【40女の恋愛事情】story2 私は彼の特別になれますか?-45歳・真由子の場合(3)-
本当は、ベンチで話すだけではない、もっと特別な関係を望んでいる。
普通にごはんを食べにいったり、お茶をして笑いあったり。
そんなプライベートな時間を過ごしたかった。
「今度、一緒にお茶でもしませんか」
そう柔らかく誘われたら、喜んでついていくのに。
「いつもお世話になってるから、たまには僕に、ごちそうさせてください」
そんな風に言われたら、すごく、うれしいのに。
彼はそんなところには気が回らないらしく、毎日台本と取っ組み合っているらしい。
私だけが、劇場帰りの彼と待ち合わせをしている。
それだけが私の誇りだった。
もしかしたら、彼はいつか私に特別な感情が芽生えるかもしれない。
そんなことは多分ない。
でも可能性はゼロじゃないから……。
だから今夜も、彼を30分以上も、待っている。
その時、公園に2人の若い男の子が入ってきて、ベンチに座り、缶ビールを開けて、飲み始めた。パンフレットを持っているから、観劇帰りだということがわかる。
「あいつ、まだ女の子に囲まれてたな」
「しばらくかかりそうだな」
「人気出てきたよな」
「そうだな。チケット今回、50売れたんだって?」
「そう。1人で30買ってくれたファンがいるんだって」
私と同じような人もいるんだな、と、なんとはなしに会話を耳に入れていた。
この記事は
作家&エッセイスト
内藤みか
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