テレワークが始まって太った人が睡眠の質を疑うべき「言われてみれば当然な理由」
働く女性、更年期世代の女性は、なぜ今眠れていないのか。そして、どうすれば眠れるようになるのか。
医療法人社団SSC 理事長であり、スリープ・サポート クリニック院長の林田健一先生にお話を伺いました。
前編『実は不眠は女性に多い?睡眠トラブルとその原因、受診のめやすって』に続く後編です。
「眠れない」と感じる女性が医師に共通して訴えることは
——先生のクリニックにいらっしゃるオトナ世代女性に共通する主訴があれば、教えてください。
50歳の女性10人が来たとします。その背景は更年期やストレスなど、まさに十人十色で、共通しないんです。「ただ眠れない」というのも多いのですよ。
——ただ眠れない、とは…?
「ただ眠れない」人は、それぞれの世代に均等にいます。
生まれつき覚醒が優位になりやすい神経バランスの方です。
——眠るのが下手な人、ということでしょうか?
そもそも、日本人は睡眠が短く、さらに男性より女性のほうが睡眠時間が短いです。
OECDが出している2020年のデータを見ると、加盟国の中で日本がワーストです。各国平均が500~700分のところ、日本の女性は435分と圧倒的に短いです。
NHKの国民生活調査で2015年のデータを見てみると、男性の平日の睡眠時間7時間21分、女性の平日の睡眠時間は7時間10分。かつ、50代の女性の睡眠時間は6時間31分と、全体の中で一番短い。昼寝の頻度も、男性より女性のほうが短いです。
睡眠時間が少なくても仮眠の時間は短く、日本の女性は「睡眠負債」がたまっている状態と言えます。
——つらければ仮眠を取るはずなのに、取っていないのはなぜでしょう?
先程のデータは、不眠症の人もそうでない人も混ざっているものですから一概には言えないのですが、「日本人は勤勉だから」というのが仮説としてあげられます。
寝ているのが恥である、睡眠時間が短いほうが頑張っている…というイメージが強いですよね。
その思い込みのせいで、知らず知らずに無理をしている人が多いのです。
女性の場合、朝早く起きて子どものお弁当を作る、それなのに夜遅くまで起きて夫が帰ってきてから夜食を作ってあげる、さらには夜中に介護が必要な家族をトイレにつれていくなど、他の人に合わせることによって睡眠時間が短くなりやすいです。
——ほかに、女性特有の症状はありますか?
むずむず足症候群(レストレスレッグ)というのがあります。足がむずむずして、じっとしていられない症状です。
夕方から夜にかけて症状が出やすく、布団に入ったときにその不快感で寝られなくなってしまうのです。これは女性に多いです。
原因としては、鉄不足があげられます。妊婦さんや、貧血患者さんによく見られる症状なんです。
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