「お待たせしました」は実はNG?気をつかったつもりで失礼な日本語

2022.07.16 WORK

「お待たせしました。レポートを提出します」
調査や研究を始め、リサーチでもアンケートでも、イベントでも、確かにレポートは早くほしいもの。その提出が遅くなってしまった場合、「お待たせしました」と言われると少し違和感を覚える人がいることを想像できますか?
また、文法的にもおかしくないのに、この「お待たせしました」がどうしてそんなに微妙な雰囲気になってしまうのでしょうか。

 

「遅くなりました。ハンバーグ定食です」とは言わない

「お待たせしました。ハンバーグ定食です。」

これはOK。待っていたのですから。ではハンバーグ定食はOKでレポートはなぜNGなのでしょう。

ハンバーグ定食の場合は、こちらが注文し、言うならば、それ相応の代金を支払い「作ってください」とお願いした状態です。あまり待たせすぎるのは別ですが、少々の時間は対価として我慢するわけです。その時に例えば多少テーブルに届くのが遅くても、「お待たせしました」となります。逆に「遅くなりました」とは言えません。程度が酷い場合は「遅くなりました」ではなく、むしろ「大変お待たせしてしまい……」などとなるわけです。

一方、レポートの場合は、こちらが「書いてください。お願いします」と注文したわけではありません。レポートがあった方が良いことは、最初から決まっていたことで、期限通り、理想のタイミングで出ることに対し、当然の期待がかけられています。それがこちらの都合で遅れた場合に「遅くなりまして」は使えても「お待たせしました」が失礼にあたる由来です。

つまり「お待たせ」と言われた相手は、期待通り、理想のタイミングで出ることが当たり前と思っている状態、そう実は「待っていない」状態の場合なのです。

 

年齢が上の人ほど気にする

時間通りにできた場合も同じです。まさに「まだ待っていたわけでもない」という状態で、そこに「お待たせしました!」とくると、「待っていたのでしょう?ね?お待たせしました!」と「待っていた状態」の押しつけになります。

この傾向は、年配者に特に顕著になります。
NHKが調査したものがあります。
(出典:NHK放送文化研究所)

ある人が上司に、あとで書類にはんこを押してほしいということを、電話で伝えた。その後、その上司のところに直接行って
a「【遅くなりました】、こちらにはんこを押していただけますか。」
b「【お待たせいたしました】、こちらにはんこを押していただけますか。」

「遅くなりました」「お待たせしました」の二つの言い方に対し、

「a【遅くなりました】のほうが感じがいい」と答えた人は37%
「b【お待たせいたしました】のほうが感じがいい」と答えた人は57%

で、「お待たせいたしました」のほうが全体では多く回答されたのですが、年齢が上がるほど回答の差が小さくなり、60歳以上では「遅くなりました」の方が上回りました
また、男女差では、男性の「遅くなりました」の支持が高かったのです。

つまり、一般的に考えた立場が上の人の方が「お待たせしました」という言い回しを「気にする」という結果となっています。

「待たせる」という行為そのものは、立場の上下関係なく存在しますが、「立場の下の者が立場の上の者を待たせるようなことをしてはいけない」という暗黙の了解があります。
「お待たせしました」と言われるということは、「私は待たされたのだな」ということを強く感じさせます。
ところが「遅くなりました」という場合は、相手が悪いわけで、お詫びの言葉が続く雰囲気がありますよね。

 

待っていても「遅くなりまして」が良い

どちらにしても、この言葉が発せられる状況として、何らかの「待機」状態があるわけです。もちろんNHKのアンケートのように「はんこを押す」ような場合は、上司が「そもそも待ってなんかいない」という場合もありますが、本当に「待っていた」場合も、「遅くなりまして」の方が良いのです。
さきほども述べた通り、どちらが悪いのかという視点に立つと、遅くなった方が当然悪いわけです。なので、謝罪の言葉がほしいところ。「お待たせしました」は謝罪の言葉につながらないので、微妙な感じになるのですね。

 

「遅くなりました。〇〇です」

遅れた場合は、これまた違うアドバイスになります。きちんとお詫びの言葉を続けなくてはなりません。
遅れていない場合であっても、この言葉はスマートです。

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