1000円弱は1000円より多い?少ない? 日本語クイズ3選
「日本語の言い回しに、時々頭がこんがらがる」そんな経験ありませんか?言い回しに対する捉え方が間違っていたりすると、互いに相違が生じて混乱が起きてしまう、なんてことも。
そこで本記事では、こんがらがりやすい言い回しについてクイズを出題します。
第1問:「1000円弱」って1000円より多い?少ない?
「1000円弱です」と言われたとき、あなたはどのくらいの金額を思い浮かべますか?1000円「弱」なのだから、「1050円くらいかなー」と考える人も多いのではないでしょうか。一方で、「弱」なのだから「950円くらいかなー」と考える人もいることでしょう。
多い?少ない?正解は…
「1000円より少ない」が正解です!
ある数字に対してそれよりも少ないことを「○○弱」、それよりも多いことを「○○強」と表します。
今回の問題であれば「1050円くらいかなー」と考えた場合には、その表記は「1000円強(1000円よりも多い)」となります。
「○○弱」「○○強」に明確な範囲はありませんが、1000円であれば900円~999円を「1000円弱」、1001円~1200円程度を「1000円強」と、±100~200円程度で表現する人が多いはずです。
ちなみに、本記事で”ある数字に対してそれよりも少ないことを「○○弱」、それよりも多いことを「○○強」”と書きましたが、「1000円」という言葉に以下の表現を加えたとき、「1000円を含む表現」はどれだか分かりますか?
- より多い
- より少ない
- 以上
- 以下
- 未満
この中で「1000円を含む表現」は「以上」と「以下」の2つです。「より~」と「未満」は1000円を含みません。「弱」「強」の表現よりは簡単だったかもしれません。上記5つの表現に「弱」「強」も加えて、まとめて覚えてしまいましょう!
第2問:「したたかな人」って「ずる賢い」人?それとも「しっかりした」人?
「したたか」の正しい意味はAとB、どちらでしょう?
「したたかな人」と書かれていたら、あなたはその人のことを「ずるがしこい人」と捉えますか?「しっかりした人」と捉えますか?恋愛や仕事のジャンルで「したたか」という表現を見つけると、大抵「ずるがしこさ」や「あざとさ」を表す言葉として使われており、いい意味で使われている印象がありません。
でも「したたか」を表す漢字を見ると、本来の意味が伝わってきます!
正解はこちらです。
正解はBの「しっかりしている」です。
「したたか」は漢字で「強か/健か」と書き、
1 粘り強くて、他からの圧力になかなか屈しないさま。しぶといさま。
2 強く、しっかりしているさま。
3 強く勇猛であるさま。
4 程度がはなはだしいさま。
5 分量がたいへん多いさま。引用元:小学館 デジタル大辞泉
を意味します。
「したたか」は本来「自分の意志を貫く強さ」を表す言葉であり、決してネガティブな意味ではありませんでした。しかし“粘り強くて、他からの圧力になかなか屈しないさま。しぶといさま。”に、「自分の意志を貫く強さ」がもつネガティブな面を感じる人もいることでしょう。
また「したたかな人・女」が意味するのは本来「社会的に強い人・女性」なのですが、「社会的に強い人・女性」をネガティブに捉える人の存在により、「したたか=ずるがしこい」が定着してしまったようです。そのため今でも「したたかな女」には本来の「社会的に自立した女性像」ではなく、「男性に媚びる女性」「ずるがしこい女性」といった印象が抱かれやすいのが現状です。。
言葉は変化するものです。現代で「したたか」は本来の意味ではなく「ずるがしこい」を表す言葉として定着しつつあります。そのため、褒め言葉として「したたか」を使うのは避けたほうが無難です。「したたか」の本来の意味で相手を褒めたい場合には、同じような表現で言い換えるのがおすすめです。
参考文献:瀬崎圭二, 『正しい日本語どっち? 500』27ページ, 平成28年5月20日, 株式会社 彩図社
出典>>間違っている人多数!「したたかな人」って「ずる賢い」人?それとも「しっかりした」人?
第3問:「二進も三進も」の読み方、知っていますか?
「進」という漢字から「にしんもさんしんも」と読む人も多いのではないでしょうか。しかしこの読み方は間違いです。「進」という漢字に引っ張られると、読み方が浮かびにくくなるかもしれません。
「二進も三進も」は
物事が行き詰まり、身動きのとれないさま。どうにもこうにも。
引用元:小学館 デジタル大辞泉
という意味です。「二進も三進も行かない」という例文、聞いたことがある人もいるのではないでしょうか。
正解はこちらです!
「にっちもさっちも」です。
「進」という漢字から「二歩も三歩も進めない状態」を表しているようにも見えますが、「二進も三進も」の語源はそろばん用語の「二進(にしん)」「三進(さんしん)」です。
「二進(にしん)」「三進(さんしん)」とは、
- 二進 2割る2
- 三進 3割る3
のこと。すなわち「割り切れる」ことを表す用語です。
そろばんで、2や3で割り切れないことを「二進も三進も行かない」と表現するようになりました。「計算が合わないこと」を表すようになったこの言葉は、いつしか「2でも3でも割り切れない=勘定が合わない」ということも表すようになります。
そして、
- 商売が金銭面でうまくいかない
- 身動きがとれない
- どうしようもない
ということを表すようになりました。
現代社会でそろばんを使う機会は激減したかもしれません。でも2や3で割り切れない数字に対して、どうしようもなくなる描写は浮かんだのではないでしょうか。
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