「朝からパジャマのまま怒号が」手足が動かない母と認知症の父。出発前の「地獄の1時間」を乗り切った秘策とは【100人の介護】
起きないし、着替えてくれない父と母。「何でこっちを見てるんだ」と怒られて……。
「仕事を辞める」決断をしたNさん。その後も“在宅ダブル介護”の日々は続きますが、あるときお父さんが体調を崩して入院することに。
「ちょうどコロナ禍だったので、その影響もあったのかもしれません。無事に退院しましたが、入院中は寝たきりだったので『ちゃんと歩けるように』とデイサービスを勧め、何とか応じてくれました」とNさんは話します。
もともとお母さんは一人で入浴をすることが難しくなっていたため、「お風呂に入れてもらえることはありがたい」とデイサービスを利用。しかしお父さんは「そんな老人の集まるところには行かない!」と拒否を続けていたそう。今回ようやく応じてくれたものの、デイサービスの日の朝は、毎回“戦い”だったといいます。
「お迎えの時間が決まっているのに、父も母もなかなか起きてくれなくて。同時に二人の対応をするのは、予想以上に大変でした。何度も何度も声をかけ、ようやく父が起きたので着替えを渡し、『あとは自分でお願いね!』と母の様子を見に行くと、起きる気配がまったくない。ようやく起こして再び父のところに行くと、着替えが全然進んでない、みたいな……。その後も朝食を食べてもらい、身支度を整えさせて、と本当にバタバタでした」
それでも、「デイサービスに行ってもらう」とNさんが頑張る理由はいくつかあり、「入浴をお願いできる」「機能訓練が受けられたり、人との交流が図れたりする」ことだと話してくれました。加えて、“洗濯の日”としても大事だったとか。
「デイサービスがない日、気付けば父と母は1日中パジャマのまま、布団の中で過ごすようになりました。そうなると布団も干せないし、シーツやパジャマも洗えない。寝ているのを無理やり起こすことは難しいので、デイサービスの日がチャンスなんです」
さらに朝、忘れてはならないのが「薬を飲んでもらうこと」。こちらも二人同じタイミングで行うため、慌ただしくも気が抜けない時間でした。もちろん、薬は渡して終わりではなく、しっかり飲んでいるかを見届ける必要があります。しかし、お父さんはそんなNさんの対応が気になるのか、「何でこっちを見てるんだ!」と文句を言われ……。
「そんな父の様子に、私もついイライラして喧嘩しそうになりますが、グッと我慢。言い返しても、余計に時間がかかるだけなんです。だから『はいっ、今日私は看護師役をしまーす』なんて、ふざけてみたり……。もう、こっちは必死ですよね」
認知症の場合、「自分がなぜ否定されたか分からない」というときがある。そこで、「絶対に否定しない」と決めたNさん。時には“女優”のように演じたり、感情的になったりしないように心がけていると、「こちらの望むように動いてもらえるようになる」と少しずつ変化を感じていったそうです。
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