更年期の47歳、湧き上がるような「これまでとは違う衝動的な怒りとイライラ」はどう抑えればいい?

生理前になると、「イライラしたり、気分が落ち込んだりと感情の起伏が激しい」「絶望感に襲われて眠れない」などと悩んでいませんか?

日本の女性は、平均で50歳頃に閉経を迎えることが多く、閉経を挟んだ前後5年間は「更年期」と呼ばれています。

この時期は、ホルモンバランスの影響で、からだや心のさまざまな不調に悩む女性が多いようです。

更年期女性が持つお悩みのひとつに「生理前のイライラや気分の落ち込み」などの精神症状があります。

このような更年期の不調を改善する方法について「あんしん漢方」の薬剤師、清水みゆきさんに教えてもらいました。

 

いつもは気にならないことが気になってイライラ!

千賀子さん(49歳)は、数か月前から生理前の激しいイライラと気分の落ち込みに悩んでいます。

「生理の3日ほど前になると、急に原因不明の激しいイライラが止まらなくて……家族の何気ない一言や散らかしっぱなしの私物に激怒して感情的に怒鳴り散らしてしまいます」

たとえばどんなことでイライラするのでしょう?

「先日は帰宅した夫に『お弁当におふりかけが入っていなかったよ』と言われた瞬間に怒りが沸騰、『何から何まで私にやらせて……そんなの自分で入れなさいよ!!』と怒鳴り返しました。そのあと、高校生の娘が制服のジャケットを居間のソファの横に脱ぎ捨てていたのに気づき、声も出ないくらいにブチ切れてしまって。テレビの前で転がっている娘に無言でジャケットを投げつけて、驚いた娘と大ゲンカになりました」

頭の中が怒りでいっぱいになると感情をコントロールできないと落ち込む千賀子さんでした。

 

イライラからの自責・気分の落ち込み

しばらくたって、娘さんが門限を過ぎて帰宅しました。

イライラしていた千賀子さんが激怒して理由を訊ねると、

「お母さんいつも怒ってる。こんな家にいたくない」

と娘さんから衝撃のひと言がかえってきたそうです。

「娘の言葉がすごくショックで……自責の念に駆られて、今度はうつ状態になってしまいました」

コントロールできないほどのイライラや気分の落ち込みと、すっかり感情が不安定になってしまった千賀子さん。

「以前はこんなことなかったのに……」

そう思ってネットで原因を探したところ、生理前には情緒不安定になることが多いと知りました。

 

激しいイライラ・気分の落ち込みの原因は更年期だった

「生理前の不調なら婦人科に相談に行こう」

そう考えた千賀子さんは、早速、近くの婦人科を受診することにしました。

「更年期のホルモンバランスの乱れは自律神経を不安定にするので、イライラしたり気分が落ち込んだりと感情が不安定になることがよくあるんです」

と医師から説明されたそうです。

さらに、生理前から続き、生理が始まると症状が和らぐ不調のうち、とくに精神状態が強い場合をPMDD(月経前不快気分障害)といい、更年期の精神症状と似ていることも教えてもらいました。

「まずは漢方治療でバランスを整えていきましょう」

と医師から抑肝散加陳皮半夏(よくかんさんかちんぴはんげ)という漢方薬が処方されました。

抑肝散加陳皮半夏は、気血(きけつ)の巡りをよくして自律神経のバランスを整え、イライラや情緒不安定の改善が期待できる漢方薬です。

「漢方を始めて、コントロールできないような生理前のイライラは軽減してきました。まだ感情の揺れはあるのですが、家族にも更年期が原因と話して理解してもらっています」

 

▶【後編】更年期も続く「生理前のイライラ」「気分の激しい上下」漢方薬でケアするには何を探せばいい?

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