「病気を使って、私をつなぎ止めようとしているのでは」離婚を考えていた夫にガンが発覚…どう向き合えばいい?「潜在意識研究の第一人者」が語る“夫婦の縁”

2026.09.13 LIFE

長年のすれ違いやわだかまりから、離婚を考えていた相手に重い病気が見つかったら、あなたはどう向き合うでしょうか。これまでの不満や悲しみが消えるわけではない。それでも、弱っていく相手の姿を前にすると、割り切れない気持ちが湧き上がることもあるかもしれません。

潜在意識研究の第一人者として知られる井上裕之氏は、病気という出来事が、ときに人と人との縁を見つめ直す機会になると語ります。本記事では井上氏が「別れの試練や失意の乗り越え方」を綴った著書から、夫のガンをきっかけに夫婦関係と向き合った女性の実例を紹介します。

※本記事は書籍『悲しみを手放す。 大切な人との別れや失意の日々が教えてくれること』(井上裕之:著/日本実業出版社)から一部抜粋・編集したものです

 

病気が教えてくれるご縁の結び直し

離婚を考えた夫にガンが見つかる

ある女性から、こんな相談を受けたことがありました。長年連れ添ったご主人がガンと診断された、というのです。しかも、夫婦仲がぎくしゃくし、すれ違いが続いていた時期のことでした。

「これから先、どうあの人と向き合えばいいのか。私は無理に明るくふるまおうとしてしまい、一人になると、どっと疲れが押し寄せてしまうんです」

過去のわだかまりと、目の前にある現実。その両方を抱えながら、どのように関係を続けていけばいいのか、答えが見えなくなることもあるそうです。私は、彼女にこうお伝えしました。

「これまでにいろいろなことがあったとしても、その人と出会い、同じ時間を過ごしてきたのは、ご縁があったからですよね。今回の病気は、その縁をもう一度見つめ直すきっかけになるかもしれません。相手と向き合い、心の奥にある気持ちを言葉にする時間を授かったのだと受け止めてみてはどうでしょうか」

その人と過ごした時間には、必ず前向きな意味がある人は、ともに過ごした相手とわだかまりを抱えたまま別れることに、やりきれなさを感じるものです。

病気という転機を通じて支え合い、互いを許し合えるようになれたなら、それはひとつの救いになるはずです。

たとえ過去のすべてを水に流せなくても、「この人と過ごした時間には意味があった」と自分なりに納得できたとき、心が軽くなることもあるでしょう。

ご主人の病気をきっかけに、2人のあいだには穏やかな時間が流れ始めたそうです。

たとえば、窓辺で一緒に朝日を浴びたり、他愛のない会話をしながらお茶を飲んだりする。そんな、かつて彼女が求めていた日常が、今、少しずつ現実のものになってきています。

もちろん、彼女の心には簡単には消えない葛藤がありました。

ご主人のアルコール依存症に長く翻弄されてきた彼女は、今回のガンの告知を受けたとき、「この人は病気を使って、私をつなぎ止めようとしているのではないか」とさえ思ったといいます。

それでも、いざ手術や治療に立ち会うと、理屈では割り切れない思いを感じました。弱っていくご主人の姿を前にして、「自分にできることをしなければならない」という使命感のようなものが込み上げたそうです。

失われるかもしれない命を目の当たりにしたとき、これまでの行き違いよりも、「放っておけない」という気持ちがまさったのでしょう。人の情は、それほど簡単に切れるものではないのだと思います。

先のことはわからなくても、今、精一杯に尽くす。その先に「やれるだけのことはやった」という納得があれば、ご主人との歩みを、「これで良かった」と受け入れられる日が来るのではないでしょうか。

病室で過ごす時間の中で、抱えてきた相手へのわだかまりが少しずつ消えていく。それは、新しい関係を築くための、大切な一歩になるかもしれません。

これまでの歳月を否定するのではなく、今の時間を大切に受け止める。それが、相手との関係をもう一度見つめ直すことにつながります。

 

ここまでの記事では、夫の病気をきっかけに夫婦関係と向き合った女性の経緯と葛藤について紹介しました。つづく関連記事では、「病気の人への声かけ」に関する考え方をお届けします。
つづき>>病気の人に「頑張って」はNGなのか?潜在意識研究の第一人者が語る「本当に届く言葉」とは

 

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著者:井上 裕之(いのうえ・ひろゆき)
いのうえ歯科医院理事長、医学博士、経営学博士。東京歯科大学大学院修了後、世界レベルの技術を学ぶためニューヨーク大学、ペンシルベニア大学、イエテボリ大学で研鑽を積み、医療法人社団いのうえ歯科医院を開業。自身の医院で理事長を務めながら島根大学医学部臨床教授、東京医科歯科大学、インディアナ大学客員講師など国内外9大学の役職を歴任。その技術は国内外から評価され、とくに最新医療、スピード治療の技術はメディアに取り上げられ、注目を集める。世界初のジョセフ・マーフィー・トラスト(潜在意識の権威)公認グランドマスター。本業の傍ら、世界的な能力開発プログラム、経営プログラムを学んだ末に、独自の成功哲学「ライフコンパス」をつくり上げ、「価値ある生き方」を伝える著者として全国各地で講演を行っている。著書は90冊を超え、累計140万部を突破。実話から生まれたデビュー作『自分で奇跡を起こす方法』(フォレスト出版)はテレビ番組で紹介され、大きな反響を呼んだ。『本物の気づかい』『一流の人間力』(ともにディスカヴァー)、『不敗の人生をつくる言葉』(致知出版社)、『選ばれる人の100の習慣』(日経BP)など著書多数。

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