住宅ローンだけじゃない!40代、50代の「借金の残額」平均って?意外とみんな借りている
仲のいい友達同士でも、なかなか話せないのはお互いの年収や貯蓄額ですが、借金についてはもっと話題にできないのではないでしょうか。
しかし、気になることも確かです。
今回は、そんな借金事情を年齢別に考えてみました。
借金がある「単身世帯」は約2割
借金と言えば、住宅ローンのような大きなものもあれば、生活費がピンチで少額利用するキャッシングまでいろいろありますが、単身世帯=独身・シングルの場合は約2割の人が借金をしています。
金融広報中央委員会が実施した調査を見てみましょう。
(金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査」/2018年)
借金がある人の割合(単身世帯)
全国平均 18.5%
20代 18.2%
30代 20.4%
40代 22.4%
50代 22.0%
60代 12.0%
全国平均で18.5%、特に40代、50代で多くなっています。
では、借金がある人はいくらくらい借りているのでしょうか。
まずは、全国平均で見てみましょう。
■借り入れ残高の全国平均(単身世帯)
借り入れ残高(単身世帯)
50万円未満 23.5%
50~100万円未満 16.4%
100~200万円未満 20.1%
200~300万円未満 7.3%
300~500万円未満 9.7%
500~700万円未満 3.0%
700~1000万円未満 2.8%
1000~1500万円未満 3.7%
1500~2000万円未満 2.2%
2000万円以上 7.1%
無回答 4.1%
借り入れ残高の平均は436万円です。
ただし、数字をよく見てみると、200万円未満が60.0%になっており、もっとも多いのは50万円未満の少額の借金です。
単純に平均値を出すと、高額な借金をしている人が少数であっても、それに引っ張られてしまうため実態とかけ離れた数字になることがありますが、借り入れ残高の平均値もそのひとつです。
そこで注目するべきなのが、中央値です。
■中央値(単身世帯)
中央値とは、この場合は借り入れ残高の少ない人から多い人までを順番に並べた時、ちょうど真ん中にいる人の残高のことを言います。
このように計算すると、借り入れ残高の中央値は100万円でした。
単身世帯では、借入残高はさほど大きくない印象です。
では、年代別に見るとどうでしょうか。
■30代の借り入れ残高(単身世帯)
30代の借り入れ残高(単身世帯)
50万円未満 24.7%
50~100万円未満 20.2%
100~200万円未満 28.1%
200~300万円未満 5.6%
300~500万円未満 9.0%
500~700万円未満 0.0%
700~1000万円未満 1.1%
1000~1500万円未満 1.1%
1500~2000万円未満 0.0%
2000万円以上 7.9%
無回答 2.2%
30代シングルの、借入金の平均は371万円、中央値は100万円でした。
住宅ローンなどがあれば、残高が2000万円以上になりますが、そういう人は少数派。多くの人は200万円未満の借り入れです。
■40代の借り入れ残高(単身世帯)
40代の借り入れ残高(単身世帯)
50万円未満 25.3%
50~100万円未満 12.1%
100~200万円未満 18.2%
200~300万円未満 8.1%
300~500万円未満 4.0%
500~700万円未満 3.0%
700~1000万円未満 2.0%
1000~1500万円未満 7.1%
1500~2000万円未満 3.0%
2000万円以上 12.1%
無回答 5.1%
40代シングルの、借入金の平均は606万円、中央値は110万円でした。
200万円未満の人も多いのですが、30代に比べて2000万円以上の人が増えています。
■50代の借り入れ残高(単身世帯)
50代の借り入れ残高(単身世帯)
50万円未満 19.5%
50~100万円未満 10.3%
100~200万円未満 11.5%
200~300万円未満 6.9%
300~500万円未満 11.5%
500~700万円未満 6.9%
700~1000万円未満 8.0%
1000~1500万円未満 5.7%
1500~2000万円未満 6.9%
2000万円以上 9.2%
無回答 3.4%
50代シングルの、借入金の平均は648万円、中央値は290万円でした。
この年代では2000万円以上の人は減っています。借金は返済がすすみ、定年やリタイアの時期には完済できるようにしているのかもしれませんね。
■借金がある「二人以上世帯」は約4割
では、二人以上世帯ではどうでしょうか。
単身世帯と同様に、金融広報中央委員会の調査を見ていきましょう。
借金がある人の割合(二人以上世帯)
全国平均 40.9%
20代 37.3%
30代 60.2%
40代 61.8%
50代 56.2%
60代 30.1%
70代以上 16.9%
全国平均で40.9%、単身世帯に比べて借り入れをしている世帯が多くなっています。
特に30代、40代、50代が多く、住宅ローンや子供の教育費などで家計が厳しくなる年代です。
では、借金がある世帯はいくらくらい借りているか、まずは全国平均で見てみましょう。
■借り入れ残高の全国平均(二人以上世帯)
借り入れ残高(二人以上世帯)
50万円未満 6.0%
50~100万円未満 4.6%
100~200万円未満 7.0%
200~300万円未満 5.0%
300~500万円未満 6.4%
500~700万円未満 5.3%
700~1000万円未満 5.9%
1000~1500万円未満 11.1%
1500~2000万円未満 8.3%
2000万円以上 28.1%
