意外と読めない!「荷役」の読み方は「にえき」「にやく」どっち?
漢字にはさまざまな読み方があります。1つの漢字に複数の読み方があったりすると、その読み方に翻弄されることもしばしば。そこで本記事では、意外と読めない漢字のクイズを出題します。
第1問:「荷役」の正しい読み方、知っていますか?
「荷役」とは
船荷のあげおろしをすること。また、それをする人。
引用元:小学館 デジタル大辞泉
を意味します。
読み方を問われたとき、恐らく「にえき」と読む人と「にやく」と読む人に分かれるのではないでしょうか。確かに「役」は「えき」とも「やく」とも読むことができます。
まずは正解を発表します!
「にやく」です。
問題の「役」の読みは
- 音読み ヤク・エキ
- 訓読み (常用外)つとめ・いくさ
です。
「やく」も「えき」も音読みなので、音読みと訓読みの違い、というわけではありません。しかし日本では、「やく」と「えき」の読みを意味によって使い分けてきた歴史があります。
- えき:「戦争」や「働かせる」などの意味。
→「使役(しえき)」「苦役(くえき)」「現役(げんえき)など - やく:「仕事」や「割り当て」などの意味。
→「役人(やくにん)」「役割(やくわり)」「配役(はいやく)」など。
漢字本来の意味には違いがありませんが、日本人は古くからこのように使い分けてきました。
「荷役」とは“船荷のあげおろしをすること。また、それをする人”でした。となると、「仕事」や「割り当て」などを意味する「に“やく”」が適していることが理解できるのではないでしょうか。
ただ読み間違いが多いからか、近年ではパソコンやスマホで「にえき」と打つと、自動変換機能で「荷役」と出るものもあるそうです。言葉は変化するものであり、慣用読み(間違った読み方だが一般に広く普及し、使われるようになった読み方)が浸透している漢字も多々あります。
とはいえ、現時点では辞書に掲載されている読み方は「にやく」のみです。この機会に「荷役(にやく)」の読みと、「役(やく・えき)」の使い分けを覚えてしまいましょう!
参考文献:「荷役」という熟語は「にやく」と読みますが、「にえき」と読むのは間違いですか? 漢字Q&A 漢字文化資料館
出典>>意外と読めない!「荷役」の読み方は「にえき」「にやく」どっち?
第2問:「肉汁」の読み方、知っていますか?
料理などをよくする人であればすんなりと答えられるかもしれませんね。
「肉汁」の意味は
1 鳥獣の肉を煮出した汁。肉羹(にくこう)。
2 肉をしぼって取った汁。肉漿(にくしょう)。
3 (「にくじる」とも)肉を焼いたときにしみ出る液汁。引用元:小学館 デジタル大辞泉
です。意味の3つ目にある「にくじる」と読む人も多いのではないでしょうか。近年では「にくじる」という読み方も広く普及しているようですが、正式な読み方はコチラです!
「にくじゅう」です。
辞書に掲載されている読み方は「にくじゅう」であり、「にくじる」という読み方を主見出し語にしている辞書はめったにないようです。
とはいえ、「にくじる」という読み方は時代と共に広まりつつあります。2000年11月にNHKが行った「ことばのゆれ調査」では、「肉汁」の読み方を「にくじる」と答えた人が7割を超えたと言われています。
そのためNHK放送用語委員会では、「肉汁」の読み方を「にくじゅう」だけでなく「にくじる」も認めるようになりました。一般的な放送では「にくじゅう」という読み方を優先するとのこと。ですが、最近の料理番組では「にくじる」という読み方をよく耳にします。
「にくじゅう」という読み方に慣れている人からすると違和感があるかもしれませんが、時代の変化とともに読み方が柔軟に変わっていくのは、日本語の魅力なのかもしれません。
参考文献:「肉汁」の読み|NHK放送文化研究所
出典>>本当にそれで合ってる?「肉汁」の正しい読み方、知っていますか?
第3問:「泥む」と書かれたとき、どう読むか知っていますか?
「泥」と1文字書かれている場合には、迷わず「どろ」と読むのではないでしょうか。ただし「泥む」を「どろむ」と読むのは間違いです。また「泥」という漢字の印象から「泥む」を「よどむ」と読んだ人もいるのではないでしょうか。しかし、これもまた間違いです。
「よどむ」は漢字で「澱む・淀む」と書きます。
なお「よどむ」は「流れが滞って水がたまる」ことや「物事が順調に進まない」ことを表します。
「泥む」にも「よどむ」に似た「とどこおる」という意味があります。
1 そのことに心がとらわれる。こだわる。執着する。
2 物事がはかばかしく進まないでいる。進むのに難渋する。とどこおる。
3 なじむ。なれ親しむ。
4 悩み苦しむ。病む。
5 植物がしおれる。生気がなくなる。
6 ひたむきに思いを寄せる。執心する。引用元:小学館 デジタル大辞泉
正解はこちらです!
「なずむ」です。
金八先生でおなじみの武田鉄矢さんが歌う海援隊の『贈る言葉』。この一節に「暮れなずむ町の〜」とありますよね。この「暮れ“なずむ”」が「泥む」です。
「滞る」ことを意味する「泥む」。「暮れなずむ」は暮れる状態で滞っている様を表しています。
そのため「暮れなずむ」という言葉を使うときには、「日が暮れた」意味で使わないよう注意してください。「日が暮れた」という意味を表す場合には、単刀直入に「暮れた」と表します。「日が暮れかかっているが、真っ暗になるまで時間が長い」、そんな状況を表すときに「暮れなずむ」と使いましょう。
出典>>「よどむ」ではありません!「泥む」の読み方、知っていますか?
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