不倫から「生還」したアラフォー女性のたったひとつの決断は、「自分の価値を守る」こと
アラサーの年下既婚男性と不倫関係にあったアラフォー女性。彼女は「ひとりぼっちへの焦り」から、つい道を踏み外してしまいました。
ですが、関係が続くにつれ、「どんどん自分の価値が下がる」ことに気がついたと言います。自分を大切にすることを改めて感じた彼女は、先のない不倫を断ち切る決心をしました。
既婚の彼と別れたとき、彼女は以前よりずっと魅力的なアラフォー女性へと変身します。
先のない不倫から「生還」したアラフォー女性の恋愛について、恋愛相談家の目線からお話します。
「この人と先はない」の落とし穴
「このままじゃ一生ひとりぼっちかもしれない」
38歳の彼女は、5年以上彼氏のいない自分に気がついたとき、そんな恐怖を覚えたと言います。
大手のスーパーに勤める彼女でしたが、職場ではみんな結婚していて、お客さまとドラマのような出会いがあるわけでもなく、独身男性と知り合う機会があってもいつの間にか「お友達」のポジション。
決して人当たりが悪いわけでもなく、容姿だってごく普通の彼女ですが、恋愛感情から長い間遠ざかっていたせいで、気になる男性へのアプローチの方法も、また誘われても上手に振る舞う器用さも忘れてしまっていました。
何とかしたいと思い、新しい出会いを求めて飛び込んだのが、趣味の登山を楽しむ社会人のサークル。そこで、アラサーの既婚男性と出会います。
「結婚してるし、先はないなぁ」
と真っ先に感じた彼女ですが、その油断が命取りになりました。
恋愛感情を持たないだろうという安心から気軽に近づき、仲良くなってみると「優しくて、自分を女性扱いしてくれる紳士的な彼」に自然と惹かれるようになります。
みんなとの食事会ではさり気なくいつも隣の席をキープしてくる彼、山に登るときはほかの女性より自分の装備を入念にチェックしてくれる彼、サークルがないときでもマメにLINEで連絡をくれる彼。
気がつけば、彼に会う日を心待ちにしている自分がいました。
彼は、「たぶん最初からそのつもりで」彼女に気がある素振りをしていたのか、明らかに「サークルの仲間」以上の感情を抱いているのが見えました。
「好きになってはダメだ、この人は結婚しているから」と幾度思っても、会えば優しく声をかけてきてくれて、帰りは「送りますよ」と車の助手席に乗せてくれる、そんな彼への恋心はどんどん募ります。
それは、彼の方にも自分に対する恋愛感情があると伝わるせいで、余計に歯止めがかからないものでした。
そんなある夜。
いつも通り「今日も送りますから」と笑顔で駐車場まで歩く彼の後ろに続きながら、彼女は思わず「今日はもう少し一緒にいたい」と口にします。
そして、「俺も」と言う彼に流されるまま、キスを交わしてしまいました。
「このままでは自分の価値が下がるだけ」
彼と肉体関係を持つまで、時間はかかりませんでした。
彼女にとっては、5年ぶりの恋。でも相手は既婚者です。
行為を求められれば断ることができず、でも内心では「不倫なんて、人にバレたらどうしよう」という不安でいっぱいでした。
「誰かに言えば責められる」と思っていた彼女は、友人にも相談できず、一人で悶々と悩むことになります。
彼は、
「奥さんへの愛情はもうないから」
「好きなのはあなただけ」
と言葉巧みに彼女の心を引き留めます。
「好きだ」と言われれば、どうしても舞い上がってしまう。会っている時間だけは、彼は自分のもの。私を愛してくれる人。
不倫という道に外れた関係に苦しむ反対側で、求められることの幸せが彼女を逃しません。
いつ連絡がきてもいいようにスマホが手放せなくなり、会社でも彼がふらっと現れないか勤務時間中気にするようになり、家に帰っても彼のことばかり考える毎日でした。
サークルでは、周りに関係を隠して彼と話すスリルも新鮮で、ほかの女性と話す彼に嫉妬する自分もいました。
「先のない関係」なんだから、いずれ終わらせないといけない。
それがわかっていても、「別れたらまたひとりぼっち」という事実と向き合うことが怖く、バレなければこのままでいたい、という「逃避」を彼女は選んでいました。
ですが、不倫を続けると決めても、彼女は苦しみます。
堂々と表をふたりで歩けない、自分の手料理を食べてもらう機会もない、夜一緒に眠ることもできない。
そんな関係が、まともな感情を育てるはずがありません。
どんなに目をそらしても、サークルで奥さんの話を振られれば笑顔で答える彼に「信じられない」と詰め寄ってしまう怒り、友人たちが幸せそうに家庭のことを語る姿に覚える嫉妬、クリスマスなどイベントがあっても、絶対に彼とは予定を組めない寂しさ。
自分が抱えるネガティブな感情に加え、どれだけ「好き」と言っても離婚する気配はまったくなく、ただ体を重ねる時間ばかり求める彼への不信感も、彼女を悩ませました。
これって、本当に幸せなの?