無回答 12.3%
借り入れ残高の平均は1474万円、中央値は1000万円です。
住宅ローンなどのためと思われますが、借り入れ残高は2000万円以上の世帯が最も多くなっています。
では、年代別に見るとどうでしょうか。
■30代の借り入れ残高(二人以上世帯)
30代の借り入れ残高(二人以上世帯)
50万円未満 3.3%
50~100万円未満 4.1%
100~200万円未満 5.7%
200~300万円未満 1.6%
300~500万円未満 2.0%
500~700万円未満 0.4%
700~1000万円未満 1.2%
1000~1500万円未満 6.1%
1500~2000万円未満 8.6%
2000万円以上 56.1%
無回答 10.7%
30代の二人以上世帯では、借入金の平均は2099万円、中央値は2240万円でした。年齢的に、住宅ローンを組んだばかりの人が多いせいか、借り入れ残高が2000万円以上の人が5割以上にものぼっています。
■40代の借り入れ残高(二人以上世帯)
40代の借り入れ残高(二人以上世帯)
50万円未満 2.2%
50~100万円未満 1.7%
100~200万円未満 5.1%
200~300万円未満 3.9%
300~500万円未満 3.9%
500~700万円未満 3.9%
700~1000万円未満 6.3%
1000~1500万円未満 13.4%
1500~2000万円未満 11.7%
2000万円以上 37.8%
無回答 10.0%
40代二人以上世帯の、借入金の平均は1673万円、中央値は1600万円でした。
2000万円以上の世帯は、
2000万円以上についで1000万円以上の世帯も多く、返済がすすんでいる世帯と、借り入れたばかりの世帯が混在している年代と言えるでしょう。
■50代の借り入れ残高(二人以上世帯)
50代の借り入れ残高(二人以上世帯)
50万円未満 5.8%
50~100万円未満 6.6%
100~200万円未満 5.8%
200~300万円未満 5.8%
300~500万円未満 5.5%
500~700万円未満 7.1%
700~1000万円未満 7.1%
1000~1500万円未満 14.6%
1500~2000万円未満 9.6%
2000万円以上 19.5%
無回答 12.6%
50代二人以上世帯の、借入金の平均は1488万円、中央値は995万円でした。
2000万円以上の世帯が、40代より減ってはいますが、それでも2割近い数字です。借り入れ残高を1000万円以上に広げてみると、43.7%にもなっています。
借り入れはリタイア後に残したくありませんが、そのために退職金を使ってしまうと老後資金が心細くなってしまいます。マネープランをしっかり立て直す時期なのかもしれませんね。
借金の目的は、単身世帯/二人以上世帯で大きな違いが
単身世帯では比較的少額の借り入れが多く、二人以上世帯では2000万円以上の高額な借り入れが多いことがわかりました。
では、借り入れの目的をそれぞれ見てみましょう。
まずは、単身世帯です。
借り入れの目的(単身世帯)3つまでの複数回答
医療費や災害復旧資金 5.6%
子供の教育・結婚資金 2.8%
住宅の取得・増改築資金 12.3%
日常の生活資金 40.0%
耐久消費財の購入資金 14.0%
旅行・レジャーの資金 12.3%
株式等金融資産への投資資金 3.0%
土地・建物等の実物資産への投資資金 2.6%
相続税対策の資金 0.0%
その他 34.6%
無回答 0.0%
シングルの人が借金をする最も多い理由は、「日常の生活資金」でした。
次いで、「耐久消費財の購入資金」です。
日常生活に必要なお金は、できるだけ借金せずにしておきたいものです。
「今月はちょっとピンチだから」、などと軽い気持ちで借金を重ねてしまうと、1回の借り入れは少額でも大きな借金に膨らんでしまうことも。
生活にかかるお金が不足しがちだと感じたら、じっくり家計を見直すことをお勧めします。
次に、二人以上世帯ではどうでしょうか。
借り入れの目的(二人以上世帯)3つまでの複数回答
医療費や災害復旧資金 2.2%
子供の教育・結婚資金 9.2%
住宅の取得・増改築資金 65.8%
日常の生活資金 10.6%
耐久消費財の購入資金 26.1%
旅行・レジャーの資金 2.1%
株式等金融資産への投資資金 0.1%
土地・建物等の実物資産への投資資金 4.5%
相続税対策の資金 1.0%
その他 10.6%
無回答 1.8%
やはり、住宅の取得・増改築資金がダントツの最多項目です。
次いで耐久消費財の購入資金が続きます。耐久消費財とは、長期の使用に耐える消費財のことで、テレビや冷蔵庫などの家電、たんすなどの家具、そして自動車が含まれます。
住宅ローン、カーローンであれば、担保があるので金利も低く、計画的に返済ができるかと思います。
ただし、さきほどの50代の平均でも見たように、リタイア近くなっても高額な借り入れを残してしまうことがあり、老後資金に影響が出てしまいます。
計画はゆとりを持って立て、状況が変わったらその都度マネープランの見直しをすると安心できるでしょう。
まとめ
いかがだったでしょうか。
借り入れもまた、マネープランの重要な要素です。
必要な借り入れは、余裕をもった計画で利用しましょう。
そして、日常の生活資金が不足しがちになるなら、軽い気持ちで借金を重ねることは禁物です。早めに家計の見直しが必要です。
ファイナンシャルプランナー(AFP)。36歳で離婚し、シングルマザーに。大手生命保険会社に就職をしたが、その後、保険の総合代理店に転職。保険の電話相談業務に従事。43歳の時に乳がんを告知される。治療を経て、現在は治療とお金の相談パートナーとして、相談、執筆業務を中心に活動中。FP Cafe登
スポンサーリンク