女性の「性」は40代から?医師が教える「閉経後も美しい人」の性の内緒話
こんにちは。「予防医療」のスペシャリストで、医師の桐村里紗です。
この連載では、人生100年時代の折り返し地点、50歳になる前にやめたい悪習慣についてお伝えしていきます。
更年期に差し掛かり、閉経が近づくと、女性は自分の女性としての人生は終わりと思いがちです。でも、私たちの女性性は、一生もの。今から、解放してもいいんです。
「○○才だから、女性として終わり」という考え、やめましょう。
【ネオヘルスケアドクターLISAの「50歳になる前にやめる100のこと」#41】
子宮活性化でオーガズムを体験?
「ヘルスケアのためなら!」と、とにかくなんでも試してみたい私。先日、子宮をヒーリングし、活性化するセラピーのワークショップを受けてみました。
目指すは、「マルチオーガズム 」!
外ではなく、中でイク!
これを、局所に触らず、お腹に手を当てるだけで実現してしまうという、離れ業。かなり、怪しいですね!
いやいや、私自身、普段、大変な頭でっかちですから、体の感覚は大変なポンコツでして、外だろうが中だろうが、そんなもの感じたことはございません。
10人中10人はオーガズム未経験!?
実際に、「中でオーガズム」を感じたことがあるか?との問いに、10人中10人が「ない」と答えるのだそうです。
外(クリトリス)の部分でイクのは、脊髄を走る体性神経という別の神経で、いわゆる男性の射精と同じ神経を使います。
だから、一瞬で、そして、終わったら醒める。
虚しさが残り、幸福感には繋がりません。
一方で、中で感じるオーガズム は、子宮に繋がる迷走神経という、自律神経のうちリラックス系の副交感神経が活性化して感じるもの。
思考だらけの左脳が活動をやめ、睡眠ホルモン・メラトニンが分泌される半分睡眠状態のところで、子宮に繋がる副交感神経が活性化されると、一気に快楽ホルモン・ドーパミンが分泌され、それがマルチで起こり始め、どこを触っても「快!」という状態になるのだそうです。
感想は「よく眠れる」
副交感神経が一気に高まれば、一気に全身の筋肉がゆるゆるになり、一気にリラックスモードになりますから、これは、頭も肩もカチカチで不眠気味の私を含む女性には良かろうと試してみた次第です。
実際に、座学の後に、ちょっぴり体験で、ヒーリングを受けてみたところ、普段眠れない私が、一日中でも眠れるというほどにリラックスモードになったことには間違いありません。
「マルチオーガズム はどうなんだ?」と聞かれても、なにせ初めてですので、これがそうなのか、はっきりとは認識できませんでした。
外のオーガズムの感覚とは全く違うので、外で感じられる人にとっても、初めはよく分からない場合がよくあるそうです。
ただ、肩こりや首こり、不眠が一気に改善したのは確かです。
人生100年時代、50歳は女性の第2のスタート
同じ場にい50代のとても美しい女性がいました。
その場にいる誰もが美しいと感じ、決して枯れた印象はありませんでした。
その方が、「人生最後に輝きたい」と仰ったのです。
「え!?人生最後って、もう終わるような口ぶり。50歳って、今から人生スタートですよ!」と言ったら、びっくりしておられました。
ご主人との関係も良くなく、女性としての楽しみを知らず、人生は終わりだ、と思い込んでおられたようです。
自分に対する自信も失っておられるようでした。
信長の時代なら、確かに人生50年で終わっていたかも知れませんが、人生100年時代です。
子育ても終わり、煩わしい月経も終わり、ようやく、翻弄されずに自分の人生を生きられると、捉えても良いのではないでしょうか?
女性性を解放せよ!
