岩井志麻子のおんな欲(2)「熟女の星に願いを……」
私は占いは信じないとか否定するとかはないけど、自分自身を占ってもらうより、占い師の元に来るお客さんの話を聞かせてもらう方がおもしろい。
先日会った占い師は六十過ぎの美魔女で、遠慮なくズバズバ痛いこともいうけれど、とにかく誠実な人柄で人気だ。その占い師が、こんな話をため息まじりにしてくれた。
「世間一般的な適齢期は逃した、アラフォー女性の結婚相談は痛いわ~。金持ちエリート美男でなきゃ嫌だとかいうの。そういう男は若い女を選ぶといったら、『こんなに待ったのに今さら妥協できない』と泣いて、どうにかしてという。占いは魔法じゃないっての」
「だけどアラフィフ、志麻子さんも属している世代になると、さすがにそういう高望みは捨てる。誠実な人なら、とか、優しい人なら、みたいに妥協ではなく譲歩をしてくる。
といって五十過ぎたら、女を捨てて生活の保障と老後の安定だけを求めるようになるかというと、そうでもない。逆に異様な乙女心を発酵させてるのが、最近は増えたわ」
「たとえば『同じ会社の二十代男性社員に恋をされている』とか、『うちの店に来る一回り年下の男性客が私を好きで』みたいなことをいってくるんだけど、じゃあ彼との相性を占ってみましょう、その彼の生年月日はと聞いたら、ちゃんと答えられない。
結婚も考えている、付き合っている、といいながら、その相手とは実際には手も握ってないし互いの家も行ったことないの。はっきりいって、一方的な思い込み、妄想よ」
「漠然と、自分の周りにはいない素敵な男性との結婚を夢見るアラフォーと、現実に接触はあるけど何の関係にも発展しない若すぎる男との恋愛を夢見るアラフィフ。どっちも女というより、女の子よ。彼女達は、ずっと夢を見ていたい」
「私の元にもう四半世紀は通ってるアラフォーは、フランスの化粧品会社の広報でなかなかの美女。就職したときから、エリートのフランス人と結婚してパリに住むといってるけど、五十近くなってもまだ私のとこに来て、来年こそはパリに住めますか、とか聞くの。彼女も、大手の外資系の広報になれるほど行動力も実力も、かつては美貌もあったのに」
「女にしがみつくんじゃなくて、女の夢にしがみつく。本人的には、『女も夢もあきらめないわ』なのね~。まぁ、そんな彼女らが私達を儲けさせてくれるんだけど」
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