「たいと」ではありません!「態と」の読み方、知っていますか?
この世にある漢字の総数は約5万と言われています(現在は、意味も読みも同じなのに字体だけが違う異体字(例:島と嶋など)などの存在により、約5万とは言い切れない、それ以上ある状態にありますが)。
そんな漢字には、たった1文字の漢字にさまざまな読み方があったり、意味は違うのに形がよく似ている漢字があったりして、漢字・カタカナ・ひらがなを使い分ける日本人であっても、読み間違えることは多々あります。
そこで本記事では、意外と読めない漢字クイズを出題します。
「態と」の読み方、知っていますか?
「態」という漢字が「態度」「実態」などの言葉で使われることから「たいと」と読んでしまう人もいるかもしれません。しかしそれは間違いです。またよく似た漢字で「熊」という漢字があります。うっかり読み間違えて「くまと」と読むのも、もちろん間違いですよ!
「態と」は、意味を知るとわかりやすいかもしれません。
1 意識して、また、意図的に何かをするさま。ことさら。故意に。わざわざ。
2 とりわけ目立つさま。格別に。
3 正式であるさま。本格的に。
4 事新しく行うさま。
5 ほんのちょっと。少しばかり。引用元:小学館 デジタル大辞泉
正解はこちらです。
「わざと」です。
「態と」という言葉には“意識して、また、意図的に何かをするさま”とありますが、そもそも「態」という漢字にも「意識的に何かをすること」という意味があります。
「態」という漢字の成り立ちは
- 尾をふりあげ、大きく口を開けた熊の象形
- 心臓の象形
という2つの象形から。
「ある事ができるという心構え」を意味し、そこから「姿」や「様子」、「心構え」を意味する「態」という漢字が成り立ちました。
また、先ほど引用した辞書には、「態と」に“《名詞「わざ(業)」+格助詞「と」から》”と記載されていました。「業(わざ)」には「技能を持ったものがする行い・仕事」の意味があります。同じ「わざ」という読みに「技」がありますが、こちらは「仕事のための技術や能力」を表します。
- 技:仕事のための技術や能力
- 業:その仕事そのもの
「わざ(業)と」から「態と」へと変化していった過程は不明ですが、「その仕事そのもの」を指す「業」と「ある事ができるという心構え」を指す「態」からは、ある特定のことを意識的に行おうとする意図が感じられます。
「業(わざ)」が常用漢字表外の読み方ではないことを考えると、「態」という字を「様子」や「心構え」という意味合いから、「わざと」という言葉に当てたのかもしれませんね。
参考文献
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