別に、今日のお話は、「マルチオーガズムを体験しましょう」と言いたいのではありません。
言いたいことは、女性性を解放し、自分自身に自信を持って生きましょう!ということです。
私自身も含めて、女性の中の女性性は抑圧されてきました。
日本も、江戸時代まではおおらかだった性が、明治時代に入ってから、「性は恥ずかしいもの」「イヤらしいもの」とされ、本質的に美しくダイナミックな女性性は、「隠すべきもの」にされてしまいました。
そして、女性性は、本来の美しさや崇高さよりも、アダルトビデオやグラビア、風俗など、男性の快楽を満たすためのものになってしまいました。
それが、社会の一般的な常識になると、集合意識の圧力が、教育や情報、そして、両親の発言を通して、私たち女性の一人一人の心の奥に根深く「女性性は恥ずかしく隠すべきもの」と刻まれてしまいます。
ですから、女性は、根本的には、自分が女性であることを否定して、自己否定してしまっているのが現状です。
男性のフィニッシュでは女性は不満
現代の性行為は、男性のフィニッシュがゴールになっています。
男性本位に進んでいる性行為であって、これでは、女性は満足しないし、究極のリラックスと快を感じる状態にはならないそうです。
マルチオーガズムは、男性にイかせてもらうのではなく、女性が男性のエネルギーを捕まえて、自分の中で起こる神経の活性化です。
ですから、男性本位では、成り立たないのです。
閉経後の方がアグレッシブな女性の性
そろそろ更年期だし、閉経も近いし、「女性として終わり」という考えにも囚われる必要はありません。
女性ホルモンが低下して、男性ホルモン優位になると、むしろ、男性的にアグレッシブに性を求め始めることになるため、閉経後はより積極的になる可能性もあるそうです。
男性は、動脈硬化のために前立腺の血流低下が起こると上手く勃たなくなるため、年齢と共に上手くいかなくなり、男女の性欲は逆転します。
ご主人が動脈硬化を起こさないように、血液をきれいに流すDHA,EPAなどの魚の油を積極的に食べて、劣化した油が多い揚げ物や糖質、お酒を控えて、ヘルスケアをサポートしてあげると、夜の生活もうまくいくかも知れません。
夫婦のスタイルに正解はない
別に、性行為をしなければいけないわけではありません。
究極的には、愛する人と触れ合っているだけでも、私たちの皮膚はそれを敏感に感知して、脳内で愛情ホルモン・オキシトシン を分泌して幸せに満たされ、愛とエネルギーは循環しますから。
我が家は、触れ合いを大切にしています。
猫2匹か、幼稚園児2人がジャレ合っているような感じですが、とっても幸せです。
側から見たら、「何をやっているんだ」と言われそうな2人の遊びを色々と開発して、飽きることなく遊んでいます。
結局、夫婦の関係に正解はありませんし、2人にしか分からないものです。
どんなスタイルでも、夫婦が円満で幸せであれば良いのだと思います。
まずは自分の性を大切に
でも、そんな関係性のためには、女性が女性性を誇り、男性がそれをレスペクトしてくれることが大切だと思います。
男性優位で、女性が従うのでは、長続きしませんね。
結局、まずは、自分の子宮と卵巣を大切にすることで、自分の性を大切に。
自分を愛して、大切に扱うことから始めるという基本に戻ることでしょうか。
「私は尊いのだから、大切に扱われて当然よ」という心持ちでいると、相手は、自然にレスペクトしてくれるようになります。
そんな女性が増えると、きっと、もっとこの世の中は良くなります。
【ネオヘルスケアドクターLISAの「50歳になる前にやめる100のこと」、週1回、土曜の夕方に配信!】
文/内科医・認定産業医 桐村里紗
tenrai代表取締役医師。1980年岡山県生まれ。2004年愛媛大学医学部医学科卒。内科医・認定産業医。治療よりも予防を重視し、「ヘルスケアは、カルチャーへ」というコンセプトを掲げ、新しい時代のヘルスケアを様々なメディアで発信している。フジテレビ「ホンマでっか!?TV」「とくダネ!」他メディア出演多数。著書『日本人はなぜ臭いと言われるのか 体臭と口臭の科学』(光文社新書)他。