不安がらないで。更年期という「ゆらぎの時期」には必ず終わりがくる【高尾美穂先生の更年期の話#2】
雑誌の連載、テレビのコメント、ポッドキャスト……いつ、どこで触れても、同じようにあたたかく清々しい気持ちを受け取れる。そんな産婦人科医の高尾美穂先生に、普段からそっと心を支えてもらっている人も多いのではないでしょうか。
高尾先生をお招きして、主婦の友社の雑誌『健康』×オトナサローネ発の社会提言『アフタヌーンエイジプロジェクト』コラボレーションイベントのお話会が開催されました。
そのお話を7日連続で配信中。
閉経した後の人生をどう過ごすか、そのお手本は意外な生物にあるかも?
日本の年間出生数は100万人を割り、ついに2022年には80万人を切ってしまいました。生き物が生きる本来の意味とは、自然界においては遺伝子を残すことです。多くの生物は遺伝子を残す力がなくなると寿命を迎えますが、ヒトのメスにとってはその限りではなく、私たちは生殖能力のタイムリミットである閉経を迎えたあとも30年40年に渡って生きます。
自然界でも同様に、生殖能力を持たず生きる生き物がいるのをご存じでしょうか。それは「働き蜂」です。彼ら彼女らが生きている意味は、女王が生殖を行うために適した環境を作ることです。
私たちが閉経を迎えたあと30~40年生きるとき、何をすべきなのかは働き蜂に学べばいいんじゃないかと思っています。次の世代がいい形で子どもを産み育てられるように環境を整えることを意識する、それは閉経を迎えたあとの私たちだからこそできることだと思います。
不安がらないで。更年期という「ゆらぎの時期」には必ず終わりがくる
女性の体が変化していく中で、「ゆらぎ」が問題になる時期が来ます。それが更年期です。でも、更年期はいずれ終わります。
卵巣は女性ホルモンであるエストロゲンを作れなくなっていき、脳の視床下部からお願いされても働けなくなります。視床下部がうまく働けないための不調が、更年期に起きるトラブルです。
更年期は「閉経の前後5年ずつ」と定義されますが、お願いをする側である脳の視床下部は卵巣が働けないということに気づいていないため、体には「視床下部の働きがイマイチだ」というサインが出てきます。
たとえば、自律神経の調整がうまくいかなくなるため動悸がする、汗がでる、ほてる……こうした症状は、卵巣が働けないことに視床下部が気づいていないから起きることです。そして、「卵巣が働けなくなった」という変化に気づいて、体が落ち着くまで、ざっくり10年ほどかかります。
更年期による不調が最も重いのは、閉経を挟んで「前2年」「後ろ1年」とされているので、多くの人の場合、不調が強く出るのは3~4年間ほど。いま更年期障害が出ているからといって、そこまで絶望しなくていいのです。
*お話の一覧
お話/高尾美穂先生
産婦人科専門医。女性のための統合ヘルスクリニック イーク表参道副院長。医学博士。スポーツドクター。ヨガドクター。東京慈恵会医科大学大学院修了。同大学付属病院産婦人科助教を経て2013年より現職。
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