離婚の準備、今から何をしておけばいいですか?
マネー相談は将来設計のお手伝い。そのカタチは様々で時々あるのが「将来夫と離婚するつもりだけれどどうしたらいい?」というご相談です。
私は離婚カウンセラーもしているので、夫婦関係は修復できないか根本のところからお話はします。が、相談に来る人はかなり覚悟をきめています。
女性は我慢強いけれど決めたらやり抜くパワーも持っているような気がします。離婚を決めたら準備しておきたいことを紹介します。
■ステップ1 まずは生活できる収入かを考える
結婚していると夫と共同生活をしているので生活費は安定しています(中には生活費を入れない輩もいるようですが)。
離婚となると夫の収入なしで生活してかなくてはいけません。専業主婦や扶養の範囲内でパートしてる女性の場合、離婚後自分の収入だけで生活できるか収入の見込みを具体的に考え行動に移しましょう。
子どもがいる場合、収入の見込みに養育費は入れません。ないものとして考えておきましょう。
離婚後、養育費を得ているのはわずか24.5%。母子世帯の4分の1しか養育費を受け取っておらず、半数以上が一度も養育費を受け取ったことがないのが現状です。
シングルマザーで収入が160万円未満なら児童扶養手当が約月4万円、子ども2人目にプラス約1万円もらえます(年度により変動あり。2020年4月43160円、2人目10190円、3人目以降6110円)。
収入が160万円を超えると「一部支給」となり減額され、2ヶ月に1回奇数月に支払われます。
離婚しても生活していける収入をどう確保するか具体的に考えることがファーストステップです。
■ステップ2 住まいをどうするか
次に、離婚した後の住まいはどうするか考えます。
賃貸の場合、自分で新しく住む家を借り引っ越しするのが早いですが当然家賃がかかります。住居費は収入の多くを占める固定費なので支払いに無理のない物件を選びましょう。
収入によっては実家に戻ることも選択のひとつです。40代を過ぎてから実家に戻るとなると一番そばにいる家族となり親の介護もスルーできなくなります。
もちろん別居しているからスルーできるというわけではありませんが、一緒に住むということはその覚悟も必要といえるでしょう。
やっかいなのが、夫婦共同名義で住宅を購入しローンを返済中の場合です。一部自分のものである住宅をどうするかという問題もでてきます。
夫に自分の持ち分を譲る、夫に出て行ってもらって自分でローン全額を払っていく、住宅自体を売却し代金を持ち分相当額折半するなど決めていく必要があります。
■ステップ3 老後の年金を把握して将来設計も
女性で平均25万円ほどの年収で定年まで勤めあげたとしても、もらえる年金は1か月12万円程度。専業主婦や扶養の範囲内のパートなら1ヶ月7万円前後です。
夫婦の年金を合算すれば慎ましい生活はできても、一人だけの年金で生活することは難しい金額。65歳から毎月5万円貯金から取り崩すだけでも90歳までで1500万円必要ですから、昨年話題になった老後2000万円問題は他人ごとではないのです。
夫の「年金分割」すればいい? それはかなり甘い考えです。
「3号分割」と呼ばれる年金分割は婚姻期間中「扶養の範囲内だった期間」の夫の「厚生年金」部分だけ手続きすれば夫の了承なく受け取ることができます。
計算が複雑なので、簡単に説明します。夫の年金が16万円もらえると仮定します。そのうち6.5万円は基礎年金と呼ばれる国民年金なので分割されません。
残る9.5万円の半分がもらえるかというと違います。この9.5万円は入社してから退職するまで大卒なら22歳から60歳までの38年間納めてきた厚生年金保険料に応じて計算されます。
結婚したのが30歳で離婚したのが40歳だとすると婚姻期間は10年間。ほんとうにざっくりの計算ですが、夫の厚生年金9.5万円÷(10年/38年)=約2.5万円が分割してもらえる1ヶ月の年金になります。
1ヶ月2.5万円増えると助かる金額ですが、自分の年金が7万円だとすると足しても9.5万円。それで生活していけるでしょうか?
いっぽう、共働きで夫の方が年収が多く夫の年金分割を希望する場合は、夫の承諾が必要なのでもらえる保障はありません。
こうして年金額をみると「老後のことを考えるとATMだと思って一緒にいる」と考える妻が多いのも現状です。勢いに任せて離婚して将来的に老後破綻にならないよう、年金に頼らず老後も働き続ける、しっかり資産形成して備えるなど長期的な視点で離婚準備することをアドバイスしています。
■まとめ
一番いいのは一度は愛した人と添い遂げて幸せでいること。変わらない相手を変えようとせず自分が起こせる変化を試み、それでも難しければ離婚という選択は前に進む一歩になります。
結婚する時は愛と勢いでできますが、離婚は生活とお金という現実としっかり向き合って決めなくてはいけません。
今は難しくてもいずれ離婚をと考えるのであれば、どこで収入いくらで生活し老後はどうするか具体的に考えていきましょう。
稲村優貴子
ファイナンシャルプランナー(CFP🄬)、心理カウンセラー、ジュニア野菜ソムリエ
大手損害保険会社に事務職で入社後、お客様に直接会って人生にかかわるお金のサポートをする仕事がしたいとの想いから2002年にFP資格を取得し、独立。現在FP For You代表として相談・講演・執筆活動を行っている。日経ウーマン、北海道新聞などへの記事提供、テレビへの取材協力など各メディアでも活躍中。著書『年収の2割が勝手に貯まる家計整え術』河出書房新社。趣味は、旅行・ホットヨガ・食べ歩き・お得情報収集。FP Cafe登録パートナー。
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