が許してくれる金額で計画的に使わないといけない」と思い込み、自己評価が下がって自分を責めてしまう習慣が身についていました。そしていつしか、自分の考えを主張するよりも夫に従うほうが楽だと感じるようになったのです。
さらには夫が「家庭全体のため」という名目で給与を管理していたため、Yさんは夫の方針によって家庭が安定しているかのように感じていました。この「安定」が実はYさん自身の自由や自立を犠牲にしたものであると気づくのに時間がかかってしまったのです。