植物状態と告げられた妻は「家族の声」を聞いていた…事故から3か月後に起きた奇跡と、明かされた事実
「植物状態になる可能性があります」――突然の事故で重傷を負った妻を前に、医師からそう告げられたとき、医学博士の井上裕之氏は深い絶望の中にいました。
正面衝突事故によって意識を失った妻は、生死の境をさまよう状態に。懸命な手術によって一命は取り留めたものの、その後も意識は戻らず、厳しい状況が続きました。それでも井上氏は諦めることなく、妻に声をかけ続けたといいます。
本記事では井上氏の著書から、妻が意識を取り戻すまでの壮絶な日々と、回復後に明かされた驚きの事実について紹介します。
※本記事は書籍『悲しみを手放す。 大切な人との別れや失意の日々が教えてくれること』(井上裕之:著/日本実業出版社)から一部抜粋・編集したものです
事故から3か月。奇跡の瞬間が訪れる
乗っていた車の衝突事故からひと月がたったとき、人工呼吸器を装着しました。気管切開され、喉に呼吸器へとつながるチューブが取り付けられた妻を見たとき、強い衝撃を受けました。
もう引き返せない一線を越えてしまったのではないか……。
容態は依然として絶望的で、医師は繰り返し「植物状態」という言葉を口にします。その言葉の重みに心が折れそうになりながらも、私の答えは決まっていました。
「たとえ植物状態であっても、生きていてほしい。娘に『母親』という存在を感じさせてあげられるなら、それだけでいい」
事故から2か月が過ぎた頃、私は一冊の本に出会いました。旭川に向かうバスの待ち時間、ふと立ち寄った書店で目に飛び込んできたのが、ナポレオン・ヒルの『思考は現実化する』(きこ書房)でした。
それまでの私は、歯科医としての研鑽がすべてであり、専門書以外を手に取ることは、ほとんどありませんでした。
技術を磨き、結果を出す。それがプロの道だと信じ、「考え方」や「生き方」そのものを学ぼうとする発想がなかったのです。
夢、目標、理想、そしてそこに至るための思考を意識したこともなく、ただ歯科医療に全力で取り組み、実績を出すことだけを考えてきました。そんな私にとって、新しい世界に触れた瞬間でした。
人は、考え方ひとつで現実の受け止め方が変わる。ナポレオン・ヒルのその言葉に、強く引き込まれました。
「妻は今、命を懸けて闘っている。それなのに、支える側の私があきらめてどうするんだ。彼女が目覚めたとき、誰よりも強く彼女を支えられる自分になっていよう」
そのときはじめて、自分自身の生き方を見つめ直したのです。
2か月半がたったとき、妻の片目が、かすかに開きました。ほんのわずかな変化でした。医師は意識とは関係のない反応、つまり「反射である」と見立てましたが、私にはそうは思えませんでした。
「決めつけないでほしい」
「人の命は、数値やデータだけで決めつけられるものではないはずだ」
「彼女は、生きようとしているんだ」
そして、事故から3か月後。奇跡の瞬間が訪れました。止まっていた脳波計の針が、震えるように動き出したのです。長い眠りから、妻が目を覚ましました。
▶「意識不明」でも「すべてを感じ取っていた」?
続きを読む
1 2
スポンサーリンク
スポンサーリンク
















