「あんなに優しいご主人を悪く言うの?信じられない」誰にもモラハラを理解されないワーママ、起死回生までの顛末

2023.05.13 WORK

夫婦問題・モラハラカウンセラーの麻野祐香です。経済的に自立した「働く女性」であってもなお逃げ切れずに苦しむ夫のモラハラについて、長年に渡りカウンセリングを続けてきた私なりの対策をお伝えしています。

 

さて、モラハラ夫に苦しむ女性たちに共通するのが「孤立感」です。なぜなら、モラハラ夫はほとんどのケースで非常に外づらがよく、外ではいい人を演じているから。周りの友人に相談しても「いいご主人じゃないの、何贅沢言ってるの」と誰にもわかってもらえないのです。

モラハラ夫にはたくさんの特徴がありますが、家の中と人前では態度が全く違う点は相談者の皆さんが口を揃えておっしゃいます。

今回はモラハラ夫の悩みを友人に相談しても誰もわかってくれないと悩む31歳女性、4歳と2歳のお子さんをお持ちのR子さんのお話です。

 

よそのお家は、ご主人が家事を手伝ってるだなんて。しかも、機嫌が悪くならないだなんて

R子さんは2人の子どもの出産時に産休をとった以外はずっと働いてきたワーキングママです。勤務先は男性ばかりなので、夫の家事分担や育児について話す同僚はおらず、情報には疎いほうだったそうです。

 

「出産前から突然機嫌が悪くなることの多い夫でしたが、それがモラハラだとは思っていませんでした。夫の機嫌が悪くならないように、家事を頑張らないとけないと思い込み、どんなに忙しくても、疲れていても、体調が悪くても家事の手抜きは一切しない。夫の機嫌を損ねないようにただひたすら頑張る事に何の疑問も持ちませんでした」

 

しかし、上の子が生後半年になり、保育園に預けたことで状況が変わります。

 

「他のご夫婦の話を聞く機会が増えたのですが、みなさんご主人も家事に参加なさってるんですね。しかも、機嫌が悪くなったりもしない。驚きました。実は私の両親も亭主関白の父とそれに従う母だったので、家事は女の仕事、夫は何もしないのが当たり前だと信じ込んでいたのです」

 

R子さんは、共働きのご家庭は家事は分担していると人生で初めて知ったのです。

 

「家事を一切しない夫ですが、唯一自分からしてくれるのがゴミ出しです。ゴミ出しといっても、私が不燃ごみと可燃ごみを分け、まとめておいたゴミを集積場に持っていくだけです。それだけのことなのに私はいつも夫に恐縮していました。『ありがとう』『よろしくお願いします』と夫にいつも言い、夫は『持っていってやる』と偉そうな態度でゴミを持って家を出て行きます」

 

R子さんの夫は家の外では本当にいい人を演じる夫なので、マンションの他の住人の方にはいつも「優しい旦那さんでいいわね」「ご主人が家事を手伝ってくれて幸せよね」「いつも笑顔で素敵な旦那様ね」と言われ続けていました。

 

「内心は『そんなことないです。ゴミ出ししかしないんです』と言いたかったのですが、そんなことを言っても仕方ないと思い何も言わずにいました。今になるとわかります。夫がゴミ出しだけをするのは、近所の方からいいご主人と思われたいから、周りの人の目に自分がいい夫に映りたいからの行動だったんだと」

 

実際、R子さん夫のことを悪く言う人は、近所には皆無。誰からも「いいご主人で羨ましい」と言われていました。どう行動すればいい人に映るのか、全て計算できるのがモラハラ夫なのです。

 

私には罵詈雑言、無視までするのに。保育園でもいい人を演じるアピール上手の夫

「夫は、保育園保護者の前でもいい人を演じました。というのも、保育園での親子参加行事の時は、夫は自分から率先してやりますと手を挙げるんですね。運動会の手伝い、親子遠足、クリスマス会、などで夫はいい人をアピールするのが本当に上手でした。クリスマス会のサンタ役を3年間やり続けましたし」

 

サンタ役は園児たちに肩に乗られたり、髭を引っ張られたりします。でも、笑顔で対応するので「優しいサンタさん」と子どもたちに大人気です。保育園の先生方や、保護者たちからはいつも感謝の言葉をたっぷりいただいていたそう。

 

「私が子供を保育園に送迎で連れていく時も、いろいろな方から『R子さんのご主人がいるから、本当に助かっています』『R子さんって本当に幸せよね。あんなに優しいご主人で』と言われます。私が『でも家では家事はしないし、家では笑いもしない。それどころかいつも怒ってばかりなの』と、やっとの思いで本音を言っても、『贅沢すぎよ。あんな優しい人がそんな人のはずないじゃない。うちの夫と比べたらR子さんのご主人は理想よ』『見てないからそんなこと言えると思う』『見なくたってわかるわよ。優しくなければ保育園であんなに手伝いできないわ』と言われてしまうんです」

 

どんなに悩みを打ち明けても人前では本当にいい人なので誰もわかってくれません。実は、モラハラには周期があります。モラハラ時期とハネムーン期があるのですが、R子さんの夫もモラハラ時期以外は普通の夫なのです。普段は笑って会話もできますが、モラハラ時期になると人前で見せる優しい夫とは別人になり、暴言が始まります。

 

「夫は『あんたは俺が保育園で頑張って手伝いをしているのに、俺に感謝もないのか』『俺がどれだけ外で気を使っているのかわからないだろう、あんたは何もしないで脳天気なもんだ』と事あるごとに言うのです。保育園での手伝いをしてほしいなんて頼んだこともないのに、私の為に無理して手伝いをしていると言うのです」

 

「そんなに無理なら辞めてくれていいのに」と言ってみると、「馬鹿か!みんなが俺に期待してるのにそんなことできるか!考えもしないで適当なことばかり言うな!」と怒鳴ります。

 

「そして、保育園の手伝いとは関係ないことを言い出すんです。例えば、気が利かない、家でろくに家事もできない、俺より稼いでないくせに偉そうに家事をやっているといつも威張っている、などなど」

 

鬼のような形相でR子さんを睨みつけ、子どもにだけ優しい声で話しかける夫。R子さんのことは無視を続けます。そんな日々では傷つくことが怖く、R子さんは思考停止に陥ったそうです。

 

「会社にも友達はいない、ママ友はわかってくれない、母に相談しても『我慢しなさい。お父さんもずっとそうでしょ』と言われるだけでした。ただ夫の怒りやストレスの吐口になるしかないんだと諦めてしまいました」

 

つづき>>>モラハラ夫の巧妙なあてこすりで自己肯定感ゼロになった私が「自分を取り戻す」までの一部始終

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