同僚ががんに…「とにかく休ませる」のは正解?元がん患者が語る、残念な対応・うれしい対応
セルフレジリエンスを提唱している元がん患者の大穂その井さん。
オトナサローネにも寄稿してくださった大穂さんの体験記を読んで、その”乗り越え力”に驚愕した人もいるのでは?
今回は、がん患者と一緒に働く人の対応としてどうすべきかを大穂さんに取材。
そこで、実際がんを経験された大穂さんにベターはお見舞いのマナーをインタビューしました。
がんになって周囲から一番聞かれたことは?
大穂さん:「がんになったって友だちや職場の人間に伝えても、案外みんな何も聞いてこないんです(笑)。「がんに罹った」ってだけで、『あー、この人もうダメなんだな』って雰囲気になっちゃうのかな。がん経験者じゃない限り、みんな何て言えば、何を聞いてよいか悪いか、わからないんでしょうね。そして、中にはそのまま疎遠になっちゃう人もいるのが現実です。
でも、今って本当に科学が進歩していて、抗がん剤と吐き気止めを併用して、けっこう元気で働ける人もいます。私もがんが再発したときに、はじめのがんのときにはなかった新薬を投与して症状がやわらいだという経験もしました。だから、必ずしも死ぬ病気ではないということを皆さんに知っておいて欲しいです。」
がんに罹ったとき「とにかく休んで」は逆にツライ
大穂さん:「もちろん体調次第だと思うのですが、私は通院しながら一定期間働けていたので、体調と相談しながら職場に行ってました。そのときに、ありがたかったのは”自分でできることは自分でやらせてもらえること”。とにもかくにも休んで!って言われると、がんになってもできることがあるのに、それすら奪われてしまう感覚に陥ってしまうんですね。だから、働く意思を尊重してくれたのはうれしかった。
あとは、クライアントさんのところに行くときに歩調を合わせてくれた同僚の対応がうれしかったのと、体調が悪くてごはんが作れなかったときにご近所さんがおかずを持ってきてくれたのがうれしかったですね。
そう、意外とご近所づきあいって大事。特におひとりさまの場合、スーパーに行くのもツライときに助けてくれる。他にもがん友も、体調が悪くて動けないとき、近所に住んでるママ友が送り迎えを手伝ってくれたのがうれしかったとかも聞きました。」
がん治療はマラソンと一緒!
大穂さん:「がんに罹ったと伝えられても、周囲の人にはなるべく今まで通りにしてほしいです。とにかく体調優先で休んでもらわなきゃ!って思いがちですが、入院治療が必要な血液がん以外の患者さんはお医者さんには『復帰してください』って言われることも多々あります。だから、自分でできることは自分でやらせてほしい。そのほうが患者自身も自分らしく生きられると思います。
そして、ツライときはいつでも助けになるよという周囲の姿勢ほど救われるものはありません。私もがんになった際はメールで体調を案じる連絡をくれた同僚もいましたが「返信は不要だから」と書いてあったのが印象的でした。ツライときは返事しなくてもいいんだよ、というその配慮がありがたかった。
がん治療ってマラソンと同じだとよく表現されます。いつでも沿道で声援を送ってくれる人がいると思うと、頑張れるんです。だから、ぜひ周りでがんに罹患された方がいたら、この記事を読んでくださったあなたもエールを送る1人になってくれたらと思います」
もし、仕事を休まなきゃいけない状況になったら同僚からの「待ってるよ」や「無理のない範囲で働こうね!」という言葉がうれしかったとのこと。
今や日本人の2人に1人は一生のうち一度はがんにかかると言われてるほど、がんは身近な病気。自分を含め周囲でも罹患する人が出てくるのは、必然かもしれません。
だからこそ、どういう対応をしたらいいか、心構えはしておくべきですね。
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