その文末の(爆)(失笑)、実は日本語の大誤用だった…?

先日、メールでやりとりしていて、こちらが面白いことを書いたら、相手が「(爆)」と返してきました。うーん、いつ指摘しようかと、ずっと考えてはいたけれど……。このタイミングでいいものか……。でもいつか本当の使い方が分かって「なによー。国語の先生なのに、分かってて注意してくれなかったの? もー、早く言ってよー。」となるよりはマシかしら……。「あのね、実はね、『爆笑』って一人の時には使えないの。」「……?……」

今日は「笑い」に関する言葉を5つ集めてみました。まずはこの5つを使いたおしてみましょう。言葉の意味を少し知るだけで、表情豊かな文章ができますし、印象がかなり良くなりますよ。

 

その1 二字熟語「爆笑」は大勢でどっと笑うこと

爆笑
大勢でどっと笑うこと
現代国語例解辞典

 

メールでも(爆)(猛爆)などと表現される「爆笑」。大笑いは大笑いなのですが、大勢で「どっ!」と笑うことです。例えばお笑いや、漫才、コントを会場で見ている時、面白いところで、会場にいる全員が一斉に笑う時がありますよね。漫画でも「ドッ!」なんて擬音語が付くような。そういう場合に「爆笑」を使います。
一人でテレビを見ているときや、友人とメールでやりとりをしているとき、面白いことがあったら、突然一人でも大笑いしてしまうときがありますよね。それは「大笑い」です。(笑)よりも、もっと凄かったのよ!ということを表現したいときに「爆」を付けて(爆笑)としたくなりますが、「爆笑」には「大勢で笑うこと」の意味があるので使えないのです。かといって、目くじらを立てて訂正して回ることもありませんので、本来の意味さえ知っていれば、大丈夫。年配の方に「爆笑しました」なんて言いませんしね(笑)

 

覚え方
→「爆笑の渦」とセットで覚えましょう。そうすれば間違いません。

 

その2 これまた間違いの多い「失笑」

「笑い」を「失う」と書いて「失笑」 このことから「空気を読まずに笑えないことを口走ってしまい、静まりかえった」時や「笑いも出ないほどあきれた言葉が出てみんながしーんとなった」時に使う人が多いとのことですが……。

 

失笑
思わず吹き出して笑ってしまうこと。
現代国語例解辞典

 

そうなのです。笑いが失せることではなく、笑いが出ること。擬態語でいうと「ぷっ」という感じでしょうか(笑) 「噴飯」とも同じ意味だとされています。

 

噴飯(ふんぱん)
おかしくてたまらず、思わず笑い出してしまうこと
『この答案はまさに噴飯ものだ』
思わず食べかけの飯を吹き出すの意。
現代国語例解辞典

 

どちらかと言えば、グレードの高い笑いではなく、愚かな言動を見てほかの人が笑うときに使う言葉です。


どう見ても、寝坊が理由で遅刻したとしか思えない様子なのに、彼女は「すみませーん。道が混んでいてー」と言い訳をしたので、彼女の性格を知っている全員から失笑を買った。

ここで大切なのは「失笑」とは「笑っている」状態だということです。

 

覚え方
→「失笑を買った」とセットで覚えましょう。そうすれば間違いません。

 

その3 笑壺に入るなどの慣用句

「つぼったー」という言葉も良く耳にしますよね。あたかも「笑う」というツボがあるような言い方ですが、この語源も鍼灸で使うその「ツボ」が語源。漢字では「壺」です。

「笑壺に入る」(えつぼにいる)
思い通りになって喜ぶこと。上機嫌になって笑い転げること。

「笑いのツボにはいる」なんて読まないでくださいね。
古語ですが、よく使われる言葉です。
一人の場合は、ほくそ笑む状態、大勢の場合は、笑い転げる状態の時に使われます。


もし、この商売が成功したら、どんなに儲かるだろうと創造したら、ひとり笑壺に入ってしまった。


「ある人みなながら、すずろにゑつぼにいりにけり」
(訳)そこにいる人は残らず全員、思いがけず笑いころげてしまった。
出典 宇治拾遺物語

そう。「ツボった」は、言葉は違えども、鎌倉時代からある表現なのです。

 

覚え方
→「えつぼにいる」と正しい読み方で覚えましょう。

 

その4 笑納などの謙遜語

さて、失笑などに見られるように、「笑う」には素敵な意味以外に「笑われる」という恥ずかしい意味もあります。そこで、わざと自分の言葉や行動に使用し、「どうぞ笑ってくださいませ」と謙遜の意味で使うこともあります。これを知っていると、文章や会話がかなりグレードアップしますよ。特に40代以上の女性の方、そろそろ使えた方が良い言葉かもしれません。

笑納(しょうのう)
贈り物をするとき、粗末な品だから笑って納めてくださいという意味で用いる語。


心ばかりの品ではございますが、どうぞご笑納ください。

笑止(しょうし)
ばかばかしくて、笑うべきこと。おかしなこと。


笑止の沙汰とはお思いでしょうが、どうぞ酌み取ってください。

笑味(しょうみ)
食べ物を贈るときに、粗末な品だと笑って召し上がってくださいという謙遜の意味で用いる語


田舎から送ってきた梨です。どうぞ、ご笑味ください。

注意
食べ物に関することなのですし「賞味」と音が同じなので、書くときには、漢字を間違えないよう注意。

 

その5 「怒れる拳、笑顔に当たらず」などのことわざ

「いかれるこぶし、えがおにあたらず」と読みます。想像通りの意味です。怒りのあまり振り上げた拳。でもその拳も、さすがに笑顔でいる人には振り下ろすことができないのが人間。そこから、相手が厳しい態度で向かってきたときこそ、優しい心で受けようという意味を持つことわざです。
「笑」の漢字が入ったことわざはたくさんあります。

笑う門には福来たる
笑って損した者なし
今泣いたカラスがもう笑う

思わず微笑んでしまうことわざが多いですね。

 

「笑」が付く二字熟語や四字熟語、慣用句やことわざは、ほかにもまだまだあります。このように奥行きのある言葉なので、(笑)や(爆)で片付けるのではなく、是非、言い換えてワンランクアップした言葉を使ってみてくださいね。

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