討死した武士の葬儀代は誰が払った?「信長の葬儀」すら権力誇示に利用した秀吉の算段

2026.08.18 LIFE

戦国時代のお墓

『豊臣兄弟!』の第9話「竹中半兵衛という男」には、小一郎(仲野太賀)が直(白石聖)の墓に手を合わせ、今の思いを静かに語りかける場面がありました。直の墓は五輪塔というタイプのもので、当時における一般的な墓の1つでした。五輪塔は空、風、火、水、地を表す5つの部分で構成されています。

小一郎(仲野太賀) 喜左衛門(大倉孝二) 大河ドラマ『豊臣兄弟!』9話(3月8日放送)より(C)NHK

庶民が共同墓地に埋葬されたり、野ざらしにされたりすることも珍しくなかった時代背景を鑑みると、本作の9話の時点で小一郎はそこそこの稼ぎがあったと察せます。

 

戦国時代の掟……死者に対する礼儀

戦国時代は乱世であり、多くの人びとが戦いで命を落としました。戦国武将は下々の兵を蔑ろにしていたと先入観を抱きがちですが、必ずしもそうではありません。討死した者の葬儀や法事の諸経費は主家が負担するのが一般的で、立派な葬儀を執り行い、死者を敬うことが望ましいとされていました。

 

また、遺族には禄を与え、子弟を優遇する慣習もありました。『豊臣兄弟!』では、与一郎(大西利空)が織田信孝(結木滉星)をかばい、傷を負いましたが、「もしも 信孝様が 織田家を率いられることになりましたら きっと我らも 今以上に お取立てくださいまする」と小一郎らに話す場面(第29話「天下への道」)があります。戦で貢献し、命を落とした者がいる家族は、主君から引き立てられることも実際にあったのです。

 

戦場で命を落としたら、放置も珍しくない

とはいえ、戦国時代において討死すれば、遺骸が必ず大切に扱われていたわけではありません。戦に敗れた場合などには、遺骸が戦場に放置され、自然のままに委ねられることもありました。また、近隣の住民が遺骸から刀や着物をはじめ、金目のものを盗み取り、売り払うこともありました。

 

戦国時代には遺骸を回収して埋葬する業者は存在しなかったため、臭いや衛生面の問題に耐えかねた近隣住民が自らその作業を行うのが一般的でした。これらの作業に対する謝礼を支払う機関や制度もなかったことから、遺骸から盗んだ刀や着物などを売って得た金銭が、報酬となっていたのです。

 

>>31話の振り返り:ダーク秀吉(池松壮亮)の覚醒と生きる意味を取り戻した市(宮崎あおい)。「池松壮亮が『秀吉』役でよかった」【NHK大河『豊臣兄弟!』31話】

 

<参考資料>

池上良太『図解 戦国武将』新紀元社、2010年

三栄『時空旅人 別冊 秀長と秀吉 ─豊臣兄弟と激動の戦国時代―』三栄書房、2025年

三栄『時空旅人 ベストシリーズ ルイス・フロイスが見た明智光秀』三栄書房、2020年

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