在宅勤務で効率が落ちる家、共通する「残念な特徴」とは?【医学博士が指摘】

 

ここ2年ですっかり定着したテレワーク。でも、オフィスと違ってちょっとリラックスしてしまう自宅でのお仕事、「テレワークだと仕事の集中力が続かない…」なんて悩んでいる人もいるのでは? 自宅だとお昼寝やネットドラマなどの誘惑が多いのも確かですが、もしかしたら温度や湿度、BGM、照明などの環境面も関係しているかもしれません。

 

そこで今回は、集中して勉強や仕事ができる室内環境づくりについて、本郷赤門前クリニック院長で、医学博士の吉田たかよし先生のアドバイスをお届け。

 

集中できないのは「部屋の環境」のせい?その惜しい実態は

室内の温度や湿度と、集中力にはどんな関係があるのでしょうか? 三菱電機  霧ヶ峰PR 事務局が、全国の学生の男女600名を対象に、冬場、自宅で勉強をする際の室内環境についてアンケート調査を実施したところ、「冬、自分の部屋(共用を含む)で勉強している人」は79.8%も。その各勉強場所において「エアコン暖房をつけている人」は95.0%以上で、そのうち、冬、エアコン暖房をつけているとき「勉強に集中できないことがある」と回答した人は59.3%。

また、室内環境で気になることや悩んでいることとして、「部屋の乾燥が気になる」人は54.5%、「部分的に冷える箇所がある」人は40.4%、「エアコンの適切な設定温度がわからない」人は33.4%という結果に。

 

どうやら暖房や乾燥、冷えなどがお部屋での仕事や勉強の集中力を妨げている模様。

 

医学博士が伝授!在宅中でも集中力を上げる「5つの技術」

心療内科医師の吉田たかよし先生は、テレワークの集中力を上げるための室内環境を整えるポイントとして、次のことを挙げています。

 

技術1・室温は「やや低く」がベスト

脳の情報処理のことを考えると、熱を発することから、適度に冷やすことが必要。エアコンの設定温度は自分自身が「涼しい」と感じる温度に設定することがおすすめだそう。

冬場は寒さでついエアコンで温度を上げがちですが、「暖かい」と感じると集中力の妨げになるというのです。

もし、あくびが出たら集中力がかなり下がっているサイン。エアコンの設定温度を少し下げ、脳を冷やすことで対策しましょう。

 

技術2・寒すぎもNG。寒暖を感じないくらいに

ただし、温度を下げたほうがいいと言っても、寒いと感じるまで温度を下げると、脳がストレスを感じて、かえってテレワークの効率は下がってしまいます。

長時間、寒いと感じると、ストレスホルモンの作用で脳の働きは逆に低下するというのです。寒いなと感じたなら、元の温度設定に戻すなどして対策しましょう。

 

ちなみに、足元が冷える場合、足底部(足のひら)よりも足首を重点的に温めたほうが脳の働きが活発になるといいます。また、足首を温めると足底部の血流が良くなり、結果的に足底部も暖かく感じる性質があるそうなので、レッグウォーマーなどで足首を暖めましょう。

 

技術3・湿度は50%前後を保つ

湿度は、60%を超えると脳内で意欲が生じにくくなり、勉強のやる気が低下する危険性があるそう。室内は、湿度50%前後を目安に設定を。

 

技術4・BGMにラジオや音楽はやめて。自然界の音がベスト

好きなアーティストの曲を流すと集中できるという人もいるでしょう。でも、ボーカルの入った曲は、おすすめできないそうです。なぜなら、脳の言語中枢は、基本的には一つの作業しかできないため、曲の歌詞を言語中枢で認識すると、その分だけ、脳の情報処理がおろそかになるから。

「大好きな曲を聞くと気分がいい」と思う人もいるかもしれません。好きな曲を聞くと感動しますが、その作用によって脳内で論理的な思考力を生み出す前頭前野の働きが抑制を受け、集中力を保てなくなる恐れもあるそう。

ではどんな音がいいのでしょうか? テレワーク中に聞くと集中力を上げる効果が期待できるのは、波の音、せせらぎの音、風が吹き抜ける音など「自然界の音」なのだとか。

自然界の音は、ストレスの緩和や、集中力を上げる効果が期待できるといわれているそうです。ヒーリング系の自然音を集めたものも市販されているので、音が鳴っていないと集中できないという人は、音楽から変えてみてもいいかもしれません。

 

技術5・照明は昼と夜で色を使い分ける

照明も集中力アップに役立つのだそう。ポイントは、照明器具を昼と夜で使い分けること。室内の照明についても時間医学の研究が進んでおり、朝から夕方までは「青白い光」が望ましく、夜は「オレンジ色に近い光」で照らすのが、脳にとって最適であることがわかっているそうです。

太陽のリズムに合わせて、日中は青白い照明にすることでやる気や集中力を高め、夕方以降はオレンジ色に近い照明にすることで、睡眠の質が向上し、効率よく記憶を定着させることができるというメリットも期待できるそうですよ。

 

テレワークの集中力が下がり気味という人は、ぜひこの機会に、室内環境を見直して、試してみてはいかがでしょうか。様々な方法を試すうちに、きっと自分にとってベストな環境が見つかるはずです。

 

 

 

お話を聞いたのは…

吉田たかよし先生

本郷赤門前クリニック院長 医学博士・心療内科医師

2005  年に、受験期にうつ症状が急増することを、データを提示しながら指摘し、「受験うつ」として警鐘を鳴らすべきだと、広く提唱。同年、日本で初めて、受験生の脳機能やメンタルを専門に扱う「本郷赤門前クリニック」を開設。浜教育研究所主席研究員として脳医学を応用した教育法の開発にも従事。

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