「お母さんが幸せにならないとね」高校生の娘にそう言われ、私は夫との17年を終わらせる決意をした
夫がいなくても、夫の怒りを先回りして考えるように
まだ何も起きていないのに、「また責められるかもしれない」と、その場面を先に思い浮かべてしまう。そして、その出来事を避けようとして、不安が強くなる。これは「予期不安」と呼ばれることがあります。Oさんは、出かけたあとに夫から責められることが怖くて、自分の予定すら決めにくくなっていました。
その翌週のことです。夫がまた、「土曜日に友達が来るから、準備しとけよ」と言いました。すると娘が、「私も手伝うよ。料理を多く作れば、怒られないでしょ」と言ってくれました。その言葉を聞いたOさんは、「ありがとう。でも、この日は二人で出かけちゃおう。もう、お父さんの言うとおりにしなくていいよ」と答えました。娘は一瞬、驚いたような顔をしました。でも、すぐに笑顔でうなずきました。「お母さんが幸せにならないとね」その言葉が、Oさんの胸に深く響きました。
「この人と一緒にいても幸せにはなれない」離婚を決めた夜
その夜、Oさんは勇気を出して夫に言いました。「土曜日は娘と出かけるから。友達を呼ぶなら、あなたが用意して」すると夫は、「勝手なことを言うな」と怒鳴りました。でもOさんは、何を言われても、もう夫の言いなりにはならないと心に決めていました。夫の言うことを聞かなければ責められる。自分の予定も、自由に決められない。思いどおりに動かなければ、罵声を浴びせられる。
「この人と一緒にいても、私は幸せにはなれない」
Oさんは、離婚を決意しました。
その夜、スマートフォンのメモに、これまで夫から言われたことや、起きた出来事を順番に書き出しました。離婚に向けて動くために、まずは記録を残しておこうと考えたのです。
時間がたつと、
「夫の言うことなんて、どこの家庭にもあることなのかもしれない」
「私が気にしすぎただけなのかもしれない」
と、自分の感じたつらさを小さく考えてしまうことがありました。
そうして何度も自分の違和感を打ち消してきた結果、ここまで夫との生活を続けてきたのです。だからこそ今回は、自分が何をされ、どう感じたのかを、きちんと残しておこうと思いました。ただ、離婚を決めたからといって、すぐに家を出られるわけではありません。娘と暮らす住まいも探さなければならない。娘の進学もあります。これからの生活に必要なお金についても考えなければなりません。Oさんには、準備する時間が必要でした。
鳴り続ける夫からの電話。それでも私は娘と出かけた
それでも迎えた土曜日、Oさんは予定どおり娘と二人で出かけました。出先では、夫から何度も電話がかかってきました。それでもOさんは電話に振り回されることなく、娘との時間を過ごしました。
「これからは、夫がどう思うかではなく、自分と娘がどうしたいのかを考えていい」
離婚を決意したことで、Oさんは少しずつ、そう思えるようになっていました。夫から離れるためには、まだ準備しなければならないことがたくさんあります。不安がなくなったわけでもありません。それでもOさんの中では、夫への恐怖よりも、
「これからは自分の人生を、自分で決めていきたい」
という気持ちのほうが、少しずつ大きくなっていました。
Oさんは今、娘とのこれからの暮らしを思い描きながら、離婚に向けて一歩ずつ準備を進めています。
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