「デリケートゾーンのかゆみ」でセックスレスに…更年期のトラブル対策は?

「デリケートゾーンがかゆい」「かぶれやすくなった」
40~50代になり、こんな悩みをお持ちではありませんか?

日本の女性は平均的に50歳頃に閉経を迎えることが多く、閉経を挟んだ前後5年間は「更年期」と呼ばれています。この時期は、ホルモンバランスの乱れにより、さまざまなからだや心の不調に悩まされるもの。

デリケートゾーンのかゆみやヒリヒリ感などの症状は、更年期にもみられる不調です。
そんなつらい不調の乗り越え方を、「あんしん漢方」の薬剤師、道川佳苗さんに教えてもらいました。

更年期の歩き方(13)

かゆくて眠れない……しまいにはセックスレス

現在52歳のみちこさん、閉経後から人には言いにくいある場所のかゆみで悩んでいるそうです。

「デリケートゾーンがかゆくて仕方ないんです。ひどい時には夜も眠れなくて。あまりにおかしいので婦人科を受診しましたが、カンジダなどの病気はありませんでした。いっそ病気ならば薬で治まると思うんですけどね。病気でないとなると、どうしようもなくて」

みちこさんの身体に起きる変化は、同時に夫婦関係にも悪影響をもたらしていました。

 

「夫との関係性が……夫からの夜の誘いがあっても、かゆみが気になって積極的になれなくて。もうそれどころではないというか。悲しいけど、最近は断ってしまうことが続いています。断り続けていたら、ついには夫から誘われなくなってしまって、もうセックスレスが半年は続いています」

 

もともと仲が良かったのに、最近ではギクシャクすることが増えたといいます。

 

市販薬も効かない……どうしたらいい?

こうした夫婦関係のストレスものしかかります。いわく、ストレスを感じた日には余計にかゆみがひどくなったそう。

 

「イライラすると余計にかゆくなります。市販薬も試したんですが、全然効かなくて。かゆみのせいで人生損してる気持ちです。どうしたらいいんだろうと鬱々としていたら、友人から体質改善してみたら?と言われて。藁をもすがる思いで漢方薬局へ駆け込みました」

 

薬局では意外なことを指摘されたようです。

 

「私、几帳面だから、洗いすぎていたんですね。更年期になると、粘液の分泌が少なくなり乾燥しやすくなります。そこへ、洗いすぎで自浄作用が失われると、かゆみを引き起こしやすくなるんですよ……そう指摘されて、びっくりして」

 

 

清潔にしたほうがいいと思って、デリケートゾーンをしっかり洗っていたみちこさんは、驚きの表情を隠せなかったそう。炎症を抑え、デリケートゾーンのかゆみにも効くという竜胆瀉肝湯(りゅうたんしゃかんとう)という漢方薬を処方され、しばらく続けることになりました。

 

かゆみが改善してきて勇気が出てきた

 

かゆみの他にもヒリヒリ感など、熱さを感じる症状があったみちこさんには、熱を冷まして、潤いを与える漢方薬「竜胆瀉肝湯(りゅうたんしゃかんとう)」が処方されました。

 

「飲み始めて2週間経った頃には、イライラすることが減ってきたと感じはじめました。徐々にかゆみも楽になってきて、夜眠れないほどかゆいということはなくなりました。アドバイスに従って、デリケートゾーンを石鹸でゴシゴシと洗うのをやめたのもよかったみたい」

 

ぬるま湯で優しく洗うように心掛けたところ、1ヶ月続けた頃には、だいぶかゆみも治まってきました。

 

「その頃、気持ちも楽になって余裕が出てきたのもあり、私から勇気を出して夫を誘ってみたんです。そしたら、夫もずっと我慢していたみたいで、『もう、かゆみは大丈夫なの?』と、気遣いながらも嬉しそうな様子で。そんな夫を愛おしく感じました」

 

どうなることかと思った夫婦関係も、無事修復に向かっているようです。

 

デリケートゾーンのかゆみ……これも更年期のせい?

