進学実績が急伸した中高一貫女子校がブラック化?「日本一宿題が多い」とぼやく娘が高校受験へ舵を切った理由
首都圏では、いまや2月の一大イベントともいえる中学受験。首都圏模試センターによると、2026年度入試の私立・国立中学受験者数は52,050人(前年比99.5%)にのぼり、過去40年で4番目の多さとなりました。
幼稚園教諭の桂子さん(仮名:44歳)は、1人娘の中学受験に伴走し中学2年生の娘・Aちゃんは見事第一志望の中高一貫校に合格。家からの距離も近く偏差値も「爆伸び」している進学校ですが、その「ブラックぶり」に辟易したAちゃんは、1年生の頃に早くも見切りをつけて高校受験に向け塾に通い始めたそうです。
【どうする?小学校受験と中学校受験】#16前編
おっとりお嬢様中高が、急に進学校になった理由は「難関医大合格」

画像:首都圏模試センター提供
桂子さんの娘のAちゃんは中学受験で、首都圏南部にある、地元では伝統校として知られる中高一貫の私立女子校に合格しました。
「元々、その女子校は地元でも評判が良く、『理系が多いおっとりしたお嬢様学校』として知られていました。それが、良くも悪くも『進学校』に変わってしまったのは、難関医大の合格者が出た数年前。急に勢いづいた教職員がラーニングセンターなどを作り、難関校合格に向けて盛り上がりをみせたと、娘が入学してから同校の卒業生に聞いています」
その情報を耳にするには、数年ほど遅かったと桂子さん。
「うちの娘は『あんな日本一宿題の多い学校、今すぐにでも辞めたい』と言い出し、留学やサポート校のパンフレットまで取り寄せました。その反面、会うと楽しく話せる友人は何人かいるようで、今は『高校受験の内申のために適宜通っている』状態です」
Aちゃんが小学4年生になった頃、桂子さんは「中学受験をしたほうが、高校受験をスキップできるので青春を謳歌できるのではないか」という思いで、娘に中学受験を勧めたそう。
「私は中高一貫校出身なので、高校受験をすることなくチアリーディング部の活動に打ち込めて、絵に描いたような青春を送ることができたと思っています。娘にも『受験は少ないほうが良いんじゃない?』と言ったら、4年生なりに『それもそうだね』と答えて、憧れのラクロス部がある女子校を調べ始めました。ちなみに、ラクロスは漫画で気に入ったそうです」
いくつかの学校見学を経て、Aちゃんは「家から近くて、理系だし、制服がかわいいしラクロス部もある」と、近隣の女子校を第一志望に決めたそう。
「私はどちらかというと、『ええ? 共学のほうが青春って感じじゃない?』と言ったのですが、『今んとこ、それはどうでもいい』と言われました。まぁ、4年生ならそうですよね。でも、娘が気に入った女子校は、地元育ちの私から見ても『ちょっと地味だけどお嬢様』ってイメージで異論はありませんでした」
ネットの掲示板に並ぶ「ブラック」「宿題が多い」という悪口に怯んだ夫
しかし、Aちゃんの第一志望のR女子校について、やはり地元出身の夫・孝さん(仮名:49歳)は「宿題が多いってネットで見るけど……」と難色を示したことがあるそう。
「夫はIT企業のエンジニアで、ネット中毒です。いろんな掲示板を見て回り、『ブラック企業並みの宿題量』『R女子の教諭陣は難関医大の合格者が出て浮かれすぎ』というネガティブな投稿を見たそうで。でも、その掲示板は、ほぼどの学校もたくさんの悪口が書かれていて。私は『そもそも不満がなきゃ高校生がわざわざネットに書きこまないよ』と笑って流しました」
その後、学校見学で在校生に「宿題が多いって聞きましたがどうですか?」と質問をしたというAちゃん。
「答えは、正直なものでした。『多いこともありますね。でも、寝る間もないとかじゃなくて、健康的な生活を送れる程度なので私は気になりません』と、かわいらしい在校生は教えてくれました。その答えは、概ね間違ってはいないのですが……」
Aちゃんは、ひとりで机に向かってコツコツ勉強するより、塾の先生と対話しながら好奇心を刺激されるほうが、学習に意欲的に取り組めるタイプだそう。
「うちの場合もともと成績は良いほうでした。とはいえ『昔の私に比べれば』という意味で、だいたい4教科偏差値60くらい。小さい頃から『なぜなぜ』が多く、好奇心旺盛なので個別指導塾を選んで大正解でした。不得意科目もなければ、天才的にできる科目もなく、まんべんなく学ぶ性格です。また、娘の志望校のR女子校は、私の若い頃は偏差値55程度でしたが、今は60を超えたあたり。充分狙える範囲でした」
Aちゃんは、4年生から6年生までで、およそ5ポイントほど偏差値が伸びたそう。
「娘の気に入ったおもしろい先生が、マンツーマンで笑わせたり褒めたりしながら教えてくれて、最後は過去問をガリガリ解くことで、見事桜が咲いたときは泣いて喜んでいたのですが。人生、なかなか簡単にはいかないですね」
憧れのラクロス部に入ったものの「みんなやる気ない」と退部してため息ばかり
中学に入学し、憧れの制服に袖を通して意気揚々と学校に登校したAちゃん。友人も何人かできて、普通に通っているように見えましたが……。
「まず最初の異変は、せっかく入ったラクロス部を1学期で辞めたことです。『みんな、週2の練習すら来なくてやる気ないし、そりゃあの宿題の量じゃそうだよね』と、吐き捨てるように言って、つまらなそうに『年間の学習計画表』を広げてため息ばかりついていました」
R女子では、「どの問題集を、いつまでに、どれくらいの時間をかけて終えるか」をあらかじめ定めた「学習計画表(仮名)」に基づいて、宿題や主要教科の授業が進められていくそう。
「それが物凄く多くて。そりゃ、遊ばず部活もゆるくしかせず、平日は自習室、休日は中学受験のときくらい机に向かえば、睡眠時間を奪うほどではありません。でも、それじゃあ何のために中学受験をしたのか、親としても意味が分かりません。さらに困ったことに、娘は『そこそこ上の点数』で合格したので、難関国立大学受験コースに入れられてしまったんですよね」
一時期は、成績を下げれば楽になるのかと画策したこともあるというAちゃん。しかし、その下の私立大学受験コースに入れたところで、「遅れを取り戻す」目的の補習が待っているそう。
「娘は、2学期の間は宿題を無難にこなし、『だるい』『めんどくさい』『やだなぁ、あの学校。日本一宿題が多いとかネットに書いてあるぞ』とかぼやいていました。でも、3学期のある日、『ねぇあたしこのままじゃ、ネットのクチコミに悪口書き込む人間になりそうなんだけど』と言われてしまい。夫が『高校受験しない? 俺の母校いいよ』と、提案することに相成りました」
つづく【関連記事】では、入学前と入学後に感じたギャップと中高一貫校で高校受験を目指す様子をお届けします。
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