本当にこのままでいいの?
そんな思いが渦巻いていると、彼への言葉もついキツいものになり、一緒にいても「不機嫌な顔ばかりだなぁ」とため息をつかれるようになります。
ある日のこと。
「そんなに楽しくないなら、もうやめる?」
と苦々しく彼がベッドで口にしたとき、彼女は
「このままでは自分の価値が下がるだけだ」
とはっきり自覚します。
「うん、そうね、もうやめようか」
その言葉は、自分でも意外なほど「簡単に言えた」と、後で彼女は話してくれました。
不倫からの「生還」は、より魅力的な自分への新しい道になる
「この間まで不倫していたんだけどね」
と彼女から聞いたとき、私は驚いて「何でそんなアホなことを・・・」と思わず口にしていました。
「うん、アホだよね」
と彼女は笑い、すべて話してくれましたが、「結局、何も残らないよね、不倫って。終わってもなんともない」とあっさりした表情で言う姿が印象的でした。
別れたら、またひとりぼっち。
でも、別れなくても、何も生まれないし、何も残せない。
そのことに気がついた彼女は「自分のために」不倫を止める決心をしました。
「いざ終わってみると、寂しさより開放感の方がすごくて。あぁひとりの方がマシだーって」
それは、強がりかもしれません。本当はやっぱり寂しいのかもしれません。
でも、それでも、「自分の価値が下がり続ける」よりずっといい。
不倫から「生還」した彼女は、登山のサークルを辞め、それからは合コンに参加したり婚活パーティに行ってみたりと、まともなやり方で彼氏を探すようになりました。
「簡単に声をかけてくる男もいるけど、下心があるかもって思うと警戒できるしね、見る目が養われるよ」
既婚の彼のために、メイクを一新したり自分に似合う服を選んだりと、そんな新しい努力を重ねていた彼女。
それは、次の「独身の彼」のために、魅力的な自分であることを目指す下地になっています。
彼女は、以前よりずっと恋愛に前向きになりました。「ひとりぼっちへの焦り」は、彼女を正しく人を愛せる道へと戻してくれたのですね。
アラフォーの彼女は、以前「こんな自分は独身男性に相手にされないかも」と言っていました。
そんなネガティブな気持ちが、既婚男性の仕掛ける罠に反応してしまったのかもしれません。
たとえ自分を愛してくれる男性がいたとしても、不倫関係をよしとするような人との恋愛は、ただ自分の価値を下げるだけです。
彼女は今でも独身で、彼氏を探し続けていますが、以前より男性とのコミュニケーションを楽しむ日々を送っています。
本当に幸せになるための努力を続けている彼女のもとに、運命の人が現れる日はそう遠くないかもしれません。
恋愛相談家の見たリアル「不倫を退けるアラフォーのルール」1/「ひとりぼっちの寂しさ」に負けないオンナ