・デリケートゾーンのかゆみがある
・違和感がありヒリヒリする
・はれぼったいような、重い感じがする

こんな症状に心当たりはありませんか?
もしかしたら、あなたのその症状は更年期によるものかもしれません。
更年期には以下のような理由で、デリケートゾーンのかゆみが起こります。

 

女性ホルモン(エストロゲン)の低下による潤い不足

更年期には女性ホルモンが減少することにより、膣内の潤滑液が不足してしまいます。

また、皮膚や粘膜の潤いが低下することで皮膚のバリア機能も低下して、かゆみを引き起こしやすくなります。

その他にも、ストレスや洗いすぎによっても、かゆみがひどくなります。

潤い不足により熱を生み、かゆみを引き起こす

東洋医学の考えでは、潤いが不足することで、体内に熱が発生すると考えられます。熱はかゆみを悪化させる原因になります。その他にも、頭痛やイライラ感、排尿時痛などを感じやすくなります。

 

更年期の不調には漢方薬がおすすめ

「更年期症状がつらいけど、ホルモン補充療法には抵抗がある」
「デリケートゾーンのかゆみを生じない体質を目指したい」

そんな方には漢方薬がおすすめです。
漢方薬は、医薬品として効果が認められているお薬です。自然の生薬からできているので、一般的には、西洋薬よりも副作用が少ないといわれているため、安心して服用いただけます。
ホルモンバランスをはじめ、からだ全体のバランスを整える事を目的とした漢方薬は女性の味方といえるでしょう。

また、体質そのものに働きかける漢方薬は、現在生じている不調を抑えるだけではありません。そのため、根本的な「体質の改善」を目指したい方、「薬でつらさや痛みを解消しても、すぐにまたぶり返す」とお悩みの方にも、ぜひ試していただきたいお薬です。

さらに、健康のために栄養バランスの整った食生活や、ジョギングや筋トレなどの運動習慣を続けるのは難しいという場合でも、漢方薬なら自分の症状や体質に合ったものを毎日飲むだけです。そのため、手間なく気軽に継続できる点もメリットといえます。

漢方医学を日常生活に取り入れることで、健康で快適な生活をめざしてはいかがでしょうか?

 

<デリケートゾーンのかゆみにおすすめの漢方薬>

・竜胆瀉肝湯(りゅうたんしゃかんとう):泌尿器などの炎症に用いられる薬で、体力が中位以上の人に向いています。排尿痛や残尿感などの症状にも用いられます。

・清心蓮子飲(せいしんれんしいん):胃腸が弱く、体力が低下した人の、残尿感・頻尿・排尿痛などの症状に用いられます。

ただし、漢方薬を選ぶ際の重要なポイントは、その人の状態や体質に合っているか、という点です。うまく合っていないと、効果を感じられないだけでなく、場合によっては副作用が生じることもあります。

 

どの漢方薬が自分に向いているのかを見極めるためには、プロの力を借りるのがおすすめです。「あんしん漢方」などのオンライン漢方サービスに、一度相談してみるのもいいでしょう。

AI(人工知能)を活用した漢方のプロが、お手頃価格で、個人に効く漢方を見極めて自宅に郵送してくれる「オンライン個別相談」が話題です。相談もスマホで完結ですので、対面では相談しにくい悩みも気軽に相談できます。

●あんしん漢方:https://www.kamposupport.com/anshin1.0/lp/

 

デリケートゾーンの悩みも一人で悩まず相談を

相談しにくいデリケートゾーンの悩み。しかし、恥ずかしいからとそのままにしておけば、確実に生活の質を落とします。デリケートゾーンをはじめとする「かゆみ」の症状は、もしかしたら更年期が関係しているかもしれません。相談しにくい症状でも、一人で悩まずに専門家に相談してみてください。

また、漢方薬を取り入れる場合は、個人の体質や体力などを考慮した上で選んだほうが効果も出やすくなります。つらい更年期の症状に悩まれている方は、専門家に相談して自分に合った漢方薬を見つけ、改善をめざしてみてはいかがでしょうか。

執筆/あんしん漢方 薬剤師 道川佳苗

漢方薬・生薬認定薬剤師。調理師。薬膳アドバイザー。大学卒業後、薬局にて従事し服薬指導をする中、病気の予防、健康維持には食育が大切であると感じ、調理技術、栄養学を学ぶため服部栄養専門学校に入学し卒業する。現在は今までの経験を活かし web上で健康相談や薬膳や漢方に関する情報発信をしている。