「取り急ぎ~まで」は失礼⁉ 「こちら~になります」は間違い! 中堅社員でもうっかり間違えるビジネス日本語
「この敬語、本当に合ってる?」と不安になり、ネットで例文を検索したり、AIに返信文を生成する――こんな行動に覚えがある人も少なくないのではないでしょうか。社会人経験を積んでも、二重敬語や慣用句の誤用に気づかないまま使い続けている人は少なくありません。
リクルートやLINEでの人事経験を経て、4,500時間以上の実績を持つプロコーチ・寺田貴哉氏によると、部下ができたり、リーダーになったりしたタイミングは特に「言葉づかいを見直すいい機会」なのだそう。
本記事では、寺田氏が監修した書籍から、意外と間違えやすい敬語や慣用句と、印象を高める言葉づかいを紹介します。
※本記事は書籍『はじめて部下ができたら知りたいことが全部のってる本』(寺田貴哉:監修/主婦の友社)から一部抜粋・編集したものです
※マンガ、イラスト/イケマリコ
リーダーになった今こそ言葉づかいの見直しを
より自然で洗練されたビジネスマナーを手に入れよう
リーダーに任命されたあなたは、社会人としての基本的なマナーや気遣いをすでに身につけていることでしょう。多くの方が後輩の指導経験を持ち、一定のコミュニケーション力も培ってきたはず。
しかしリーダーの立場になると、これまで以上にメンバー全員と関わる機会が増え、日々の言動が周囲から注目される場面も多くなります。誤ったビジネスマナーを用いてしまえば、自身が恥をかくだけでなく、メンバーにそのまま受け継がれてしまう可能性もあります。
さらに、リーダーになると、上司と共にクライアントとの会議や打ち合わせに参加する機会も増えていくでしょう。社外の場では、あなたの言葉づかいや立ち居振る舞いが、そのまま「会社の印象」として相手に伝わるため、丁寧で正確なビジネスマナーを身につけておくことは大切です。
特に注意したいのが、二重敬語や慣用句の誤用です。これらは、中堅社員になっても気づかず使い続けてしまうケースが少なくありません。リーダーとしての信頼性を高めるためにも、この機会に改めて自身のビジネスマナーを見直し、正しい表現を習得しておくことをおすすめします。
リーダーが避けたい言葉づかい
使いがちな二重敬語
× 企画書を拝見させていただきました。
◯ 企画書を拝見しました。
× 資料をご覧になられましたか?
◯ 資料をご覧になりましたか?
× 明日の件、お聞きになられましたか?
◯ 明日の件、お聞きになりましたか?
× みなさんでお召し上がりください
◯ みなさんで召し上がってください
× 後ほど伺わせていただきます。
◯ 後ほど伺います。
× 齋藤様がお見えになられました。
◯ 齋藤様がお見えになりました。
× A社がサンプルをお求めになられました。
◯ A社がサンプルをお求めになりました。
中堅でも使いがちなうっかりメール表現
・「~のほう」
「弊社のほうで対応いたします」「サンプルのほうを受け取りました」など、「~のほう」という表現は多用されがちだが、日本語としては誤り。「弊社が対応いたします」「サンプルを受け取りました」が正しい表現。
・「~になります」
「こちらが資料になります」などの表現は、変化しないものに対して、変化を意味する「なる」を使っているため誤用。バイト敬語とよばれている。本来は「資料でございます」や「資料です」でOK。
・「~でよろしかったでしょうか」
物事を確認する際は現在形が正解で、過去形は不自然とされる。正しくは「~でよろしいでしょうか」「~でいかがでしょうか」など。ただし、「よろしかったでしょうか」は、より丁寧な表現という意見もある。
・「取り急ぎ~まで」
用途・相手によっては失礼に受け取られる可能性があるフレーズ。「失礼ながら、取り急ぎご連絡申し上げます」「まずは、ご連絡のみで失礼いたします」のような表現だと省略したイメージが薄くなり、丁寧な印象に。
誤用しがちな慣用句
現代では誤用が広く浸透しているものもありますが、ビジネスシーンでは本来の意味を理解しておくほうが安心です。
役不足:「与えられた役割に対して自分の能力が足りないこと」が誤用で、正しくは「与えられた役割が力量に対して軽すぎること」。
× 「こんな重要な仕事は自分には役不足だ」
◯「こんな簡単な仕事は自分には役不足だ」
煮詰まる:「物事に行き詰まること」が誤用で、正しくは「議論が十分になされて、解決に近づくこと」。
× 「議論が煮詰まって、誰も意見を出さなくなった」
◯「議論が煮詰まって、ようやく空気が和らいできた」
矢先:「行動を起こしたその直後」が誤用で、正しくは「物事が始まろうとする、まさにそのとき」。
× 「プロジェクトを進めた矢先、問題が発生してしまった」
◯「プロジェクトを進めようとした矢先、問題が発生した」
やぶさかでない:「仕方なくやる」「渋々やる」が誤用で、正しくは「喜んでやる」「積極的にやる」。
× 「プロジェクトへの参加はやぶさかではございますが、お引き受けいたします」
◯「プロジェクトへの参加はやぶさかではございません。喜んでお引き受けします」
檄を飛ばす:「激励すること」が誤用で、正しくは「自分の主張や考えを訴え、同意を求める」。
× 「明日、プレゼンに挑むメンバーに檄を飛ばした」
◯「本年度の売上に対して、チームに檄を飛ばした」
割愛する:「不要なものを切り捨てる」が誤用で、正しくは「惜しいと思いながら手放す」。
× 「この部分は文章が長いから割愛しよう」
◯「文字数制限があるから、残念だけど割愛しよう」
潮時:「物事をやめる頃合い」が誤用で、正しくは「物事を始めたり終えたりするのにちょうどいい頃合い」。
× 「この会社もそろそろ潮時かな」
◯「この会社を動かす潮時だ」
敷居が高い:「自分には不相応であり手が届かないこと」が誤用で、正しくは「相手に不義理などをしてしまい、行きにくいこと」。
× 「あのお店は高級すぎて敷居が高い」
◯「この間、失礼なことをしてしまったから敷居が高い」
▶覚えておきたい、印象がアップする「言い換え」集
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