山田涼介がサイコパス気質の三好信吉(秀次)を怪演。そして、ついに「秀長」(仲野太賀)が誕生【NHK大河『豊臣兄弟!』35話】
*TOP画像/弥助/吉房(上川周作) 信吉(山田涼介) 大河ドラマ『豊臣兄弟!』35話(9月13日放送)より(C)NHK
戦国時代のど真ん中を舞台にした『豊臣兄弟!』(NHK総合ほか)の主人公は仲野太賀が演じる豊臣秀長。兄弟の絆で“天下統一”という偉業を成し遂げた豊臣兄弟の奇跡を描いた大河ドラマ『豊臣兄弟!』(NHK総合ほか)の第35話が9月13日に放送されました。40代50代働く女性の目線で毎話、作品の内容や時代背景を深掘り解説していきます。
万丸が三好信吉となって、母・ともと感動の再会
第16話「覚悟の比叡山」で、とも(宮澤エマ)と弥助/吉房(上川周作)の息子・万丸は、宮部継潤(ドンペイ)のもとに養子に出されました。継潤がいうには、万丸はともの教えを守り、「一人でも泣かぬ、強うならねばならぬ」と自らに言い聞かせ、涙を流すことなく、運命を受け入れていました。ともと弥助が継潤からこの話を聞き、息子の成長に涙する場面は感動的で、今も鮮明に記憶に残っています。
第35話「秀長誕生」では、万丸が三好信吉(山田涼介)として、ともと弥助のもとに戻ってきました。信吉は小一郎(仲野太賀)と再会を果たすと、「ご無沙汰しておりまする 叔父上」と爽やかな笑顔であいさつし、「この信吉 必ずや武功を挙げ お心にかのうてみせまする」と忠誠を誓いました。
ともは信吉を目にすると、「万丸」と駆け寄り、「どんなに偉くなっても 私にとっては万丸よ」と感極まりながら、成長した息子の頬に優しく手をあてていました。母親というものは息子が成長し、立派な地位を得ようとも、つい幼き日の面影を重ねて見てしまうもの……。特に、ともが「今でも おなか弱いんでしょ。これ 着けていきなさい。ねっ」と言いながら、信吉に腹巻を渡した場面には、そんな母親らしい深い愛情があらわれていました。
史実では、信吉(秀次)はクセがある男。性格のヤバさが初登場にして露わに!?
羽柴軍が徳川家康(松下洸平)と織田信雄(山脇辰哉)との戦に勝つために考えたのは、敵が小牧山城から出てきたところを迎え撃つというものでした。戦略会議の最中、信吉は「そのお役目 この信吉に お任せください」「この信吉 大将を務めとうござりまする」と、大々的に名乗りを上げました。
戦の経験が浅いにもかかわらず、重要な役目を自ら買って出ようとする信吉に、もっとも戸惑いを隠せなかったのは弥助でした。息子が周囲を困惑させることを案じ、そして息子の安全を懸念し、父としてそれを必死に阻もうとする――その姿はいつの世にも変わらぬ父親の姿そのものでした。
一方、秀吉(池松壮亮)は「よかろう。こたびは お前が大将じゃ」と、信吉に大将の任を与えました。秀吉は「荷が勝ちすぎることばかりやってここまで来た」と若き自分を顧み、過去の自分と信吉を重ねたのです。
しかし、信吉には大将としての器量は備わっていなかったようです。敵の動きを甘く見ただけでなく、その動向を家臣に頼りすぎた結果、敵軍の急襲を許してしまいました。さらに、重臣たちが一旦引き上げるのが最善と判断したにもかかわらず、「武功を挙げねば わしの面目が立たぬ」と、自らの体面ばかり……。その結果、池田恒興(堀井新太)と元助(柴崎楓雅)は命を落としました。
また、城に戻った後、小一郎から「あまり己を責めるでない」と励まされると、「なぜ私が自らを責めねばなりませぬ?」ときょとんとした表情で、疑問を口にしました。このときの信吉の目はどこか恐ろしく、他者への無関心さが表れているようにも見えました。一方、小一郎の表情には困惑が浮かんでいました。家臣の死に心を乱されず、他責に終始する信吉を叔父としても理解できない様子でした。

小一郎(仲野太賀) 信吉(山田涼介) 大河ドラマ『豊臣兄弟!』35話(9月13日放送)より(C)NHK
ともと小一郎と再会を果たしたときの信吉は、母の愛に感謝し、叔父を敬う好青年でした。しかし戦場での振る舞い、そして家臣が命を落とした責任を追求されたときの彼の姿には、“若い”という言葉だけでは片付けられない違和感が漂っていました。
史実においても、信吉(秀次)は二面性を持つ男だったといわれています。文化や芸術に精通し、聡明でありながら、「受刑者の身体を切り裂く瞬間こそが、彼にとって至福の時間だった」という言い伝えも残っています。山田涼介は台詞のみに頼らず、全身で表現し、この人物の複雑な二面性を細やかに演じ分けていたように感じられます。
秀長誕生
羽柴軍と徳川軍の戦いは各地に広がり、民も疲弊し、厳しい状況に陥りました。そんな中、秀吉は家康にあおられた民に石を投げられました。さらに、滝川一益(猪塚健太)が「秀吉は 卑しい身分の出。今や 主家たる織田家に刃を向ける暴悪なる逆臣」と書かれた紙を城下で見つける事態に……。

秀吉(池松壮亮) 寧々(浜辺美波) 大河ドラマ『豊臣兄弟!』35話(9月13日放送)より(C)NHK
苦境の中、小一郎が思いついたのが、和睦です。相手は家康ではなく、信雄。信雄は丹羽長秀(池田鉄洋)に書状を送り、疲れをあらわにするほど、厳しい精神状態にありました。小一郎の思惑どおり、秀吉と小一郎は信雄との和睦に成功し、羽柴と徳川の戦いはひとまず収束しました。
長秀は「あやつは 信長公を超える武将となるやもしれぬ」と秀吉への期待を言葉にし、「お主がおるからじゃ」とその理由を小一郎に伝えました。続けて、「お主の長秀という名は どうにかならぬか。同じ名だと ややこしくて かなわぬ」「次 会う時までに変えよ」と命じました。

長秀(池田鉄洋) 小一郎(仲野太賀)ほか 大河ドラマ『豊臣兄弟!』35話(9月13日放送)より(C)NHK
長秀との約束どおり小一郎は名を変え、家族の前で「秀長」と発表。この名には長秀の「お主の力で 秀吉に信長公を超えさせろ」という言葉が込められています。

小一郎(仲野太賀)ほか 大河ドラマ『豊臣兄弟!』35話(9月13日放送)より(C)NHK
なお、小一郎と長秀が「長々は どうじゃ…。」「羽柴小一郎長々?」と小一郎の新たな名をめぐって談笑する場面には、「これが 小一郎と長秀の最後の時でございました」とナレーションが添えられていました。史実では、小牧・長久手の戦いは1584年に起き、長秀は1585年に亡くなっています。長秀の死因は寄生虫病といわれています。
本作において、長秀は織田信長(小栗旬)の重臣でありながら、織田家に新しい風を吹き込む小一郎と秀吉に対しても能力を認め、年長者としてあたたかな思いを抱いていました。本回で長秀が退場するのかは定かではありませんが、もしそうであるならば、まことに寂しい限りです。
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では、山田涼介と山田演じる豊臣秀次(三好信吉)についてお届けします。
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