「~じゃないですか」と言うべきではないこれだけの理由
「その件については、先日申し上げたジャナイデスカ」
「最近はこんな店が流行っているジャナイデスカ」
「黒い服って白い服より意外と汚れが目立つジャナイデスカ」
こんなふうに「ジャナイデスカ」を使用する人がいます。今は口語として一般的になっていますが、大人の女性の場合は「お里が知れる」と言いますか、あまり使わない方がよいのです。
あなたは「ジャナイデスカ星人」になっていませんか?
確認の為に使うジャナイデスカは少し押しつけがましいジャナイデスカ
以前、タクシーに乗った時に、運転手の方がいきなり「僕って少し手前でメーターを止めるジャナイデスカ」と仰ったのです。「え?知り合いでした?」と思わずミラーでお顔を拝見しました。こういう共有確認の意味を持つ使い方は、仲の良い友人同士ではよく使いますよね。「ほら、僕ってそういうタイプジャナイデスカ」のように。
それは、お互いがその事実を周知している前提で話す場合に使う方法で、親しみを確認する場合には有効ですが、そうでない場合は押しつけがましい雰囲気になりますので、気をつけたいですね。
ジャナイデスカを他の言い方でなんて言うなんて大変ジャナイデスカ
では、どう言ったらいいのでしょうか。
分解して考えてみましょう。
1 「じゃ」は話し言葉。正しくは「では」
「じゃ、後ほど」
↓
「では、後ほど」
「じゃ、これにします?」
↓
「では、これにします?」
ここまではOKですか? 次に「ないです」についてです。
2 「ないです」という日本語はないです
「ないです」は丁寧な言葉なように感じますが、形容詞+「です」は、もともと言葉の誤用なのです。私は小学生を指導する時に「ないですという日本語はないです」と教えています。「ない」は形容詞なので「です」が本来付きません。しかし、「嬉しいです」「楽しいです」はもはや他にふさわしい言い方がないなど審議されていますし、実際私も使います。
「申し訳ありません」を「申し訳ないです」というのも、市民権を得てきましたし、それほど目くじらをたてるものでもありません。しかし、本来は「ありません」と使う言葉なのです。そして、そのように使うと、実に丁寧で上品な言い方となります。
「いえいえ、そんなことはないです」
↓
「いえいえ、そんなことはありません」
↓
「反対するつもりはありません」
つまり、「じゃ」+「ないです」の「じゃないです」も「ではありません」に変えると良いというわけです。
「私はこの方法は好きじゃないです」
↓
「私はこの方法は好きではありません」
「提案したのは彼じゃないです」
↓
「提案をしたのは彼ではありません」
どうでしょう?ぐっと大人の女性らしい言い方になりましたよね。中には「じゃないです」を強調し「じゃないんです」などともっと幼稚な印象になっている方もいらっしゃいます。この「ではありません」を更に丁寧に「ではございません」ともできます。ただし、少しかしこまりすぎて、むしろ強い意思がある言い方になってしまいます。
「私はこの方法は好きじゃないです」
↓
「私はこの方法は好きではありません」
↓
「私はこの方法は好きではございません」
「ジャナイデスカ」は「ではありませんか」に言い換えてもベストな感じにならないジャナイデスカ
言い換えれば美しい日本語になるか、確認のため、これまでのルールで冒頭の文を直してみましょう。
「その件については、先日申し上げたジャナイデスカ」
↓
「その件については、先日申し上げたではありませんか」
これはOKですね。
「最近はこんな店が流行っているジャナイデスカ」
↓
「最近はこんな店が流行っているではありませんか」
この文の場合は「なんと言うことでしょう!まるで○○ではありませんか」と某番組のナレーションのようになってしまいます。この場合の「ジャナイデスカ」は確認、主張の意味がありますから、むしろ素直に
「最近はこんな店が流行っていますよね」
これで十分なのです。
「黒い服って白い服より意外と汚れが目立つジャナイデスカ」
こちらも、同意を求める「ジャナイデスカ」ですから、
「黒い服って白い服より意外と汚れが目立ちますよね」で良いのです。
なんだ、ジャナイデスカは素直に言えば良いんジャナイデスカ
この「素直に言えば良いんジャナイデスカ」は文法的に直すと「素直に言えば良いのではありませんか」となりますが、最初から素直に言えば「素直に言えば良いのですよね」となります。
今日から少し「ジャナイデスカ」に気をつけてみましょう。意外と多く使われていることに気がつくと思います。その時に「この場合の『ジャナイデスカ』はどう言い換えられるかしら」と考えてみて下さい。
ええ、それって、勉強になるジャナイデスカ!
スポンサーリンク