岩井志麻子「タラレバ」は後悔や自虐に見せかけた、オンナの自慢

2017.02.28 LIFE

大人気ですね、『東京タラレバ娘』。

今さら説明不要かもしれないけど、「あのとき~してたら」「あのとき~してれば」と愚痴りつつ女友達と飲みまくる、痛快にしておもしろおかしい女達の物語。

たまんないよね、あの痛痒い「あるある」感。

まあ、この漫画やドラマの登場人物に限らず、誰もがそういう「もしも」で始まる後悔はしている。

いや、後悔や自虐に見せかけた自慢になってたりする。

 

後悔のようで、実は自慢じゃないか

たとえば、

「熱烈にプロポーズしてくれた男、いっぱいいたのよ。しかもみんなイケメンのエリートだったのに、仕事がおもしろくなりかけてた頃だから全部を断っちゃった。あの人と結婚していたら、今頃はパリの駐在員夫人だったのに。あの彼と結婚していれば、セレブ医者夫人として奥様雑誌に出まくってる。あ~、現実の今の私はそれなりに生きてはいるけど、まだ独り身。親も結婚結婚てうるさいから、帰省したくないわ」
てな感じで、今の独り身であることや親がうるさい、寂しいと感じている生活を嘆くよりも強く、昔イケメンエリートにモテモテだった私を強調したいわけね。

 

タラレバは甘美な心の支え

どの女性も絶対にといっていいほど、「条件のいい男に口説かれて断った」昔話があるね。

繰り返すけどそれはつらい後悔ではなく、甘美な心の支えだ。

もう取り戻せない過去ではなく、またやってくるかもしれない未来ととらえているんだもの。

そういう私だって、その手のタラレバはいろいろある。伊達に歳取ってんじゃないわっ。

 

タラレバを選択していても、結局

でもね、もし過去のタラレバを選択していたらと、そちらの今現在を想像してみれば

「何不自由ない奥さんさせてもらってるかもしれないけど、なんで私が地味な地方で平凡な主婦してなきゃならないの。私は都会に住んでマスコミで活躍する女だったはず」

「セレブ奥様達のしょーもない自慢と派閥争い、うぜー。でも大人しくしておかないと子どもも仲間外れにされるしなぁ。あーあ、こんなちっちゃい世界じゃなく、私はもっと破天荒にぶっ飛んだ、恋と革命と冒険に生きる危険な魅力の女だったに違いない」

などと、今以上にどうにもならないことをブーたれてる気がする。

 

どうせ不毛なタラレバなら、

「今、木星に住んでいれば」

「夫がナポレオンの生まれ変わりだったら」

といった一段ステージが上のタラレバにいってはいかが。

意外な空想力想像力が磨かれるかもよ。

 

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この記事は
作家 岩井志麻子

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