え?「目を通していただけますか」って敬語じゃないの?

「部長、この書類に目を通しておいていただけますか?」もしあなたが、この言い方を正しいと思っているのだったら要注意です。こっそりこの記事を読んで理由をきちんと把握し、どう言ったら正しいのか覚えましょう。

 

そもそも「目を通す」とは?

「目を通す」とは「ざっと見ておく」「一通り見ておく」という軽い意味の言葉です。内容から言っても「敬語にはなりにくい」言葉なのです。例えば目上の立場の人が「ああ、この資料ね。あとで目を通しておくよ」というのはOKです。「ちょっと見ておくね」という意味ですからね。しかし

  • このプランに目を通していただけないでしょうか。
  • 先ほどお配りした資料に目を通してください。
  • メールをお送りいたしましたので、目を通してくださいますようお願い申し上げます。

これ、相手が目上なら全てNGなのです。元の言葉が敬語的意味合いを持たないので、どこをどう盛っても敬語にはならないのです。同じく、内容から考えて敬語になり得ない言葉としては、「参考になりました」などもそうですよね。

  • 大変参考になりました。
  • 参考とさせていただきます。
  • 今後の参考と致します。

【参考】
いろいろ他のものと引き比べて、自分の考えを決める手がかりにすること。またその手がかり。
現代国語例解辞典(小学館)

他の人の意見や考えを見本、手本とするという意味合いが強い為、この言葉を使うのは「勉強をしている身分」「自分の考えはまだ持っていない経験の低い者」という印象が強いのです。つまり、どんなに盛っても、もともとの言葉「参考」に身分の高い人が使う言葉ではなく、勉強をしている最中の人、自分の考えを持っていない者が使う言葉という意味合いが強いのです。敬意が感じられないので、敬語にはならないのです。ただし、自分が上の立場ならば、OKです。
「うん。君の意見は大変参考になった」という上から下への言葉として使えるからです。「勉強になりました」ならOKです。また具体的に「長年の問題解決につながりました」などとすると良いでしょう。この辺りの、表現の工夫については、また機会をみてお話ししますね。
さて、「目を通す」に話を戻します。この言葉は、「読んでおくよ」という目上の人から下の人への言葉としてならOKな言葉です。

 

どういうときに使っている?どうすればいい?

この言葉を使うシチュエーションを思い浮かべてください。書類や資料などを、「見てほしい」場合に使う言葉ですよね。「見てください」の敬語版だと思いますよね?
だったら、「見る」の敬語を使えばいいのです。
「見る」の敬語は何でしょう?そう、小学生でも知っています。「ご覧になる」です。
つまり「見てください」は「ご覧ください」でいいのです。

具体的に言い換えてみましょう。

  • このプランに目を通していただけないでしょうか。
    このプランをご覧いただけないでしょうか。
  • 先ほどお配りした資料に目を通してください。
    先ほどお配りした資料をご覧ください。
  • メールをお送りいたしましたので、目を通してくださいますようお願い申し上げます。
    メールをお送りいたしましたので、ご覧くださいますようお願い申し上げます。

これで良いのです。簡単ですよね。
では「ちょっと見ておいてほしいんだけどー」という時はどうしたらいいでしょう。「ご覧ください」とはまた別のニュアンスで「目を通してください」を使っていた場合もあるでしょう。そう「ちょっと見ておいてほしい」という、まさに敬意を表すのが難しい場合です。もともと「ちょっと見ておいてほしい」という気持ちに敬意はないと言われても、目上の人に「時間がある時にでいいので、ちょっと見ておいてほしい~」と思うシーンはありますよね。そういう時にはどう言ったらいいのでしょうか。

 

ご一読ください。

ああ、便利な言葉がありました!

【一読】
一度読むこと。一通り読むこと。
現代国語例解辞典(小学館)

このシンプルな言葉に「ください」と丁寧な言葉を付けるだけで良いのです。

  • このプランに目を通していただけないでしょうか。
    このプランをご一読いただけないでしょうか。
  • 先ほどお配りした資料に目を通してください。
    先ほどお配りした資料をご一読ください。
  • メールをお送りいたしましたので、目を通してくださいますようお願い申し上げます。
    メールをお送りいたしましたので、ご一読くださいますようお願い申し上げます。

 

ご確認ください

こちらも便利!もともとの意味に立ち返り「確認」という熟語も使えます。

  • このプランに目を通していただけないでしょうか。
    このプランをご確認いただけないでしょうか。
  • 先ほどお配りした資料に目を通してください。
    先ほどお配りした資料をご確認ください。
  • メールをお送りいたしましたので、目を通してくださいますようお願い申し上げます。
    メールをお送りいたしましたので、ご確認くださいますようお願い申し上げます。

この場合は「ご一読」よりももう少し熟読して欲しい場合に使えます。

 

これはまたまた間違い!な言葉

  • 拝見いただきたいのですが

「拝見する」は、こちらが読む場合はOKですが、目上の人が読む場合には使えません。これも実は小学校で習っているのです。

 

これはどう?「お目通しいただきたい」

こちらは文法的にはOKな言葉です。もう少し体裁を整え、

  • このプランにお目通しいただきたく、お願い申し上げます。

などのように使います。

 

こちらもOK。でも使い方の難しさがある「ご高覧いただく」

こちらはさらに難易度の高い言葉。身分不相応というか、あまり馴染みがないと思ったら使わない方が無難です。なぜなら、他の言葉も全てこのレベルにしないと文章全体が落ち着かないからです。
なお、「お目通し」も「ご高覧」も自分の行為には使いません。どんなに身分が上の人でも使わない類いのミスになるので、ご注意ください。

 

まとめ。結局「ちょっと見てほしい」時には?

「目を通してください」と言いたい時には「ご覧ください」「ご一読ください」「ご確認ください」というシンプルな敬語を使いましょう。他の言葉を揃えやすくなります。

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