もう会えないの?年下小説あなたのはじめては、わたしのひさしぶり♯15

(これまでの話はこちら)

おひとりさま40代の私の部署に、年下の男性が配属されてきた。 歓迎会に誘っても「そういうの迷惑なんですよね」と言い放つ、協調性のない若い男の子、高坂くん。 ところが、ひょんなことからお互い「犬が好き」なことに気づく。 女性と2人で出かけたことすらなかったピュアな高坂くんと、私の関係は、少しずつ変化し……。

 

 

もう会えないの?

 

高坂くんとやりとりをしなくなって、長い時間が過ぎたような気がした。

わずか2〜3日だけなのに、彼がとても遠くなったように感じる。

 

毎週のように一緒にドッグカフェに行っていたのに。

今週末も、そのつもりだったのに。

彼は、もう、私と行動するつもりなんて、なさそうだった。

 

今まであんなに楽しそうに、犬の話をしていたのに。

駅の改札を出て、二人で早足でドッグカフェに向かって歩いたのに。

もしかしたらもう、二度と、彼と出かけることなんて、ないのかもしれない。

ふとそう思ったら、耐えられるかわからないほどの大きなさみしさが襲ってくる。

 

「僕と出かけて迷惑じゃないですか?」

最後の彼のLINEには、とても悲しいことが書かれていた。

「迷惑なんかじゃないよ。むしろ楽しいよ」

慌ててそう送ったけれど、彼から、それっきり返事が来ていない。

 

私のせいだ。

私があの時、彼をうまくフォローできなかったから……。

 

 

もう遅いの?

 

柳沢って誰? と聞いてきた彼を、はぐらかせてしまった。

あの時から、私と高坂くんは、ぎくしゃくしている。

 

ちゃんと正直に答えればよかった。

元彼だよ。もう今は全然やりとりしていないけどね、って。

高坂くんが誰かに聞けば、知られてしまうことなのだから、自分からはっきり伝えるべきだった。

こんな風になるのだったら、彼の疑問を解消するべきだった。

もしかしたら高坂くんは何かを誤解しているのかもしれない。

柳沢くんと私が親しいと勘違いしているのかもしれない。

全然、そんなことないのに。

 

もう何年も前に、柳沢くんとの関係が終わりを迎えた時も、やはり、メールが途絶えた。

毎日必ずやりとりしていたメールが、1日開き、2日開き、やがてメールをしなくなった。

あの時は、いつか終わると頭でわかっていたけれど、どうすることもできなかった。

もう飽きてしまって、続かなくてもいいや、という思いが頭にあった。

彼もそうだったのだと思う。

だから私たしは少しずつ遠のき、やがて恋人とは言えないくらい離れてしまった。

 

あの時は、全然寂しくなかったのに。

 

大切だったのに

 

高坂くんにもう、週末会えないのかもしれない。

そう思ったら、さみしくて、唇が震えた。

彼と一緒の時間は、私にとって大切なものだったのだ。

今さら気づいても、遅いのかもしれないけれど。

 

駅で、私を待って、立っていてくれた姿も。

犬の話をし始めたら止まらなくなって、何時間もしゃべっていたことも。

偶然手と手が触れるくらいに、近くにいたことも。

彼との一瞬一瞬は、あんなにも、キラキラしたものだったのに……。

 

こんなに突然、当たり前のようにこれからも続くと思っていたことが失われてしまった。

失われて初めて、私は、こんなにも週末が楽しみだったことに気づいた。

ドッグカフェで犬たちと遊ぶことが楽しみだったのではない。

私は、私の隣に高坂くんがいるあの時間が、楽しみだったのに。

 

今ごろ気づいても、どんな言い訳をしても、もう、遅いかもしれない。

高坂くんは、また、前のように、カラをかぶってしまった。

職場でも、むすっとした顔で、黙って作業をしている。

もう、元には戻らないかもしれない。

 

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