「かまきり」ではありません!「蜻蛉」の読み方、知っていますか?
日常生活で何気なく使っている漢字ですが、その数は多く、小学校で習う漢字は1006字、日常生活で用いられる常用漢字は2136字と言われています。とはいえ、日常生活で見かける言葉の中には、読みやすさを重視し、ひらがなやカタカナで表記されていることも多いので、いざ漢字で書かれると「え、なんて読むの?!」と戸惑ってしまうことも。
そこで本記事では、意外と読めない漢字クイズを出題します。
本記事でご紹介するのは「蜻蛉」です。
「蜻蛉」の読み方は?
「虫」が含まれていることから「昆虫の名前なのでは?」と考えた人は少なくないはず。「蜻蛉」が表しているのは、確かに昆虫の名前です。ただ、「蜻」も「蛉」も日常生活ではあまり見かけない漢字な上、この世に存在する昆虫の数も数え切れないほど多いので、どの昆虫を指す言葉なのか見当がつかない人も少なくないはず…。
まずは正解を見てみましょう!
正解は…
「とんぼ」または「かげろう」です。
「とんぼ」「かげろう」の他に、
- せいれい
- あきつ
- あきづ
などの読みもありますが、これらは今でいう「とんぼ」の古い読み方です。
「蜻蛉」は「とんぼ」なの?「かげろう」なの?
- とんぼ
- かげろう
と読むことができる「蜻蛉」ですが、これらは
- とんぼ
→昆虫網・トンボ目 - かげろう
→昆虫綱 ・カゲロウ目
に分類される、別の昆虫です。
ただ、「とんぼ」の古い読み方から「とんぼ」へと変化していった過程や語源がまだはっきりとわかっていないため、昔の文献に登場する「蜻蛉」が「トンボ目」の昆虫なのか「カゲロウ目」の昆虫なのか明確ではない場合も多いと言われています。
「トンボ目」の「蜻蛉」は、古くは「あきつ・あきづ(秋津)」と呼ばれていました。『精選版 日本国語大辞典』には、琉球語の古語の辞典『混効験集』(1711年)の一文が記載されています。
〘名〙 (「あきつ」の変化した語か) トンボをいう。
※混効験集(1711)上「あけづ、蜻蛉の事、和詞にはあきづと云」出典元:精選版 日本国語大辞典
また新井白石による物名語源事典『東雅』(1717年)には
「蜻蛉 カゲロウ。古にはアキツといひ後にはカゲロウといふ。即今俗にトンボウといひて東国の方言には今もヱンバといひ、また赤卒をばイナゲンザともいふ也」
とあり、「あきつ→かげろう→とんぼ」と名称が変わっていった流れが記載されています。ここでは「かげろう」が「とんぼ」の異称のように感じられます。
ですが、平安時代に書かれた藤原道綱母の『蜻蛉日記』(974年以後成立)の題名にある“蜻蛉”は、「なほものはかなきを思へば、あるかなきかの心ちするかげろふの日記といふべし」の一文からとられ、これは短命でか弱くはかない姿の代表とされてきた「カゲロウ目」の昆虫を指していると考えられています。
なお「カゲロウ目」の「かげろう」は「蜉蝣」と書くことができます。なので現代で昆虫の名前を表す場合には
- とんぼ
→蜻蛉 - かげろう
→蜉蝣
と書き分ければ、どちらを指しているのか明確になります。
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