「よする」ではありません!「与する」の読み方、知っていますか?
漢字には音読みと訓読みがあり、しかもその音読みと訓読みがそれぞれ漢字1文字につき1つ・・・とは限りません。送り仮名によって読み方は柔軟に変化しますし、当て字で表しているだけ、なんてこともあります。
そこで本記事では、意外と読めない漢字クイズを出題します。
「与える」などでおなじみの「与」。これに「する」という送り仮名がついたとき、なんて読むのか知っていますか?
「与」に「する」という送り仮名のついた「与する」。
「与える」と同じ感覚で「あたする」と読むと、誰もが違和感を感じるはず。とはいえ「よする」も間違いです。
「与する」の意味は、
仲間に加わる。味方する。同意する。
引用元:小学館 デジタル大辞泉
です。
また「与する」と同じ読み方・意味を表すものに「組する」があります。
「与する」の読み方、想像がつきましたか?
正解はこちらです。
「くみする」です。
“仲間に加わる。味方する。同意する。”の意味を表す「与する」ですが、現代では「悪に関与する」という意味合いで使われることが多いです。そのため、誰かに対して「味方するよ」とポジティブな反応を示したいときには、そのまま「味方するよ」と伝えたほうが誤解がなくいいかもしれません。
「与」という漢字から「与える(あたえる)」の意味を連想する人が多いと思うのですが、実は「与える」の意味は後から転じたもの。
「与」の旧字「與」は、
- 中心にある「与」の文字
→象牙を2本組み合わせた形 - 「與」の「与」以外の部分
→人の手を並べた形
から成り立っています。象牙などの貴重なものを、多くの人の手で捧げながら運ぶ様子を表す漢字です。この共同で行う動作から「力を合わせて仲間になる」「共にする」、運んで移すという動作から「与える」の意味が生じたと言われています。
また「與」の読みには元々「くみ」という読みが含まれていませんでしたが、動詞として表される際、「くみになる」「一緒になる」を表すために「くみ」と読むことになったと言われています。
今はシンプルな形で表記されている「与」の字。そして「悪に関与する」という意味合いで使われている「与する」ですが、由来や意味を知ると、とても奥深い言葉だということがわかりますね。
参考文献
- 与|漢字一字|漢字ペディア
- 『常用字解 第二版』(白川静/著 平凡社)
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