「トニーのこと絶対許さないって思いました!」さおり&トニーのオーストラリア冒険記、一体ふたりに何が?【特別インタビュー】
「ダーリンは外国人」シリーズで大人気の小栗さおりさんとトニー・ラズロさん。
今回オトナサローネでは、コアラを抱っこしたり、大自然の中でロープを頼りに絶壁を降りたりと、現地の魅力がギュッと詰まったコミック&エッセイ「さおり&トニーの冒険紀行オーストラリアで大の字」から抜粋して3つのエピソードをお送りしました。各話を振り返って、お二人にお話を伺います!
「かわいいけど…」コアラを抱っこした感想は
編集部:コアラを実際に抱っこするとメロメロになると聞いたことがありますが、どうでしたか?ハートを鷲掴みにされる描写がありましたが…。
さおり:コアラはいいですよ、可愛いです。あかちゃんに似た重さで、ちょっと獣の匂いがあります。
トニー:やや遠くからみた方が可愛いですね。近くによると、熊のようなものですから(koala bear) 。見た目がたまたま可愛い顔ですが、野生動物ですからね…。眠いコアラに出会った人は、ハッピーだと思います。
たとえば猫は人間のことを考えていませんが、犬は言うことをききますね。コアラは、猫に近い生き物だと感じます。人の気持ちを介さない動物がいいならコアラでいいと思いますが、正直に言うと僕は犬がいいですね。
編集部:まさか猫派か犬派で好みが分かれるとは思いませんでした(笑)
このエピソードのマンガはコチラ▶▶か、かわいい…コアラを抱っこできる施設で抱っこを体験
羊の毛刈りに挑戦!
編集部:羊の毛刈り体験は、トニーさんは優しくてうまくできなかったということですが、さおりさんはどうでしたか?
さおり:わりとガッといけました。温かくて、ほやほやしている羊を狩るのは、もちろんドキドキしましたよ。
でも私は、子どもの髪の毛を切ったり、作品を作ったりする上で、切らなきゃいけないところはガッといけるタイプなのです。でもトニーは「傷つけてしまうかもしれない」とかなり慎重になってしまう。
編集部:トニーさんはいつでもそうなんですか?
さおり:わたしが妊娠してるときも「隣に寝ていたら(寝返りの拍子に)お腹を潰してしまいそうで心配だ」ということで、別々の部屋に寝ていたのですよ。
ちなみに、作中でご紹介した牧場はなくなっちゃったんですが、ほかにも同じ体験ができるところがありますので、やってみたい人は調べてみてくださいね。
あと、日本のヒゲタ醤油が開発した「スルッと羊の毛が脱げる方法」はすごいと思いました。
このエピソードのマンガはこちら▶▶羊の毛刈り体験!優しいトニーは、なかなか根本まで刈れずに…
断崖絶壁を後ろ向きに降りる!?「アブセイリング」
編集部:最も印象に残っているエピソードとしてお二人が揃って挙げられたのが、アブセイリングでしたね。
さおり:このときはもう少し体験ができないか現地で探してたのですが、2007年でまだスマホを持っておらず時間もなくて、ネットではいい情報にたどり着けていなかったのです。
チラシを見つけたトニーが「これ、いいんじゃない?」って、画像を一切見ることなく、文章だけを読んで決めたのです。そうして実際にやってみたら、どんどんすごい山を登るし、崖だしで、予想外でした。
編集部:マンガを読んでいるだけで怖かったです。
さおり:私達がチャレンジしたのは結構怖い場所でした。15メートル崖を降りて、少し平らなとこがあって、また崖になっているようなところでしたので。。違う場所にすればそれほど怖くないと思いますよ。
編集部:大自然の中で行うし、良い体験にはなりそうです。実際やってみてどうでしたか?
トニー:イメージとしては、高層ビルの窓掃除の方がやっているようなことですね…。
さおり:最初に5分説明があったのに、トニーが3行分くらいしか訳してくれなかったのですよ。だから余計に怖かったというのはあります。崖の上に立ったときは怖すぎて、トニーのことを許せないと思いました。
信じられるのは金具だけだし、人生で一番怖かったです。宇宙に放り出されるほどの感覚でした。
このエピソードのマンガはこちら▶▶恐怖の崖下り!「この金具に命がかかってる」状況で、さおりとトニーは…
いろんな国で大冒険しているさおり&トニー
編集部:「大の字」シリーズには、オーストラリアのほかに、タイやフランス、イタリア編もありますね。どういうきっかけでこのシリーズを始めたのでしょうか?
トニー:「大の字」できる機会を読者にも与えたい!と思ったのがきっかけですね。
さおり:最初はハワイで、ゆるい感じで旅してほのぼの描くという企画だったのです。でも次のイタリアでは、もっと色んなことをして話に盛り込まなきゃと思って…。自分たちでネタを集め始めて、非常にたくさんチャレンジしました。毎日2つ以上の事柄に取り組んで、ページが足りなくなるくらいでした。
トニー:タイでは、アパートに調理場がないことが多いです。屋台で食べる文化なんですね。一人暮らしのコーディネーターさんも、調理場がないアパートに住んでいると言ってました。普段とは違う発見があって、それが大切なことだと思っています。
タイで僕たちが行った冒険のひとつは、ゾウに乗ること。僕は一番大きなゾウを与えられたんですが、地面からの距離がすごくて、これは落ちただけでケガをするなと感じました。
編集部:トニーさんは危険を感じて途中で降りられたのですよね。それだけ身体を張ったチャレンジなんだなと思いました。でもタイの話は、いい意味でとても緩くて、最初から笑いが止まりませんでした。
トニー:タイは、なんでもありなところが素敵だと思いました。
今後の二人の活躍は?
さおり:1月下旬に、私とトニーが共訳した絵本「もっとまざっっちゃおう!」がフレーベル館から出版されます。これはイギリスのチルドレンズ・ブック大賞を受賞した「まざっちゃおう!」の続編で、多様性について考える内容になっています。小さなお子さんと一緒にぜひ読んでいただきたいです。
[caption id="attachment_387387" align="aligncenter" width="400"] もっと まざっちゃおう! アリー・チャン (著), 小栗左多里 (翻訳), トニー・ラズロ (翻訳)[/caption]
トニーはジャーナリストとして、ニューズウィークや朝日新聞で記事を書いています。
編集部:トニーさんは大学でも教えていらっしゃるのですよね。
トニー:大学で「言語とは何か?複数の言語を使う人とは?」という内容の講義をしています。
ぼくはアメリカ育ちなので、20歳まで現地の言葉(英語)しか使えなかったのです。しかしハンガリー語という、父親にゆかりのある言語にはアイデンティティを感じていて、その言語を使えないのは悔しいと感じていました。
何かの都合で言語を乗り換えなくてはいけない人は意外と多くて、例えば日本で生まれたのちに日本語が母語でなくなる子供もいるわけです。僕から見れば、(自分にゆかりのある)言語が盗まれた、その言語を返してほしいという気持ちがあるのです。その他、語学・言語学関連の講義を大学などでさせていただいております。
また、ジャーナリストとして水問題に注目しています。
日本では、「容器を購入して、自由に水をいれる」サービスがよく見られます。むかしながらの井戸の感覚だと思って面白いです。
しかし、世の中の子供の3人に1人くらいは飲み水に困っている状態です。日本のスーパーにある水は、RO水といってフィルターを使った優れた技術ですので、そこを世界に結び付けられないかと思っています。
この記事の続きを読む(1月4日 朝8時公開)▶▶海外で子育てしたさおり&トニー夫婦。その結果、息子さんは4か国語を使えるように!?
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