「一緒にいて楽しくない。尊敬もできない」65歳妻が、それでも離婚しなかった理由
「もう無理」と思っても離婚しなかった理由
仕事が終われば、夫はゴルフレッスンやジム、気になる店への外食など、好きなように過ごしています。家のことはFさんがする。会社の事務もFさんがする。お金が足りなくなれば、Fさんがなんとかする。
Fさんは何度も、「一緒にいて楽しくない。尊敬もできない」と思いました。離婚を考えたことも、一度や二度ではありません。けれど、子どもの進学やさまざまな事情があり、気がつけば結婚40年。65歳になっていました。
65歳の今、離婚して財産分与を受けたとしても、残りの人生を暮らしていけるのかという不安があります。夫は散財するため、十分な貯金もありません。年金分割をしても、お互いの生活に余裕があるとは言えません。住居費もかかります。これから何年生きるのかもわかりません。
Fさんは、「離婚できない」のではありません。これからの人生を考えたうえで、今は離婚しないほうが自分にとって現実的だと判断したのです。
ただし、離婚しないことと、これからも夫に振り回され続けることは別です。Fさんは、モラハラについて書かれた本を読み、「夫の言葉や態度を、自分の心の中にまで入れない」という考え方を知りました。
夫を変えようとしない。
夫が不機嫌だからといって、自分まで不安にならない。
これは、心理的には相手との間に境界線を持つということです。これまでFさんは、夫が「はぁー」とため息をつけば、「私が何かしたのかもしれない」と考えていました。夫が不機嫌になるたびに、Fさんの心まで夫の機嫌に引っ張られていたのです。
でも、「夫が不機嫌なのは、夫の問題」と考えれば、Fさんがその感情まで背負う必要はありません。
夫がテレビに向かって悪口を言っていても、聞き流す。そしてFさん自身も、自分の仕事を大切にする。好きなときに友人に会う。行きたいところへ行く。自分が楽しいと思える時間を、自分でつくるようになりました。Fさんの心は、少しずつ変わっていったのです。
離婚しなくても、心まで支配されなくていい
モラハラ夫と暮らしている人が、全員、離婚すれば幸せになれるとは限りません。もちろん、暴力や脅迫があり、身の危険を感じる場合には、安全を最優先にする必要があります。しかし、人それぞれ年齢も経済状況も、家族の事情も違います。
Fさんのように、離婚をしないまま、心理的な距離を取る人もいます。大切なのは、離婚しないことを「これからも我慢し続けること」にしないことです。Fさんが65歳になって選んだのは、夫のモラハラに反応し続ける生活ではなく、夫とは心の距離を取りながら、自分の人生を生きることでした。
夫が変わらなくても、自分の生き方は変えられる。
これからの人生をどう生きるのか。
それを決めるのは、夫ではなく、Fさん自身なのです。
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